作品集出版を記念したキルト展は   ため息と歓声に包まれて………

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開催が直前に迫っての”第45回 2021 日本ホビーショー”の中止。突然のことだけに、いまだに事後処理に追われています。そんな中少し前にさかのぼりますが、こうの早苗先生からキルトのレッスンを受けている生徒さんたちの作品展が開催される、というお知らせをいただき、出かけて行ったのは東京が満開の桜に包まれていたある日のこと。2017年5月に市谷からここ、中野富士見町に移転した「日本ヴォーグ社」のなかの展示ギャラリーに、キルト作品を中心に約150点がスポットライトを浴びて、嬉しそうにちょっとすまし顔で並んでいます。

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ヴォーグ学園でキルトのレッスンをするようになって10年が経ちますが、キルト塾の生徒さんの作品集をいつか作りたいという思いが日増しに強くなって。同時に私の本拠地となっている福岡の生徒さんたちにとっても、作品集を作ると声を掛けたら、キルトに向き合う姿勢がもっと積極的になるのではないか。そんなことを考えていたら、夢がどんどん膨らんでいき、実現するためにまず何を始めたらいいか、真剣に考え始めました」

こうの先生ご自身の著書は確かに数えきれないほどになりますが、生徒さんの作品集となるとこれは一味も二味も違い、クリアしなければならない課題も多数出てきます。生徒さんたちにとっても、「自分の作品が掲載されている本ができる」と言われても、最初のうちはきっとピンと来なかったはずです。「私自身初めての印刷物が出来上がったときは本当に嬉しくて、わが子のように愛しい思いが強かったので、ぜひ生徒さんたちにもこの気持ちを味わってもらいたいという思いだけで、前に進んでいきました」

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そして、せっかく作品集を作るのならば、お披露目する場所があったらもっといいだろうと考えたこうの先生。東京のギャラリー事情を調べているうちに「灯台下暗しのように、日本ヴォーグ社さんがキルトを美しく展示できるギャラリーのある社屋を持たれたことを知ったんです」こうの先生がキルト塾のレッスンをするために、月に1度は首都圏を訪れていたことも功を奏し、東京という場所がおそらく福岡に次ぐ第二の故郷のようになじみのある場所に思えていたのでしょう。想像もしなかったコロナ禍の影響で昨年10月に予定していた作品展を、今年3月下旬に延期することになりましたが、ちょうど東京が満開の桜に包まれた時期と見事に合致し、ギャラリーを訪れたお客さまにとっても、美しいものを堪能する最高の背景に喜びもひとしおでした。

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こうの早苗先生とのお付き合いが始まったのは。今から20年以上も前のこと。『COTTON  TIME』創刊を考えていたころ、ある百貨店で開催されていたパッチワークキルト展でお会いしたのが最初でした。ご自分でデザインされたというさわやかなワンピース姿で、定期雑誌の連載ページをお願いしたところ快く引き受けていただけたのは、昨日のことのようです。先生のお住まいがある福岡にも何度も通い、連載ページの打ち合わせや撮影に、時間が経つのも忘れてご一緒に過ごした日々は、今でも懐かしい思い出です。そして、当時よりも今のほうがよりアクティブに、より好奇心が強く深くなられているこうの先生を見ていると、素敵に年を重ねていることがとてもよくわかります。

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「目標を持つことは、本当に大事だなとつくづく感じます。もし、生徒さんの作品集を刊行したいと思わなかったら、今日の日のような晴れやかな思いも味わえなかったでしょう。外出できずに家の中で過ごす時間が増えている今、生徒さんにとってもキルトを製作することが心のよりどころになっていたでしょうし。新型コロナウイルスへの恐怖で打ちのめされそうになる気持ちを、キルトと向き合う時間がしっかり支えてくれたと思っています」

お嬢さんの早妃子さんの、初めてのキルトも会場に飾られていて驚いたのですが、聞けば「20年くらい前にトップまでできた状態でずっと押し入れに入っていたのを、ようやく仕上げ始めて。カエルの子はカエルで、私が手を動かすのをずっとそばで見ていたのでなんとか作り上げてしまうんですね」

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昨年から続く自由に外出できない事情により、福岡の生徒さんが東京での作品展を直に見る機会には恵まれませんでしたが、毎年恒例になっている博多阪急での引き続きのお披露目が予定されています。満開の桜に彩られた春の余韻を引きずりながら、次は地元博多からの歓声が待ち受けています。

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