居酒屋でよく見るあの現象の名前

居酒屋などでよく、料理の最後のひとつずつがまんべんなく残っている、というシーンがある。
唐揚げなどはその最たる例だが、焼鳥なんかもご丁寧に、全ての串のラストひとかけらだけを残してずらっと並んでいたりする。

もう何年も前から、友人のDJイオと「この現象に、なにかぴったりな名前を付けたい」と話していた。
しかし何年も前から話していたんだけど、「これ!」という言葉は見つからないままだった。
この問題は相当根深く、度々ひとつだけ残されて冷め切った唐揚を眺めながら「何かいい名前ないかなぁ」と、虚しい時間を過ごしていた。

それで今、ネットで“最後”“ひとつ”“残”など、それらしい単語を並べて検索をしてみたら、おもしろい記事を見つけた。

『「関東の一つ残し」について』調査
この記事を書いた方の家ではずっとこの現象を“関東の一つ残し”と呼んできたとのこと。 関東の一つ残し、無性に面白い響きだ。 かなり気に入った。 もうこれを使っていけばいいんじゃないか?とも思ったが、別にこれ、関東だけに限った現象じゃないだろう。 そう考えると最初にこのネーミングをした人物は、関西人あたりかもしれない。 と思ったら他の地域からも報告が寄せられていて、“津軽衆(つがるしゅう)”“肥後のいっちょ残し”など、なかなか秀逸な呼び名が並んでいる。 そんな中、一番多かった意見が“遠慮のかたまり”だそうだ。

これは、自分たちでああだこうだと候補を出し合っていた時にも何度か出た言葉。
日本人ならではの“遠慮”という気持ちが具現化したものが、あの最後のひとつであるとするならば、これは相当しっくりくる。

ただ、イマイチ長い。
ひねりもない。
“遠慮”という直接的なワードが入っているのも、どこか粋じゃない気がする。

で、実は昨日、長年手を焼いてきたこの問題に一気に片を付けてしまうような呼び名を急に思い付いた。

「日本人」

もう、これでどうでしょう?
日本人っぽい現象だというなら、いっそ“日本人そのもの”と言い切ってしまったらいいんじゃないか、と。

みんなでワイワイと宴会でもしていて、ふと最後のひとつだけが残った料理の皿に気付いたとする。
そしたらおもむろに指さして「あ、日本人だ!」と言うのです。
言いやすいし、意味はなんとなくわかるし、メンバーが1人増えたような感覚で場も賑わうかもしれない。
外国人の同席者なんかがいても面白がってくれるんじゃないかな。

ただひとつ問題点があって、日本以外の国にもこの現象があると、この呼び方は成り立たなくなってしまう。
引き続き調査と検討が必要そうな問題である。



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