緊急特集 「新型コロナウィルスの影響で日本は食料危機に!?」 Vol.3
執筆:ラボラトリオ研究員 後藤ヨシヒロ
前回(Vol.2)の公開から、しばらく時間が経過してしまい申し訳ありませんでした。秋雨前線からの大雨、台風被害に遭われた方々には心からお見舞い申し上げます。
■2020年度お米の作況指数
収穫期を迎えていたお米、野菜、果樹などの農産物への天候によるダメージは最小限レベルだったようで安堵しております。
10月30日に農林水産省から公表された「令和2年産の作付面積爪及び予想収穫量」によりますと、2020年産のお米の全国の作況指数(※1)は「99」でした。
※1. 作況指数:お米の収穫量を示す指数
▼お米の作況指数
・お米の予想収穫量(主食用):722万9,000トン
・お米の全国作況指数:99
※画像-1:全国農業地域・都道府県別作況指数
※出典:農林水産省>統計情報>分野別分類>作物統計>作況調査
※URL:https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/sakumotu/sakkyou_kome/
この結果によって、少なくてもお米に関していえば、2021年度は日本国でお米が不足することはないでしょう。
ですので、お米好きの方は、どうぞご安心ください!!
「炭水化物ラブ♥」の筆者も、天地自然の恵み、全国の農家の皆さまのご尽力に心より感謝を申し上げたいと思います。
■根拠3. 中国の豪雨被害について
さて、今回(Vol.3)は「新型コロナウイルスの世界的なパンデミックの影響によって、世界同時多発的に食料危機が起こるのではないか!?」と警告する方々の根拠の3つ目である「中国の豪雨被害」について解説したいと思います。
中国では本年6月中旬の梅雨入り以降、内陸部の広い地域で長期的(約62日間)に大雨が続き、中国各地で洪水や土砂災害について被害が報じられていました。
中国政府の応急管理部(防災担当)周学文(Zhou Xuewen)副部長兼水利部副部長による公式発表(8月13日)は次のとおりです。
▼中国政府発 大雨被害状況(2020年9月3日現在)
・被害地域:28省
・被害者数:7,047万1000人
・死亡・行方不明者:271人
・倒壊家屋:7万棟
・経済損失:2,143億1000万元(約3兆3,000億円)
※画像-2:中国湖北省武漢市 2020年7月19日
この被害結果を中国共産党中央委員会の機関紙である『人民日報』(2020年9月7日)は
「中国、今年の水害発生での死者・行方不明者は例年より大幅減」
「被災地域広く経済損失も大きかったものの、死者・行方不明者は直近5年比で半減」と報じています。
※出典:『人民日報』日本語版 2020年9月7日
※URL:http://j.people.com.cn/n3/2020/0907/c94475-9757325.html
農産物に関する被害については、『人民日報』が運営するニュースサイトの『人民網』日本語版(2020年8月7日)が、
「中国に食糧危機はなし」
「夏季収穫穀物は豊作、中国人の食卓をしっかり下支え」と報じています。
※出典:『人民網』日本語版 2020年8月7日
※URL:https://www.recordchina.co.jp/b826264-s10-c30-d0046.html
つまり、中国政府の公式見解をまとめますと、大雨による被害は発生したが、結果的に農産物は豊作であり、食糧危機を心配することは無いということになります。
■中国政府の公式見解を読み解く
ところで、読者の皆さんは、中国政府が公式発表したこれらの情報をどのレベルまで信用されますか……!?
残念ながら筆者は、これら大雨被害の情報、いいえ、中国政府が公式発表する全ての情報は精査(ファクトチェック)する必要があると考えています。
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