ダシャーヴァターラ（daśāvatāra［दशावतार］）とは？

parṇā_minako

2024年1月15日 15:24

ダシャーヴァターラとは、ヴィシュヌ神（विष्णु़［viṣṇu］）の10（दश［daśa］ダシャ）の化身（avatāra［अवतार］アヴァターラ）のことです。

ヴィシュヌ神は宇宙の秩序を回復するためにアヴァターラとして人間の世界に降臨するといわれています。さてどんな化身なのでしょう。

チャトゥルユガ（चतुर्युग［caturyuga］4つの時代）それぞれに登場します。

サッティヤユガ（सत्ययुग［satyayuga］）の時代には

①マツヤ（मत्स्य［matsya］魚）
　最初の人であるマヌ（मनु［manu］人類の祖先）を大洪水から救った魚神です。

②クールマ（कूर्म［kūrma ］亀）
　乳海の撹拌のとき巨大なマンダラ山（मन्दर ［mandara］）を甲羅に乗せて支えた亀神です。

③ヴァラーハ（वराह ［varāha］イノシシ）
　悪魔ヒランニャークシャ（हिरण्याक्ष［hiraṇyākṣa］）を退治し、水中に沈んでいた地球を牙で隆起させて救ったイノシシと言われています。

④ナラスィムハ（नरसिंह［narasiṃha］ライオンの獣人）
　ダルマ（धर्म［dharma］秩序と正義）を回復するために、アスラ（असुर［asura］悪魔）の王ヒランニャカシプ（हिरण्यकशिपु［hiraṇyakaśipu］）を殺し、地上の迫害と災難を終わらせた半分ライオン、半分人間の獣人です。

トレーターユガ（त्रेतायुग［tretāyuga］）の時代には

⑤ヴァーマナ（वामन［vamana］ドワーフ神）
　悪魔の王ダイティヤ族（दैत्य［daitya］）のマハーバリー（महाबली［mahābalī］）に支配された3 つの世界（त्रैलोक्य［trailokya］トライローキャ（天、地、冥界））を小人から大男になって3 つのステップを踏んで取り戻す物語。

⑥パラシュラーマ（परशुराम［Paraśurāma］斧を持ったバラモンの戦士）
　クシャトリヤ（क्षत्रिय［kṣatriya］王族と戦士の階級）が武器と権力を乱用し、他人のものを武力で奪い、人々を圧制したときに、パラシュラーマはクシャトリヤ戦士を21回破壊することで宇宙の均衡を正した。

⑦ラーマ（राम［rāma］）
　ラーマーヤナ（राम［rāma］）の主人公、悪魔ラーヴァナ（रावण［rāvaṇa］）に誘拐された妻シーター（सीता［sītā］）を苦難を乗り越えて救出する有名な物語。猿の神ハヌマーン（हनुमान् ［hanumān］）が登場することでも馴染み深いです。

ドヴァーパラユガ（द्वापर युग［dvāpara yuga］）の時代には

⑧クルシュナ（कृष्ण［kṛṣṇa］）
　偉大な叙事詩『マハーバーラタ（महाभारतम् ［mahābhāratam］）』の中でクリシュナは、ヴィシュヌの化身として主要人物の一人として登場します。その中の第6巻『バガヴァッドギーター（श्रीमद्भगवद्गीता［śrīmadbhagavadgītā］）』クルクシェートラの戦い（कुरुक्षेत्र युद्ध［kurukṣetra yuddha］）では主人公アルジュナ（अर्जुन［arjuna］）の御者・導き手として、真実（सत्यं［satyaṃ］）の知識（ज्ञानम्‌［jñānam‌］）とカルマヨーガ（कर्म योग［karma yoga］行い）などによるモークシャ（मोक्ष ［mokṣa］自由）について語っています。

⑨仏陀（बुद्ध［buddha］）
　日本人にはお馴染みの仏教の開祖釈迦（शाक्यमुनि［śākyamuni］シャーキヤ族の聖者）ガウタマシッダールタ（गौतम सिद्धार्थ［gautama siddhārtha］）BC624 -BC595（諸説あり）ブッダ（ बुद्ध ［buddha］）は、「目覚める」を意味するブドゥ（ बुध् ［budh］）に由来する「目覚めた人」という意味。

画像：左からクルシュナ、バガヴァッドギーターのクルシュナ＆アルジュナ、仏陀いずれもwikiより

カリユガ（कलियुग［kaliyuga］）の時代には

⑩カルキ（कल्कि［kalki］）
　カリユガの最後（西暦428,899 年頃？）に現れて暗黒時代のあらゆる悪（अधर्म［adharma］アダルマ）を滅ぼして善（धर्म［dharma］ダルマ）によって新たな黄金時代（サッティヤユガ（सत्ययुग［satyayuga］））へ導いてくれる救世主。白い馬に乗ってやってくるらしいです。

※アヴァターラのエピソードや順番、時代は諸説あります。