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タットヴァ・ボーダ:人間の肉体とは?

古代インドの聖典では人間の肉体をどう捉えていたのでしょうか?


ウパニシャッドの入門書タットヴァ・ボーダ(तत्त्व बोधः tattva bodha)の中で生徒が先生に質問します。

「先生!人間の肉体とは何ですか?」
それに対して先生は、目に見える物質化された体と目には見えない体,
そして潜在的な可能性の体が3つあると答えます。

3つの体(シャリーラ・トラヤ शरीर त्रय śarīra traya)


さて順番に見てみましょう。


①物質で構成される体

ストゥーラシャリーラ( स्थूल शरीर shthūla-śarira)
現れ、生まれ、育ち、変わり、老い、死んでいく6つの変化を持つもの。
パンチャマハーブータ(पञ्चमहाभूत panca mahābhūta)五大元素のことです。

地:earth     プリティヴィー (पृथिवी prthvī)
水:water     ジャラ( जल jala )
火:fire       テージャス( तेजस् tejas )
風:air        ヴァーユ( वायु vāyu )
空:ether or space アーカーシャ( आकाश ākāśa )

この肉体は様々な経験をし、学ぶ場所、道具です。
そして本来の自分は、肉体に限定されるものではないといわれます。

②目には見えない体

スークシュマ シャリーラ ( सुक्ष्म शरीर sūkṣma-śarīra )
感覚、心、動かす力、五感など目には見えない体
17のパーツによって構成されています。
たくさんあるので表にしてみました。

17の目に見えない体(スークシュマ・シャリーラ)

●5つの感覚器官 パンチャ・ニャーネーンドリヤ( पञ्चज्ञानेन्द्रिय panca jnyānendriya)(パンチャ・インドリヤ पञ्चइन्द्रिय पञ्चइन्द्रिय)
●5つの行動器官 パンチャ・カルメーンドリヤ( पञ्चकर्मेन्द्रिय panca karmendriya)
●5つの生理機能 パンチャ・プラーナ( पञ्चप्राण panca prāṇa)
●感情/心 マナス(मनस् manas) 
●知性      ブッディ(बुद्धि buddhi) 

③体を生み出し、次々と現れる考えや行いの原因となる体

カーラナ シャリーラ ( कारण शरीर kāraṇa-śarira )潜在的な可能性の体
今の自分の肉体や心を作った原因のこと。過去生の潜在的記憶 ヴァーサナー(वासना vāsanā)からきているものとも言えます。目に見える体と目に見えない体の2つの体を表す潜在的な可能性。根源的な自分に対する無知とも。

今の体が存在するのも “無知に基づく潜在的な可能性” があったからだと言えます。さて、ここで生じたあなたの疑問はタットヴァボーダの学びによって一歩踏み出して理解していくことができます。

参考図書:やさしく学ぶYOGA哲学 ウパニシャッド 向井田みお (著)


まとめ

タットヴァ( तत्त्व tattva )とは真実という意味、ボーダ( बोधः bodha )とは知識、経験、思考を意味する言葉だそう。

自分とは何か?自分自身を見極める
意識の根源を見極める(アートマ・ヴィヴェーカ आत्म विवेक ātma viveka)

自分とは3つの体(シャリーラトラヤ शरीर त्रय śarīra traya)に限定されない存在であると知ることです。

インドの聖典はものすごくよくできています。
1000年以上も前(ルーツはもっと以前?)から “ 人間とは? “ という現代にも通用する哲学が思考されています。

今回は一部分をご紹介しました。
YOGA哲学にご興味のある方は、自己探求への第一歩をここから始めてみてはいかがでしょうか。


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