【 レビューあり 】 くぼいともこ 『Food illustration 2019-2020』 神奈川県

ZINE REVIEW by いのうえ あかね（PARK GALLERY）

『Food illustration 2019-2020』
その大胆でクールなタイトルを纏った１冊の ZINE が届いた。
イラストレーターくぼいともこさんによる “食” をメインにしたイラスト集となっている。

元々食に興味があったのと、食べることが好きだというくぼいさんは、「フードイラストで１冊作ってみたい！」と思い立ち、くぼいさん自身はじめての ZINE として、この１冊が出来上がったそうだ。

これまでも数々のフードイラストを描かれている。
それも実に繊細に、質感や潤しさも細かく表現されていて、描かれている食べ物への愛しさまでも伝わってくる。

くぼいさんのインスタグラムをみると、お腹がなるので注意（笑）

食以外のジャンルやモチーフの絵もすごく素敵だな。

【Pens】2020年7月17日の投稿よりーー

ゆるやかなタッチのイラスト。枠いっぱいに描かれるモチーフに一個一個癒される。

【COFFEE】2018年9月26日の投稿よりーー

画材は水彩絵の具が使われているそう。
まずは表紙に、凛とした佇まいのいちごパフェ。黒い背景がその存在をより引き立たせる。

前半９ページ、とにかく甘い …！

ロールケーキにかき氷、ジュージーなりんごにクロワッサン。とにかくいろんな数や種類。まるでアフタヌーンティーの贅沢な時間を過ごしているようだ。

ひとつずつ丁寧に細かく描かれているスイーツの姿は、すぐ目の前にあるようで、果物のフルーティーな匂い、焼きたてパンの小麦匂い、カスタードや生クリームを口に含んだ時に鼻に抜ける甘い匂いを見ているだけで感じさせるから不思議。必ず敷かれている背景色が、スイーツの包装紙のようで、またリッチな気分。それぞれのジャンルにとても似合っている。

見開きで並ぶケーキの絵を見て一息置いたら、今度は、また少し違った食の世界へと連れて行かれる。

ワイングラスに止まるアゲハ蝶、幻想的で美しい。大人なムード。
背景には細かく描かれる花の線画、アゲハ蝶もたのしそう。

他にも馴染みのあるお野菜やお寿司など、くぼいさんはあらゆる食に目を付ける。写実的だけれど、水彩絵の具ならではの透明感やグラデーションがあってしっかりとくぼいさんの個性があらわれている。ここに描かれる食の絵は、まるで踊るように並んでいる。それはきっと、くぼいさん自身の食への興味や愛情が溢れているから。とてもハッピーな気持ちになれる。

『食べることは真実の喜び』なんていうけれど、生産から製造、調理、食事をする、食べることが好きになる、その中で食に関するアートも生まれ、たくさんの人や働きが巡回して、そんな素敵な言葉が生まれているのだと思う。だからきっと、くぼいさんのフードイラストも、その過程の中に発生する『真実の喜び』を感じさせる重要な存在だとわたしは思う。

生きている限りその喜びをたくさんのひとに実感、共感してほしいから、くぼいともこさんによる『Food illustration 2019-2020』を、ぜひたのしんでほしい。

レビュー：いのうえ あかね（PARK GALLERY）

---- 以下 ZINE の詳細と街のこと ----

【 ZINE について 】

元々食に興味があり、食べることが好きなのでフードイラストで１冊作ってみたい！と思い初めてZINEを作りました。水彩で質感を表現しながら描くことが楽しかったです。

価格：¥1,000（税込）
ページ数：20P
サイズ：148 × 210mm

くぼいともこ『Food illustration 2019-2020』

作家名：くぼいともこ（神奈川県川崎市）

神奈川県在住
東京デザイン専門学校卒
イラストレーターズ通信会員
山田博之イラストレーション講座第25期生
水彩で食べ物を美味しそうに描くことが得意です。
主なお仕事は雑誌・書籍・年賀状など。

https://www.instagram.com/tomokokuboi
https://twitter.com/kuboitomoko

【 街の魅力 】
交通の便が良く、都内・横浜へのアクセスも良好

【 街のオススメ 】

① ラトリエヒロワキサカ（パティスリー）... 素材の香りを際立たせた高品質で美しいケーキ。チョコレート系が多く、大人向けのお店です。運が良いと出会える焼きたてフィナンシェもお勧めです。

② ぱぱぱぱーん（パン屋）... 新丸子・武蔵小杉・武蔵新城にあるパン屋さん。遊び心あるネーミングのパンがずらり。お勧めはクロワッサンとナンテール（ブリオッシュ）、パリパリの ”ねじねじ” も美味！