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シルバーのパンツ

何がきっかけでこのパンツの存在を知ったんだっけ?去年の冬の、SNS配信される某ファッション雑誌の抜粋記事だった気もする。

ひと目でこれはほしい!と思い、爆速でメーカーのネットショップ(4文字アルファベットのファストファッション店)に行って検索するも、すでに売り切れ。

意地になって全アイテムを片っ端から見ていたら、似た感じのものがある。なんならシルエットはこっちの方が好みではないか。ポチッ。

届いて実物を見たら、想像よりも厚手。レザー風に加工されたポリエステルだ。ポケットなんかも意外にていねいに作ってある。

履き口はゴム仕様なのに股上が浅く、履いた感じが快適かと言えばNoである。腰回りにつねに違和感がある。

でもこの適度にくすんだ銀色と、軽薄なテクスチャーが好きなんだ。違和感つきでもたまに履ければけっこう。1980年代風のキレっキレな装いが楽しめる。

ところでパリでは半月前、クリスト&ジャンヌ・クロードの60年越しのプロジェクトが実り、凱旋門まるごとが生地で包まれた。昔からこのアーティストが大好きな私は、公開2週間のあいだに4度、観に行った。

公開初日の朝には作品に使われた生地の端切れをもらい、「表がシルバーで裏がブルーシートみたいな水色なのか」としみじみ。

端切れを見ていたら、遊び心が湧いてきた。あの銀のパンツを履けば、ラッピングされた凱旋門みたいな服装ができるのでは...

あいにくシルバーのトップは持っていないので、代わりにグレーを着ようと思ったら、ショート丈の半袖(丈が短いと銀パンツのゴムが見えて不細工)とか、ごっつい冬用ニット(そこまで寒くない)とか、あんまり似合わない丸襟ストレッチシャツ、くらいしか思いつかない。

しかも衣替え前のことで、どのボックスにどれを保管したか覚えていない。全部ひっくり返して探すほどの情熱はなかった。

やはりあれを買うべきか。最寄り駅前のショッピングモールにある、いつも空いているチェーン店のガラス越しに見えたアレを。

入口すぐ横の吊り什器に、メタリック系の3色展開で数点ずつ店出しされている(ちなみに昨日あらためて見たら5色展開になっていた。売れ行き良いのかな)。ウインドブレーカーなのでサイズは適当でもよいのだが、念のためシルバーを試着。

ちょうどよい具合の光沢で、手持ちのシルバーのパンツとも馴染む。おかげでよい記念撮影ができた。ウインドブレーカーはなにかと便利なので、これからも着る機会があるはず。銀色だけど。

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