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選択子なしって知ってますか

子をもたないことを自ら選択する

夫婦二人の時間を大事にしたいから、ライフスタイルを変えたくないから、子どもが好きではないから、過去に嫌な経験をしたから、など、子どもを産む身体的な能力自体はあるけれど、様々な理由から子を持たないことを選択する生き方です。これが正式名称かは分かりませんが、僕ら夫婦もまた、選択子なしとして生きたいか、大いに悩んでいる身です。本当に子どもが欲しくて、でも産むことができない環境の方からすれば、「なんて贅沢な」と思われそうですが、中には子どもは好きでも生むことに不安と悩みと葛藤を抱えている人も多くいると思います。

僕はもともと子どもが好きで、子どもが欲しいなと漠然と思っていました。
本当に、人間という生物にプログラミングされた通りに、なんの思考もなくそう思っていました。しかし、妻と真剣に話し合いをする中で、自分の知識不足を目の当たりにし、様々な意見や文献に触れ僕なりの不安も明確になりました。それは妻の健康と安全、それから生まれてくる子の幸せです。

出産は母子ともに命がけ

様々な本の中で衝撃的だった一冊が、『産声のない天使たち』。
漠然と「子どもは元気で可愛い」と思っていた平和ボケした頭を殴られた、
そんな一冊です。出産は命がけ。名状しがたい痛みと母子ともに命をかけた行為であり、大好きな妻に「危険を冒してでも産んでくれ」と言えるほどに子どもがほしい理由などあるわけもなく。但し、出産にはある種のタイムリミットがあることも知っています。子なしを選んで後悔しないか、子どもが欲しい理由って何だろうね、そんな話し合いを妻と今も続けています。
(ちなみに夫婦ともに28歳です。)

妊娠すれば元気な赤ちゃんが生まれるはずーーそう思っている人は少なくない。でも実際は悲しみの中で出産に挑む妊婦もいる。「赤ちゃんの心臓が止まっています」「赤ちゃんに病気があります」そんな宣告をされて出産を迎える妊婦たち。幸せオーラに満ちた産婦人科で、一人地獄に迷い込んだ苦しみを抱える。深い暗闇の中に沈む親たちの背中を押す温かいお見送りやグリーフケアや、NICUのいまをルポする。

(楽天ブックス<内容紹介より>)

死ぬ権利、生まれる権利

同時に考えるのは子の幸せ。生まれてきて良かったと感じてくれるか。
ちょっと弱気だな、「絶対に幸せにしてやる」という気概を持てよ、
そんなもう一人の自分がいないこともないです。ただ、この本にこれまでの
固定観念というか、一つの常識だと思っていた土台がひっくり返され、
初めて本を読んだ後に気持ち悪くなり目を閉じました。
(人って混乱すると本当にクラクラするんですね。)

「あなたは、この世界に生まれてきたいですか? この世界に生まれてきてくれますか?」子どもを産むためには、その子からの同意が必要となる世界を舞台にした衝撃作。『彼岸花が咲く島』で芥川賞を受賞した著者による、芥川賞受賞第1作。

楽天ブックス<内容紹介(出版社より)より>

最近取り沙汰される「死ぬ権利」。対義語は「生きる権利」だと思っていました。終わりを選択する「死ぬ権利」の対義語は、始まりを選択する「生まれる権利」なのでは、そんな問題提起がなされる世界で、出産は胎児から同意を得ないとできない。親の収入や遺伝する短所長所、自分がこれから生まれ育つ国(国籍)、世界情勢(少子高齢化とか戦争とか)等を総合的に指数化した”生きやすさ指数”を胎児に見せ、生まれたいかどうかを問う。胎児の同意なく産めば犯罪となる。そんな本。

幸い、辛いこともたくさんあったけど、僕は生まれてきてよかったと思える人生を生きている。だからといって、自分の子どもが同じように生きていける保証はないし、昔よりも遥かに生きづらい世の中になりつつある。(年金だって若者から老齢者に払うただの税金になるだろうし…。)

子どもが欲しい理由ってなんだろう

そんな2大不安を打ち破れるような、子どもが欲しい理由ってなんだろう。
もともと子どもが欲しいかなと思っていた身としては、改めてなんで
欲しいと思っていたのか、思い返してみた。
自分自身子供のいる家庭の幸せを感じてきたから。可愛いから。育ててみたいから。一人前(?)の大人になるため…。
どれも自分目線で、あの本を読んだあとだから生まれてくる子ども目線の
理由に欠け、余計しっくりこない。現実には、生きやすさ指数なんて作れないし、胎児からの応答も得られない。だから、子ども目線の理由なんて
生む側が考えても押し付けにしかならないのだけど、少なくとも僕が行き着いた子どもが欲しい理由って、全部大人のエゴ。子どもが本当に衰弱して「どうして生んだの」って聞かれたら、なんて答えればいいんだろう。
生まれてきた子をもし可愛いと思えなかったら、馬が合わなかったら、どうしよう。そんな答えのない問いが、ここ2-3年ずーっと頭にあるわけです。

なんとかなるって!

考え尽くしても答えが出ない未知の部分に関して、
「きっとうまくいくさ!」と楽観的になるタイプの人と、
「失敗するかもしれない」と悲観的になるタイプの人がいます。
また、仮に子どもにつては楽観的になるタイプの人でも、
家を買うときや転職するときなど、場面によってメッシュが変わる人がほとんどだと思います。要は、皆それぞれの事象を自分なりにタイプ分けしていて、このUnknownは多分うまくいくやつ、このUnknownはちょっとヤバそうなやつ、と都合のいいように捉えているんじゃないかと思います。僕自身はそうです。片付けや洗濯物についてはめちゃくちゃ細かいのに、味付けや日用品の購入は超適当です。僕の場合は、問題が起こっても取り返しがつく、極端な話(払える範囲の妥当な額の)金で解決できる、実損は限定的なものについては楽観的です。(味付けも食べならがバランス取ればいいですし、適当に買った商品がうまくいかなければ別のものを買い直せばいいし、むしろ悩む選択肢を一つ潰せたことに意義があると捉えます。)一方で、例えば犬を飼う、子を生むはどうでしょうか。僕の価値観からすれば、ここに潜むUnknownは取り返しのつかないものが含まれています。これを「なんとかなるさ!」で乗り切ることは自分の性格上できない気がするし、いくら助言を聞いたり文献を読んでも「親」になってみるまで「親」になることはできないわけで、Unknownを潰し切ることはできないわけです。

前置きにしては長すぎて申し訳ないのですが、タイムリミットを意識しながら、子どもを生むことについていつか本当に決断しなければならない日が来たときに、彼女の目を見て自分の考えがちゃんと伝えられるように、子がほしいのか、そうではないのか、毎日ゆっくり悩んでいます。とか言いつつ、
気づいたら期限を過ぎて子なし夫婦確定になってたとして、土日の朝にダラダラ起きて、おやつを食い散らかして、ゲームして映画見てフライパンでなんちゃって焼肉して、散らかした部屋は明日片付けようねといいながら、翌朝気まぐれに買い物にでかけちゃうような、そんな毎日も素敵に違いないんですよね。

今更ながらなのですが、このNoteは僕の思考整理の目的で書いており、
もし読んでくださっている方がいれば読みづらくてごめんなさい。

子どもが欲しくない理由

結婚・家族形成に関する意識調査<子どもが欲しくない理由>(内閣府・H27年)

ということで、自分のことは一旦さておき、一般世論の動向から子どもについて考えていきたいと思います。(これが今日の本題…笑)
毎年の調査ではないのですが、回答総数1,000超の調査が他に見つからず、
9年前と古いものですが内閣府の資料を引用します。女性のTop3は、

  1. 子育てするのが大変そう(54.4ポイント)

  2. 自分のために使える時間やお金を減らしたくない(35.5ポイント)

  3. 経済的余裕がない(31.6ポイント)

数ポイント差でしたが4位に「夫婦2人の生活を大事にしたい」もあります。
男性のTop3は、

  1. 経済的余裕がない(42.1ポイント)

  2. 子育てするのが大変そう(41.9ポイント)

  3. 自分のために使える時間やお金を減らしたくない(25.5ポイント)

順位は違えどTop3の項目は男女ともに同じですね。
理由が様々にありますが、本質的な理由がどこかに隠れてるはずです。

経済的余裕がない

これは読み手次第では、子どもが欲しいけどお金が足りないから諦める、
と変換されそうですが、勘違いしてはいけないのは飽くまで本調査が
「子どもが欲しくない理由」を問うていることです。
つまり、「今のライフスタイルを変えるくらいなら欲しくない」と読むべきだと思いました。つまり、今の生活レベルを落とさない限りは子どもが持てるような経済状況ではないということです。

子育てするのが大変そう

仕事だって大変です。それでも働くのは、嫌なことだけではなくやりがいもあるし、何よりお金を稼がないと生活できないからです。働かないという選択肢は無いです。一方で、子を持つかどうかはオプションです。選べます。しかし、子を持つリスクはたくさんあります。最近のSNSでの炎上動画拡散で親が謝罪してますよね。どこまでが親の責任かという議論は一旦横に置き、保護者としての責任が発生しますし、自分の予定は殆ど思い通りにならないでしょうし、子どもの急な体調の変化や高い学費もリスクと言えます。他方、子どもを持たないリスクってなんでしょうか。今の時代、労働力としての子どもは、自分の視点だけに経てば不要でしょう。老後の面倒も自分で見る(ホームには入るのだけど…。)時代。
「リスクと大変さを取ってまでわざわざ子を持つメリットがない」と読みかえることができそうです。(この話はまた今度深掘りを…。)

自分のために使える時間やお金を減らしたくない

これはそのままです。「金と時間を突っ込むほどほしいと思わない」ということです。ゲームやアイドル、バンド、アニメ、なんでもいいですが、課金したりツアーに参加して時間とお金を消費しても惜しくないものってありますよね。子どもはそうではない、という回答です。

生むのもエゴ、生まないのもエゴ

今回ご紹介した調査結果は、僕(ら)の辿り着いた現時点での子どもに対する見方と一致するトレンドでした。冒頭で述べた通り、子を生むという行為は親のエゴだと僕は今捉えています。(もちろん、自分の親に「お前が好きで勝手に生んだんだろ」とは決して思いません。それは別の話です。生んでくれて感謝してるし、おかげ妻とも出会えて幸せです。)「生まないのもエゴ」と言うと、まるで生まなきゃいけないものを駄々こねて嫌がっているように読めるかもしれませんが、そうではなく。子どもの世界がどうなっているか分かりませんが、生まれてみたいと思っている子がいたとして、生まないと決めるのも親の独断だと思うということです。そしてその理由もだいたいが自分本意だということです。もちろん、自分の幼少期に辛い経験をしていたり、家系的に遺伝しやすい障がいなどを書かている方には当てはまりませんが、少なくともそういった条件に当てはまらない自分たちにとっては、生む/生まないの選択はどちらもエゴになりうると思いました。

欧州でトップの出生率を誇るフランスでさえ、子を生みたくない理由の1位は「制約受けずに生きたい」です。生活の水準を切り下げたり、これまで趣味に使っていたお金を減らしたり、自分だけの時間を削ったりしてでも、子どもがほしいと思えるか。それほどまでに愛する存在として子どもを想えるか。というところまで来ましたが、結局、「じゃあ僕は子どもがほしいのか、いらないのか」はまだ思考中です。ただ、少なくとも僕は専業主婦の妻に対して「自分のために使える時間やお金を減らしたくない」と感じたことは微塵もありません。

まだ見ぬ相手を愛せるか愛せないか、悩みすぎっちゃあ悩み過ぎだけど、あやふやなままでは進めないですよね。

もともと子どもが欲しくて、色んな本読んで子ども欲しくないになり、Twitterを始めてNutralになり、今どっちに進むのかまた悩んでいる身です。
いろんな方の記事も覗きに行きながら、またここで思考整理していきたいと思います。

おまけ:お金の心配尽きなさすぎる・・・。

妻の年齢別にみた、理想の子供数を持たない理由(内閣府・H27年)

理想の子供数っていうのは、「何人くらい子ども欲しいですか」に対する答えで、例えばそれが「2人」なのに、実際「1人」しかいない場合、「なんであともう1人は生まないんですか?」という質問に対する回答を集計したのが上図です。

40-49歳(紫)では「高齢で生むのは嫌だから」はウンウンという感じなのですが、それを除けば、全年齢で「お金がかかりすぎるから」がトップなのはやばすぎる気が…。

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