忘れられていた約束

とうとう2月も最終。最後の水曜日のことだった。

毎月最終週の水曜日は車で遠方に行く仕事を受け持っていることが多い。その日も東大阪に車を走らせていた。

その道すがら友人から1通のメール。「今日行こうって行っていたビアンオフ会なんですけど、ごめんなさい仕事が入って行けなさそうです><」

…おお、忘れてた。

まあしかしあのベテランの集まりじゃ、出会いもできないだろうしなあ…うーん、まあしかし食事の出る集まりだしなぁ。最後の希望だと思って行ってみるか。

わたしはちょこっと顔を出してみることにした。

着いた時点でもう三十人ほど集まっている。ワイワイガヤガヤ…実はわたしこういう雰囲気って苦手。人見知りするし、場所見知りする。とにかく案内されたテーブルに座る。

そのテーブルに好みのタイプの子は見当たらないので、とりあえずその席からひたすらごはんを取りに席を立つ。同じテーブルの人たちは臨月でお腹パンパンのわたしに興味津々で質問攻め。

なにせもう自己紹介婚活テンプレができているので、食べながらあれこれ応える間に隣の席の子がもうすごい食いつき。「わたしも産みたいんです…!」とのこと。

そんなこんなで3度目のごはんを取りに行って席に戻ったあたりで、なんとも輝かしい存在を発見!!!

もうわたしはごはんどころじゃなくなって、隣の子と同じテーブルの人に「えっちょっとあの人!めっちゃタイプなんだけど!」と鼻血の出そうな勢いで興奮気味にテーブルで話す。

すると奥に座っていた上下真っ赤な洋服のベテラン風大御所感溢れるご婦人が「あの子…京都の子なんだって。さっきの席替えで話したけど、押せばなんとかなりそうよ…」と謎の一言。

なんかすごい…説得力ある…

しかしまだ自由時間にならない。自己紹介が回ってくる。遅い…!終わらない…!我慢して我慢して我慢したところでフリータイム開始!すかさず隣に座ってアプローチする。

年齢、職業、住んでいるところなんかを自己紹介して、デートに誘う。「次の休みいつ?」「明後日の金曜日です」「産婦人科にエコー見に行かない?」「いいですよ」わーいデート確定!!!

帰り道、駅まで一緒に帰ることになった。もう舞い上がっちゃって舞い上がっちゃって。帰りたくないぐらい。

ライン交換して、ホームで別れた。

11月から今日の今日まで、こうやって盛り上がったけど結局連絡取れなくなった人もいたし、ダメでもともと…でも…どうにか行くぞ!

そんな気持ちでいっぱいだった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?