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【ラスパーlog #9】事業承継税制によるトロイカ体制の成立

こんにちは、ラスパーです。

「トロイカ体制の成立」。

政治コラムのようなタイトルをつけてみましたが、事業承継税制(特例)の「複数の株主から最大3人までの後継者」への承継パターンのことです。

事業承継税制(特例)は

  • 複数の株主からの贈与・相続でも使える。

  • 後継者も最大3人までで、親族以外もOK。

などと、ぼんやり覚えていると、「先代経営者Aと取締役副社長E(非同族)から、それぞれの長男CとFへ承継する場合にも使えるんだ」と即断しがちですが、いえいえ、そんなに簡単には行きませんよ、というお話です。

2人または3人の「集団指導体制」の成立要件は、色々と注意が必要なのです。

ここでは、2人の株主から3人の後継者へ株式を贈与するケースを考えてみましょう。

まず贈与者側の株主2人ですが、特例の適用を受けるためには、

  1. 旧代表取締役で、

  2. 同族で過半数の議決権を有し、

  3. 同族内(後継者を除く)で筆頭株主である人が贈与し、

  4. その後に、もうひとりが贈与する(この人には上記1.2.3の要件は不要)

という要件を満たす必要があります。

例えば、

  • 旧代表取締役Aが60%、配偶者Bが30%、その他(非同族)が10%保有している場合、
    Aが贈与した後にBが贈与すれば、両方の贈与について特例の適用が受けられます。

  • しかし、もしBが贈与した後にAが贈与した場合は、Aの贈与のみ適用が受けられ、Bの贈与は適用を受けられません。
    ⇒Bは上記の1.と3.の要件を満たしていません。

次に3人の後継者へ株式を贈与する場合は、
3人の後継者が共に贈与時において

  1. 18歳以上であり、

  2. 3年以上にわたり会社の役員であり、

  3. 代表取締役であり、

  4. 同族で過半数の議決権を有することとなり、

  5. 単独で10%以上の議決権を有し、かつ、同族内(他の後継者を除く)で筆頭株主となる

必要があります。

例えば、旧代表取締役Aが40%、配偶者Bが15%、長男C(取締役)が15%、その他(非同族)が30%保有している会社で、
長男C、次男D(取締役)、三男E(取締役)の3名を代表取締役とする場合、

  • Aが次男Dに20%、三男Eに20%贈与する。

  • その後にBが長男Cに15%贈与する。

  • その結果、長男Cは30%(同族内筆頭)、次男Dは20%(CとEを除き同族内筆頭)、三男Eは20%(CとDを除き同族内筆頭)となった。

ということで、特例適用の要件を満たすことになります。

FP1級実技面接では、事業承継税制(特例)について、少し踏み込んだ細部が問われることがあります。

例えば、2022年2月5日と2023年2月11日のPart Iでは、事業承継税制適用後、5年以上を経過した時に、M&Aによる株式買取の話が舞い込むという展開。

株式を譲渡した場合、納税が猶予されている税額はどうなるのか?

「伏線回収」Season2の(5)「事業承継税制」その後に、本番応答仕様の簡潔な回答を掲げていますので参考にして下さい。


Photo by Mango Matter via Pixabay


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