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海と山と展 #04 河原奈苗「構図のこと」

いわゆる「かわいらしいイラストレーション」を描くイラストレーターは世の中にたくさんいる。たぶん地方公務員くらいいる。その中で、イラストレーションを「仕事にする」というのはとても大変なことだと思う。線や色、かたちに個性を見つけ出して、それを自分のものにするまで描き続ける(毎日描いても足りないくらい)ところからはじまって、営業や、SNS での発信に勤しむ。漫画家の大橋裕之くんはあの『目』を発明した時に、何かが見えたと言ってた。イラストレーターの JUN OSON さんはあのひょうたんみたいな輪郭に、イラストレーターとしての未来を見たと言う。自分のオリジナリティというのもを見つけることが、生き残るすべとも言える。

個性と同じくらい大事な要素の1つにコンポジションがあります。構図ですね。今回紹介する河原奈苗さんのイラストはこのコンポジションが特に気持ちがいい。犬や女の子という一見「甘く」なりがちなモチーフを、デザイン的なセンスで上手に配置して、甘さ控えめに表現している。人が「かわいい」と思うツボ(構図)を知っている、というような印象(いくら個性的な色やかたちをしていてもこの構図がうまくない人の絵は見ていてあまり気持ちいいものではないので、なんかいいんだけどちょっとなってひとがまわりにいたら構図の話をしてみるといいかもしれません)。じょーずだなあと思う。

昨日の額の話にも近いですが、余白を余白とせずに、余白も作品の1部であって、余白さえ「描いている」という風に捉えることが大事で、河原さんの絵には無駄がない。ドラマが詰まっている。こういうイラストレーションが「かわいい」のです。

あと、河原さんのイラストで目を引くのは「色」ですね。何気ない景色なんだけれど色のセレクトが少しだけ変わってるというか大胆。明るい。この気持ちのよさはどこかで感じたことがあると思ったら、パークギャラリーの金曜日に居るひと・しまはらゆうきの色の選び方と似ているんだと思ったら、2人ともロンドン在住の経歴あり。異国文化の中で見たいろいろな豊かな景色が、色を鮮やかにするのだろうな。もしくは日本特有のつまらない「常識」にとらわれないという風が、色という概念の箍(たが)を外すのかもしれない。

今日(2/23)は14時半くらいから夕方まで、河原さん在廊です。似顔絵を描いてくれるみたいです。ぜひこの機会に、絵のこと、お話ししてみてください。


PARK GALLERY presents
『 海と山と 』展
2020年2月12日(水)- 2020年3月1日(日)
@ PARK GALLERY(東京・末広町)
東京都千代田区外神田3-5-20
最寄駅:末広町駅・湯島駅・秋葉原駅・御茶ノ水駅(距離順)
13時 - 20時 / 入場無料 / 月火定休
http://park-tokyo.com
【 参加者一覧 】
長 雪恵 / オサユキエ
https://www.instagram.com/yukie.osa
カワイハルナ
https://www.instagram.com/haruna_kawai
河原 奈苗 / カワハラナナエ
https://www.instagram.com/nanaekawahara
菅 風子 / カンフウコ
https://www.instagram.com/fuko_kan
工藤 愁子 / クドウシュウコ
https://www.instagram.com/shk003
SANZOKU / サンゾク
http://instagram.com/sanzoku_shokki
ナカムラ ミサキ
https://www.instagram.com/msknkmr3
nagwang / ナグウォン
https://hugmesweetparadise.tumblr.com
藤本 将綱 / フジモトマサツナ
https://www.instagram.com/fujimoto_masatsuna
山田 将志 / ヤマダマサシ
https://yamadamasashi.jimdo.com

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