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えかきもじ展に寄せて ① 小さなルールの中で

現在開催中の『文字』を主役にした50人のイラストレーターによるエキシビジョン『えかきもじ展』。会場に来れない人も楽めるように、いろいろと発信していけたらと思います。

『えかきもじ展』って?

まず、パークが選んだイラストレーター50人に「もじを描いてください」と1枚の色紙を渡しました(画材はとても重要なので、渡した色紙と同じサイズなら色紙じゃなくてもOKとしました)。

次に金額を伝えす。有名無名問わず一律で5000円。この金額が理由で断られたひともいましたが、今回の企画の小さなこだわり。その話はまた追って。

あとは締め切りです。声がけのタイミングによって前後しましたが与えられたスケジュールは平均約1ヶ月半。イラストレーターのみなさんは、この期間内で描く『もじ』やその言葉の『意味』をそれぞれが考えます。

多少の不安

イラストレーターが描いた文字を並べて展示は成り立つの? という不安はもちろんありました。たぶん、ぼくらの説明が少なかったということもありますが、きっと参加してくれた50人の作家さんも。絵を描いてもいいですか? という、いま思えば不思議な質問があったくらいなので、困った人は多かったかもしれません。

不安が消えた瞬間

一番最初に届いたのはイラストレーターの本秀康さんの作品でした。この作品が届いた瞬間に、不安は一気に消えました。本さんが普段描いてる作品を見てるひとはわかると思いますが、本さん自身のやわらかい雰囲気が伝わってくる文字です。

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このシュールなメッセージは本さんによる漫画作品『ワイルドマウンテン』からの引用。本人が好きな言葉とのことでした。右下に描かれた『絵』を見て思わず「ぜいたくだ…」とつぶやいたパークチーム。この『ぜいたくさ』が絵の価値をものがたっているような気がします。<えかき>の<もじ>とは。少しおわかりいただけましたでしょうか?

そして、パークに本秀康さん !? と驚いた人もいるかと思いますが、実はぼくと本さんの関係は12、3年くらい前にさかのぼります。その話はまた追って。一番最初に届いた本さんの作品は、オープンしてすぐに売り切れてしまいましたが、グッズも取り扱っているのと、作品自体は会期中ずっと展示してますので、ぜひ生で目撃してみてください。

わかってる

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今回多くのイラストレーターさんがそうなんですが、「わかってる」んですよね。自分のイラストのどこが、自分の『オリジナリティ』を構成していて、『もじ』という発注を受けた時に、そのどこを保つ表現をすべきなのか。この「わかってる」感を見にくるだけでもすごくたのしいと思います。特に、イラストレーターを目指してるひとにとってはとても大きな学び、気づきになると思います。インスタでブランディングしてるひまあったら、こういうのをしっかり目撃した方がいいとぼくは考えます。

SNS の枠ではその良さを語りきれない いしいひろゆきくん の作品はまさにオリジナリティと文字の「バランス」が絶妙。よくあるゴシック体を、譲らない(譲れない)『いしいワールド』という最小公約数で表現した作品です。(頼んでおいてなんですが)「あ、これも文字なんだ」と気づくことができた作品です。今後紹介する作品は、あ、これも文字なんだって思う作品がたくさん出てくると思いますので、中でも『ベーシック』とも言えるふたりの作品をいまのうちに堪能ください。

実はこのいしいくんの作品、裏にも描写があります。こればかりは現場だけのお楽しみとさせていただきますが、いしいくんによる『アルファベット』がタイポグラフィーのように並んでいて、彼の『文字』へのこだわりを垣間見ることができます。謎のエンボス加工も。

いしいくんの作品は NHK『シャキーン』(いしいくんがイラストを提供する番組)のファンだというお子さんを持つお母様が購入されていかれました。

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こんな感じで、会期中、少しずつですが50人の作品をオンラインで紹介していきます。お楽しみに。

ちなみにこの2つの作品はオープン早々すぐに売れてしまいました。そりゃそうだ。

もちろん、会場でのコロナ対策はしっかり、ですので、気軽に慎重に、お越しください。

またあすもお楽しみに。

『パークギャラリーに居るひと』
加藤淳也
東京・末広町の PARK GALLERY でディレクターをしながら、フリーで広告やウェブのプランニングやディレクション、編集をやってます。酒飲み。
🌱 南足柄で大豆育ててます。仲間募集。
https://www.instagram.com/junyakato_parkgallery/

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