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第7話・昭和の補聴器と音漏れの話

この手記の第1話はこちらです

 ノートテイク生活が始まった頃、私が知った、たくさんのことの中に、この「補聴器」があります。A君が使用していた当時の補聴器は、本体を胸ポケットに入れて使用するタイプのものでした。胸ポケットからイヤホンが延びており、耳に取り付けて使用します。
 当時のイヤホンは、現在のヘッドホンみないな小型のものではなく、学研の電子ブロックに同梱されているイヤホンと同じ形の、結構大きなものでした。

 当時のノートテイクでは、教科書やノートが見やすくなるように、読み手の隣に机をくっ付けて座ります。ここで文字を書き込みますので二人の距離はとても近かったです。(だいぶ密でした)この時に、補聴器の「音漏れ」を体感できました。

 彼の補聴器は、胸ポケットの中にある本体に、マイクが内蔵されていたようで、A君が腕や上体を動かしたときに、布地とこすれて、けっこう大きな音がイヤホンからガリガリと聞こえていました。でも、静かにしている場面では、音漏れは気になりませんでした。

 私は読み手の左側に座り、読み手のA君は私の右側に座りましたが、彼は左耳に補聴器を付けておりました。私の右耳のすぐそばに、A君の補聴器のイヤホンがある配置です。

 最初の頃はA君の、この補聴器から出てくる音がとても珍しく、先生が話している声がどんなふうに聞こえてくるのか、気になって一生懸命聴いてたのですが、いざ授業が始まると、先生の言葉を聞き漏らさないようにすることで精一杯で、この音漏れはもう聴かなくなりました。
 A君が机で何か物を動かすときに、ときどきガリガリと音が流れて、その時にはっと気が付く、それぐらいで、特に私は耳障りに思うこともありませんでした。

 在校中、他に補聴器が気になった場面としては、音量調節が上手く行かなかった時に「ビービー」と、音が鳴ったのと、イヤホンが外れて、補聴器本体とイヤホンが近づいたときに、大きな音でハウリングを起こしていたのを覚えてるぐらいで、これはもう日常生活の一部で、気にもしておりませんでした。


つづく‥‥‥‥


※※※※ 当時を振り返ってみた解説 ※※※※

 先生のひと声で始まったノートテイク生活ですが、頼まれた当人は、その人の為に、張り切って頑張ろうと思っています。この場合当人は、些細なことでも我慢をしたり、無理なことを意地でも押し通す場合がございます。
 でも、些細なことに我慢をし続け、後にストレスが溜まると長続きしません。事前に検討して、最初のうちに善処できれば嬉しいです。

 音に敏感なお子様がノートテイクを行う場合、読み手がどちらの耳に補聴器を付けているのかを確認して、書き手はその反対側に座る。これだけのことで、音漏れ問題を最初から軽減できると思います。また、読み手にとっても、補聴器本体には集音マイクが付いているので、書き手と反対に座ることで、読み手から出る雑音も、軽減できると思います。
 では、両耳に二つ補聴器が付いている場合はどうなるか?、ですが、私は鈍感だったのか、補聴器に近い側に座って3年過ごしてなんとも思わなかったので、ここまで心配しなくても大丈夫だと思います。

 毎度おなじみの一文ですが、私の子供がこの環境に巡り会ったなら、このように説明すると思います。

 また子供がノートテイク担当に、もしなりましたら、何日かおきに継続して、ノートテイク中の小さな不都合を一緒に話して検討し、少しずつでも改善できるように一緒に考えてみます。この頃からは、親が意識して家庭で子供の変化に気を付ける時期だと思っています。
 理由は、一学期を過ぎる頃には、A君のことはp君が担当する、という自然な空気が教室内には定着して、夏休みが終わる頃から、担任の先生からはこの件については、関わらなくなってくるからです。


今日は、こんなお話しでした。
ありがとうございました。

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