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【 レビューあり 】 Amenyan 『Kibo no yukue』 東京都

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ZINE REVIEW by ivy(ゲスト)

衝動に駆られて。


創作活動において、作家にも、受け手にも、この言葉はキーワードとなることが多い。音楽ヲタクである私からするとどうしても音楽で考えたくなってしまうのだけれど、小6の夏に度肝を抜かれた T.REX の「20th Century Boy」とかさ。あれが「Get It On」だったらもしかして音楽にハマってい
なかったかもって思うんだ。


つまりは、言葉で説明はつかないけれど、替えが効かない一瞬の興奮や衝撃、それが生み出すエネルギーとアクションが衝動である、と私は考えている。


直感と好奇心、衝動によって様々な作品を生み出すAmenyanさんのZINE「kibo no yukue」。本作もコロナ禍の影響を受け衝動的に創り上げられたという。


強烈な色づかいでめまいを起こすようなモチーフが並んだ本作は、まさに衝動という言葉を体現している。衝動が起こる要因となった出来事と、それが起きたタイミング、その瞬間に起こした当事者のアクション、この3要素が同時に起こす爆発こそが衝動であり、その爆発を一冊の ZINE に詰め込んでいるからだ。

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先にいってしまうと、衝動を追体験することはできない。当事者が、その瞬間にのみ味わうことができる「替えが効かない」体験であるから、その衝動がどのようなものであったのか、作品を通して解き明かすことは意味をなさない。


ただ、その衝動を通して、他者にどんな影響を及ぼすか、これ自体はその表現の鮮度と制度が保たれている限り、半永久的に色褪せない。

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Amenyan という表現者の衝動をあなたはどう受け取るか、それこそにこの ZINE の魅力・意義が集約されている。


またまた音楽の話に戻ってしまい恐縮だけれど、アルバム作品(特にロック)の褒め言葉に「〇年前の作品とは思えない」「〇年たっても変らぬ衝撃」というのがある。これは決して大げさな惹句ではなくて、アーティストが起こした衝動をいかに時を経ても聴き手に影響力を持つか、という話だと思う。一瞬の衝動が時代を超えて、国を超えて、多くの人に影響を与える、そして、それが替えの効かないものである。

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この ZINE が「kibo no yukue」というタイトルであることも、強烈な色遣いをしていることも、コロナ禍が要因となったと明かされていることも、理屈では説明がつかないと同時に、受け手にとって全てが影響を及ぼす衝動の産物だ。


この ZINE を取った人がどんなタイミングで、どこで、それまで何を考えていたかで、受け取り方も違うだろう。そして、それは「kibo no yukue」という衝動による、新たな衝動体験だ。

レビュー:ivy(ゲスト)


---- 以下 ZINE の詳細と街のこと ----


【 ZINE について 】

2020年4月から、コロナをきっかけに衝動的に制作したもの。

価格:¥1200(税込)
ページ数:22P
サイズ:210 × 297mm


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作家名:Amenyan(東京都大田区)

直感と、自分自身の感情、好奇心から衝動的に作り上げたものが、様々な
形で生まれてきます。予想外のものが出来上がった瞬間、新たな旅へ出発していると思っています。

https://nyankofilm-amenyan.localinfo.jp

【 街の魅力 】
街の雰囲気がゆっくりと流れているところ。
【 街のオススメ 】
池上本門寺


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