Keith Jarrettのニュースを聞いて
keith Jarrettの音楽を初めて聴いたのはおそらく21歳のときだった
"My Song"というアルバムを聴いてぼくはぶっとんでしまった
最初の"Questar"のイントロのピアノの音から美しすぎてもうだめだった
"Country"に至っては涙があふれてきた
それ以来ぼくはずっとKeithのファンである
来日公演があれば出来る限り聴きにいった
CDもほとんど買ったと思う
そんなKeithが脳卒中でピアノが弾けない状態だという
回復も難しいらしい
本人の思いはぼくにはわからない
ファンとしては悲しい
しかし回復を祈るというのもまた何か違うような気がする
ぼくはKeithに信仰に近い思いを抱いている
ぼくとしてはこれまで膨大な偉大な作品を残してくれて本当にありがとうございますというほかない
何かをお願いするにはKeithはぼくにとって偉大すぎるのだ
彼のピアノの音は誰にも真似できない音である
ぼくはプロのピアニストだから大抵のピアニストは音を聞けば大体どういうふうに弾いているかは予想がつく
しかしKeithのプレイは既存のセオリーだけではなかなか説明がつかない
あの音は(実際の重さは別として感覚的な)とてつもなく重い腕をものすごく細かい集中力でもって制御して初めて出る音だと思う
その集中力というのは練習で身につくようなものではなく空間の空気が要求される
彼が客に異常なほどの静寂さを求めるのもそれが理由であろう、とぼくは常々思っている
その姿勢を傲慢だと批判する人も多くいる
でもぼくはそれでいいと思う
傲慢でいいではないか
だって世界一の音楽家のうちの一人なのだから!
お金を払って喜んで彼の音楽の前にひれふそうではないか
彼はぼくにとってやっぱり神様である
実際にどういう人かは知らないし興味もない
神がどんな性格なのかということを凡人が知る必要はない
だから一度サイン会があったときも行かなかった
握手をしてもらおうなんて思わない
ぼくにとっては神様だからだ
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