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【認知症ではない”忘却”のお話】

ちょっと難しいハナシを攻めてみます。
精神症状のお話ですが、解剖学的にというか、生物的にというか、説明が困難なものがあるというお話。

認知症ではないのに、精神的な負荷によって「忘れ去る」ことがあるんですね。


解離性健忘

突然発症する「忘れる」という精神症状のこと。
ただ忘れるだけではなくて、次のような特徴が見られます。

● 脳などの体の異常が無い

● 記憶が部分的  or  全体的に無くなる

● 体で覚えた生活機能(寝る食べる、電車乗るなどなど)は忘れない

● 意識はクリア

本人が耐え難い心理負荷を抱えたときなど、こころを守るために記憶機能をシャットダウンする働きです。
ドラマなどで記憶喪失のエピソードが取り上げられることがありますが、イメージはそんな感じでしょうか。

治療の際は、なんらかの大きな衝撃を受けた経験を持っていることを前提に、本人のペースで介入するのがベストだと考えられています。
薬を飲んで、はい終わり…という治療ではないんですね。 


理由がわからないまま放浪する
解離性遁走

解離症状は、忘れるだけではなく”いなくなる”こともあります。
本人の自覚無く放浪する行動です。
本人の行動に目的が無いのだから、当然周りの人もどこに行ってしまったのかわかりません。

放浪している間は、上で述べた「解離性健忘」を伴うと言われています。
たとえ見つかっても、放浪した経緯を思い出せないなどの様子があるということですね。

ただ、日常生活の能力は失わないため、一見すると普通に暮らしている人のように見えるはずなのです。


解離とはなにか

そもそも、解離ってなんでしょう。
解離は精神科で使う正式な名称です。
意識や記憶、感覚や運動能力などを取りまとめる力が一時的に失われる状態のことを示します。

いつもの自分から離れる状態…つまり、解離ということでしょうか。

心的な衝撃、解決が難しい問題、対人関係などの葛藤が堪え難いレベルになった際、自分のこころを守るための防衛機能として発動される症状だと考えられています。


こころや脳は、まだまだわからないことばかり。それらの原因や機序が解明される日が来ることを期待するのでした。

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