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issue 17 「敢えて祭りといいたいロックフェス」 by ivy

夏といえば ... 海、山、キャンプ!

はしゃぎたくなるのだけれど、野外活動のスキルが乏し過ぎて、誰かガチ勢と一緒じゃないと尻込みしてしまう『生粋のインドア』な私。

近場でやる縁日くらいが一番夏らしさを満喫できてありがたいけれど、参ったことに今年はそれも難しい … ああ、私の夏は始まらない。

そんな憂鬱にまみれた夏休みの始まりに、毎年欠かせない "一大イベント" が待っている。それが今回のテーマ『つくばロックフェスティバル』 !!


今世の中でイメージするロックフェスや夏フェスというより、インディーズバンドとライブハウス、そこに集まる人のための祝祭という方がしっくりくる。日頃は穴ぐらのようなミュージックバーや、ライブハウスに屯(たむろ)するモグラたちの『ハレノヒ』。日本的な祭りの文化を感じる。

会場に着いた瞬間わかるけど、サマソニやフジロック、ロッキンみたいな大掛かりなものとは似ても似つかぬ、凄まじいローカル指数。会場は筑波山中のキャンプ場、夜は照明もほぼなく真っ暗で、会場の芝生は伸び放題の虫だらけ。ステージは2つだけで、片方は地面でのパフォーマンスだから後列からだと見えない … などなど、色々と手作り感満載だ。

その割には、TENDOUJI とか羊文学、ミツメ、DENIMS、No Buses、アナログフィッシュに、さとうもか … などなど、豪華なメンツが並ぶ。

ちなみに大学時代に友だちを誘って初めて来たときは、確かカネコアヤノがトリ前を務めた年。カネコアヤノファン目当ての友だちは会場の手作り感に引いていた。便利さ、快適さを求めるなら、正直オススメはできない。

この祝祭において、我々来場者も "お客さん" 以上に "参加者" である認識を忘れてはならないからだ。ゴミ捨て場だって、案内スタッフだって、チケットの告知だって、全部少ない。だから、来場者にもある程度の自発的な行動が求められる。

逆にいえば、アーティスト、スタッフ、来場者の距離がこんなに近いフェスもめずらしい。さっきまで演奏していた地元のバンドが、屋台でコーヒーを入れていたり、トリを飾る人気バンドのギターがその辺でビールを飲んでくつろいでいたり。また、出演者の中には、初めて野外で演奏するというアン
グラ、ローカルバンドも数多いし、スタッフもほとんどがボランティア。

だから、この祝祭は、参加する全ての人にとって "非日常" 。雄大な山の景色と音楽を肴に、生ビールを流し込む快楽を全員で分かち合うわけだ。この感覚は、イベント、興行としてのフェスよりも日本古来の "祭り" に近い。普段は街でそれぞれ違う仕事をしている人が集まってみんなで騒ぎを作る、『ハレノヒ』と同じ。

ライブハウスという、みんなの『ホーム』『日常』があるからこそ、この祝祭は成り立つ。

コロナ禍だからこそ、今年はそのありがたみが身に沁みた。

顔見知りのスタッフができて、帰り際に乾杯!

IVYLOOK_つくばフェス

大きな声で

「また来年!」


ivy(アイビー)
会社員で物書き、サブカルクソメガネ。
自己満 ZINE 製作や某 WEB メディアでのライターとしても活動。
創り手と語り手、受け手の壁をなくし、ご近所付き合いのように交流するイベント「NEIGHBORS」主催。
日々出会ったヒト・モノ・コトが持つ意味やその物語を勝手に紐解いて、タラタラと書いています。日常の中の非日常、私にとっての非常識が常識の世界、そんな出会いが溢れる毎日に、乾杯ッ!
https://www.instagram.com/ivy.bayside​

イラスト:あんずひつじ


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