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#05 「常に最新の作品がベスト」

このコラムでは、現在パークギャラリーで開催中の『THE BEST展』に参加してる20人のアーティストの作品が、この小さな会場にどのように並ばれていったか、そのプロセスを語りながら、20人の作家の作品を紹介しています。残り4日となりました。会場に来る前にでも、見た後にでも、どうぞ。

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写実的じゃなくてもリアルは描ける

#01 に書いた「焚き火を囲むような展示になれば」という通り、設営が進むにつれて、あたたかな空間ができてきます。

次に語りかけてきたのは、イラストレーターとペインターと、2つの顔を持つアーティスト・せのーくんの作品。ぽかぽかとしたひだまりの中、彼女は待っているのか待たせているのか。ぬくもりのある作品は自然と石橋さんの絵の隣に並びました。

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『写実的』というわけではないのだけれど、写真的なコンポジションのおかげで、日常のささやかなワンシーンを両手でやさしくすくいあげるような作品になっているかと思います。不思議とリアルなんですよね。意外とこういう日常的でシンプルなテーマ、モチーフ選びをするひとってすくないので、どんどん描いてほしい。instagram や ZINE の作品も、すこし非現実的なシーンだったり SF っぽいモチーフもあるのだけれど、どこか身近な感じがして気持ちがいい。

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それにしてもイラストとペイントの作風のギャップがおもしろいので、ぜひ両方のアカウントをチェックしてみてください。

https://www.instagram.com/kaeriten/

2つのタッチがあると、よく「絞った方がいいのでは」とか「ブレてる」という議論になりがちなのですが、せのーくんは両輪で走れる力がしっかりあるなと感じています。今後がたのしみな作家さんです(京都造形はいい作家輩出するなあ)。

こんこんと湧き出る愛と生命の泉

#02 で触れた新多正典さんの力強い(強すぎる)写真作品、そして、#03 で紹介した強いコンセプトの折田千秋さんの写真。この2つの個性的な作品に埋もれさせずに存在感を放つことができる作品として選んだのが、愛媛在住のイラストレーター kirinpicnic(きりんぴくにっく)さん。名前のインパクトもさることながら、大胆な構図、色彩感覚が目を引きます。

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いつでもこんこんと湧き出る愛と生命の泉

というメッセージを込めて描かれた作品は、カラフルなのはもちろん、明るさだけじゃない、ポジティブなエネルギーに溢れています。パステルカラーや蛍光塗料を使って、鮮やかに描くイラストレーターはたくさんいますが、kirinpicnic さんの鮮やかさは何かほかと違くて、その理由が知りたくて、参加を決めたというのがありました。「実物をみて確かめてみたい」という感じ。実際送られてきた作品を手にして、コロナ禍で落ち込んでいた気持ちがパッと明るくなりました。

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愛と生命の泉を湧かせて、みんなで共有することができる唯一の手法が、アートなんですよね。そんなかんたんなことを忘れてました。パワースポットみたいな作品を、ぜひ会場で、その目で確かめてみてください。

愛媛に kirinpicnic あり。名前だけでも覚えて帰ってくださいね。


常に最新の作品がベストなのです

たくさんの作家の数だけ、たくさんのベストな理由がありますが、こんな風に言われたら、もう惚れてしまいますよね。

常に最新の作品がベストなのです

アートユニット giddy design の絵担当。イラストレーターというより絵と共存しているアーティストという印象を受けました、千野六久さん。飯を食うように絵を描く人って感じ。久しぶりに見てて気持ちの良い、抜け間のあるオルタナティブなアートワークを見た気がします。規格外の遊び心、時々現れる大胆かつ繊細な描写、色使い。最初、絵だけ見せてもらった時に、海外のアーティストからエントリーがあったのかなと思ったくらいでした。

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なんですかね。言葉にすればするほど千野さんの作品の前では野暮な感じになってしまって、うまく言えないのです。ナンバーガールをはじめて買って聞いた時のような感じとか。雑誌でいうところの STUDIO VOICE に出会った時のような。うーんわかるかしら。バンドや雑誌で例えるなって話ですが笑。突き当たりの壁で、全体の空気をしっかりと受け止めてくれているような存在になりました。

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イラストとかアートとか写真もそうだけれど、好きなものや、好きな景色とかだけじゃなく、聞いてる音楽とか、食べてるものとか、暮らしている環境とか、恋人や家族の存在とか、つまり衣・食・住というか、どのカルチャーに触れているか、というのが大きいと思ってるんですよね。頭でっかちな作品とか、小手先でやってる作品とか、なんとなくバレる。売れたりするかもしれないけれどぼくは好きじゃない。暮らしや思想から滲み出てくるような作品が好きだし、そういうアーティストさんたちの下支えになるようなギャラリーになれたらと思っています。

千野さんの instagram に精力的にあがってくるドローイングも含めて、血となり骨となった作品がたくさん見れます。

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絵の中にも登場しているストレスくんが在廊してますよ。

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いよいよ残すところ今日を入れてあと3日。

常に最新の作品がベストという言葉にもあるように、パークも、明日はもっといい店にできるようがんばりたいな。たのしみたいな。

パークギャラリーに居るひと
加藤淳也 👉 instagram


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