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#04 「会場に起こるマジック」

このコラムでは、現在パークギャラリーで開催中の『THE BEST展』に参加してる20人のアーティストの作品が、この小さな会場にどのように並ばれていったか、そのプロセスを語りながら、20人の作家の作品を紹介しています。残り4日となりました。会場に来る前にでも、見た後にでも、どうぞ。

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設営で生まれるマジックをたのしむ

デザイナーとして働きながらイラストやコラージュ作品を手掛ける八多沙織(はたさおり)さんの作品は、もうここしかないという感じ。

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不思議と一番最初に人が『立つ』ところなので、神社の狛犬のように左右対象に鎮座する犬のイラストレーションを配置しました。2枚で1つの作品。飾ってみると、単体ではふわっとして見えた犬たちが凛々しく見えた。前回までにここで話した『円』の存在や、並べて『比較』する行為などから生まれるこうし設営のマジックを楽しみながら組んでいきます。設営する側もたのしくなければグループ展ははじまらないなと思います。

八多さんの作品は版画のようにも見えますが、実はこの絵は一つひとつ手描きでパーツを作り、背景の色、犬の位置など、コラージュ(切り貼り)して作られています。デザイナーならではの発想はどこかアンディ・ウォーホールのようだし(特に『牛』)、instagram の過去の動物作品を見ているとモチーフは『若冲』のような風合いもあって楽しい。ぜひほかの動物作品も見てみて欲しいなと思います。

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浮かび上がってくる景色

「作品が話しかけてくる」と同じくらい、設営で役に立つ能力が「白い壁をみてると絵が浮かび上がってくる」という能力です。空間に転がっている情報量を捉えながら、どんな絵があるべきか、想像すると、自然と見えてきます。景色として脳内で色やテンションが補填されるんです。

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そうやって浮かんできたのが、無印良品など企業広告のイラストや雑誌の挿絵を手掛ける OIKAWA MAYUKI さんのイラストです。国内外で幅広く活躍する OIKAWA さんならではの独特の世界観、無国籍な人物像、一度見たら忘れられない強烈なインパクトがたまらなくて、公募展にもかかわらず、パークスタッフから声がけさせてもらった作家さんです(快諾ありがとうございました)。確かに一度見たら忘れられない。もはやどこに置いても成立するという力強い作品です。

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会話してるかのような、すれ違ってるかのような二人、もしくは同一人物? 少し客観的に、観覧者が彼らに干渉してしまわないよう、覗き見るような感じになればと、目線より少し高い位置に配置。

OIKAWA さんの絵の魅力は、大胆なまでの色鮮やかな色使いにあるかと思います。『the blue room』と名付けられたこの作品の鮮やかなブルーは、ぜひ肉眼で見て欲しいと思います。instagram もぜひ。クセになりますよ。

いつか個展見たいなあ。


やさしい作品

前回紹介した、堀千晃さんの写真作品『光の呼吸』は、犬の毛並みと光で、「生命(いのち)のぬくもり」を表現したていねいで『やさしい』作品だなと感じていました。やさしい作品の横には、ジャンルはさておき、同じくらいやさしい作品を並べたいなと、そう思います(設営中は作品の身になって、自分の中でもたくさん会話します)

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やさしい雰囲気ってなかなか絵に表現するのは難しいなと思います。やわらかな表情が出る画材を使えばいいかと言ったらそうではないし、やわらかなモチーフを選べばそれが伝わるかと言ったらそうじゃあない。例えばぼくが水彩絵具で花の絵を書いても、やさいさは伝わらないと思う。

イラストレーターの れのすかさん の作品を手にすると、なんだかやさしい感じがした。インスタで見つけた時からずっと好きなイラストレーターさんんだったので、参加してもらえてとてもうれしい。

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水彩という画材や、ホットミルクというモチーフから滲み出てくる感覚はもちろん、余白の作り方、色使い、ものへの愛着、まなざしが感じられるからだと思いました。いままでデジタルで描いてたのを、絵具に移行するきっかけになった作品『spend with you』(一緒に過ごす)。

ちょうど、堀さんの『光の呼吸』と、れのすかさんの『spend with you』というタイトルが重なり、額装したサイズも同じだったので、横に並べるというプロセスにいたりました。

れのすかさんのほかの作品はこちら
👉 https://www.instagram.com/lenoska_illust/

パークのポストカードプロジェクト『GIFTED』にも参加してくれてます。


ここに書いたプロセスを感じながら、ぜひ会場で2倍も、3倍も楽しんでみてください。もし会場に来れない人は、想像しながら楽しんでみてください。

パークギャラリーに居るひと
加藤淳也 👉 instagram




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