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第5話・最初から知っておきたかったこと

この手記の第1話はこちらです

 高校入学から一学期までの生活で、A君に関わることは自然と私が積極的に関わるようになりました。他の同級生も、A君には特別扱いをせず、普通に話しかけたり、接していたと思います。
 ときどき、細かいことは私経由で「pちゃん、Aちゃんに聞いてみてくれる?」と頼まれることもありました。私が生徒手帳に質問を書いて、A君は声で答えてくれました。このような場面が、だんだん多くなったと思います。

 この頃はまだ、クラスメイトに悪い人はおらず、みんな優しくイジメや悪さをする人はおりませんでした。A君に対するイジメは、卒業まで発生しておりません。でも高校2年か3年か忘れたのですが、私の教室で、けっこう陰湿なイジメで、一人の生徒が退学になっておりました。
 私はあまり気付かなかったのですが、ほかの同級生がそんな理由で突然退学になっていたので、この時はたいへん驚きました。

 昭和の時代の教室内は、このような感じでした。


 話が逸れたのですが、すみません、ここからが本題です。

 皆様が、とっても楽しい「手話サークル」の見学に行きますと、優しい先輩から、最初にいろいろな説明を受けると思います。
 このときに、たぶん下記の「口話法」の説明が含まれると思います。

 「ろう者(聴覚に障害を持つ方)とお話しするときは、相手の目をきちんと見て、なるべく口を大きく開けて、はっきり・ゆっくりめに声を出して下さいね、聞こえない人は相手の口を見て、お話しを読んでいますからね。

 既にご存じの方も多いと思いますが、聴覚に障害を持たれた方に接するときの一番大事な知識、「相手の顔を見て、はっきりゆっくり話すこと」は現在でもとても大切なマナーだと思います。

 しかし‥‥‥‥


 当時の私は、「口話法」を知りませんでした。

 こんな私が、突然、耳が聞こえない同級生のサポートを頼まれたので、もう真っ先にこう思いました。

みみ聞こえへん

字は読めるんや

せやったら、書いたらええやないか!

と。

 このように、無知な子供だった私が、これが正しい!と脊髄反射で思い込んでしまい、さらに周りの人も「口話法」を知らず、先生も誰も教えてくれない、となると、いったいこの教室では何が起こるのか!!!

 簡単な日常会話でも、私は生徒手帳に文字を書いて、なんでも文字でA君と話そうとします。書いている間は、大切な相手の表情が見えないので、理解を深めるきっかけを失います。書き終わってA君を見ると、口話で返事をしてきます。私には何を言っているのかわかりません。けっきょく生返事のまま、分かった振りをして毎日を過ごします‥‥‥‥以下繰り返し。

 もう、だれがどう見ても、正常な学校生活は送れないでしょう。
 いつかは破綻が来るでしょう‥‥‥‥

 合わせて、「先生が話した言葉は、必ず書かないといけない」などと間違って思い込んだ生徒が、今で言う「アスペ全開」で動き出し、ノートテイクを始めてしまったら‥‥‥‥

 恐怖のノートテイク!!
 恐怖の授業が始まるのです!!!


つづく‥‥‥‥


※※※※ 当時を振り返ってみた解説 ※※※※

タイトルに書かせていただいた、私が最も最初に教わりたかったのが、この「口話法」でした。
 今では一般常識になっているのでしょうが、当時はたったこれだけの知識でも、最初に教わっていなかったので、間違った知識のまま筆談だけで突っ走ってしまい、誰からも指摘もされずに丸まま3年過ごしてしまいました。
 普通の人と同じように、普通に話しかければ良かったのでした。
 A君の口話は、私が読話(唇を読む)の練習をして、鍛えれば良いだけのお話しでした。 Oh! Stupid! なんてことでしょう。悔やんでも、この時間は消えてしまいました。

 私の子供が来年、高校受験となりますので、もし同じ環境になったら、「口話法」から真っ先に伝えようと思っています。

 まだまだ子供に伝えたいことはいくつもありますので(`ヘ´) プンプン。
 細切れですが、もう少し続けたいと思います。

 

 すみません、なんだか突然フォロワーさんが増えてきて、大慌てしております。携帯がチンチン鳴るので家内と二人で驚いています。
 ご連絡いただきました皆様に、本当に深謝申し上げます。
noteの使い方が、まだよくわからないので、しばらくお返事できそうにないのですが、ゆっくり覚えてまいります。
 今後ともどうぞ、よろしくお願いいたします。

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