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issue 15 「哀しき悪の精鋭集団、デルザー軍団万歳!」 by ivy

少し前に歳上の兄さんたちと呑んでいて、仮面ライダーの話に。

別に話題のメインテーマではなく、

「ちっちゃい頃、どの代見てた?」

程度の話。

考えてみると学生時代に流行ったバンドの話なんかより、よっぽど共通して盛り上がるポテンシャルがある話題だよね。

さてさて ... 私は幼い頃どの代だったかな、なんて考えたのだけど、思い返すとレンタルビデオで見た昔のライダーが好きだった。

当時は、秋葉原で怪人の中古ソフビ(ビニール製フィギュア)を買い漁って家に集めていて ...

うーん、小さなヲタクだ。
メガネはないけど、既に『お喋りサブカルクソ野郎』。

ソフビコレクションを今見ると、好きなやつほどよく遊んだので色が禿げていたり、パーツを失くしていたりする。で、明らかなお気に入りは ... 今回紹介する、「デルザー軍団」に属する魔人の皆さん。

5代目仮面ライダー、ストロンガーの悪役で且つ登場はシリーズ後半のみ。従ってキャラ数が少なく、他の「悪の秘密結社」に比べて小規模なんだけど ...

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特徴は、単純に全員が強過ぎること !!

怪人(デルザー軍団では魔人と呼ばれている)は皆、歴史上の軍人や伝説の怪物、妖怪の末裔 で世界中から呼び寄せられた精鋭連合、という設定。

そのため、メンバー間のヒエラルキーがなく、全員が幹部クラスの実力者、というスペック。普通 にライダーが負ける。ボッコボコにやられる。

当然ながら他の怪人にありがちな、あり得ないぐらい詰めが甘い、子供でもわかるくらいの弱点 (火の怪人が水で死ぬみたいな)がある、雑魚キャラが多い、とかは一切当てはまらない。一話完結でやられる雑魚キャラはいないので、全魔人のストーリーがやけに丁寧に描かれていた。中世の騎士がそのまま魔人になったジェネラルシャドウは姑息な手段を徹底的に嫌ってライダーと一対一に持ち込みたがるとか、紅一点のドクターケイトはヒロインに嫉妬して更に冷酷になるとか ...

やたらと人間臭い。

もうこれ製作側が魔人に肩入れしてるだろ、と言いたくなるばかりの扱いだ。

そんなデルザー軍団には、致命的弱点が。

それは、全員の力関係が均衡なため、統率力がない ... っておい、そりゃダメだろ。魔人同士の内部抗争でグダグダになり、最終的に壊滅してしまう。

軍団提唱者であるジェネラルシャドウがやはり不憫。自分と同じくらいの強さを持つ「悪のアベンジャーズ」をやろうとしたらみんな自己中心的に動いて邪魔ばかりする、と。

なんかこう、ちょっと現代社会にもいそうな、野心家の悲哀を感じるんだよね ...。仮面ライダーの怪人たちって、ほら、なんか中間管理職の苦悩を縮図にしてるようにすら思える時があるんだけどさ、デルザー軍団の魔人さんたちも人間の性が悪く働いて、どうにもうまくいかない歯痒さが やけに共感できてしまうんだ。

さて、社会人になって思い返す仮面ライダーは、ほとんどライダーについての話をしないまま終わってしまうけど、なんだか怪人側の方が人間くさく思える不思議なシリーズだった「ストロンガー」。

梅雨時、どうしようもなく暇な人は、ぜひ。


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ivy(アイビー)
会社員で物書き、サブカルクソメガネ。
自己満 ZINE 製作や某 WEB メディアでのライターとしても活動。
創り手と語り手、受け手の壁をなくし、ご近所付き合いのように交流するイベント「NEIGHBORS」主催。
日々出会ったヒト・モノ・コトが持つ意味やその物語を勝手に紐解いて、タラタラと書いています。日常の中の非日常、私にとっての非常識が常識の世界、そんな出会いが溢れる毎日に、乾杯ッ!
https://www.instagram.com/ivy.bayside​

イラスト:あんずひつじ



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