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水の中のわたし

脱出マジックみたいな容器に並々注がれた培養液に生まれたままの姿で入り、炎色の液体越しに世界を感じながら、私は、私たちを思い出し、これからの私たちのとりうる分岐の束が、泡のために流れゆくのを、ほっこり見つめ、唇の両端が上がり、笑みを作る。

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