見出し画像

四国八十八ヶ所に行ってきた⑤

三日目の続き。
西野七瀬卒業コンサートに行けないことが確定したその後。

天気はずっとよくて問題は何もなくて
美しい国分寺に心を打たれたりなんかして向かうは60番横峰寺。
約30km。
少しにぎわってる市内を僕が運転。助手席はゴーン。歌はフジファブリックがお送りしていた時間帯。昼下がりで天気も良く、ふと気づけば車内は僕とフジファブリックしか起きていないではないか。せめて寝るなら乃木坂でも託してくれ。
なんて余裕をこいてたのもつかの間、気づけばお決まりのうねり山道にいざなわれていた。すれ違えない道をぐおんぐおん曲がり走る。
すると見えてきたのが有料道路の入り口らしき小屋。
よく見ると
「通行止」
の文字。

あれ?

小屋を除いてももぬけの殻、なんと冬季通行止めらしい。この先はいけないということだ。

「うわー。」

と言ってみるが間髪いれずに

「じゃ戻るか」

と切り替え。寺はないに越したことはない、そう思ってることが行動にでた瞬間だった。


来た道を戻り、市街地を通る。
突然だが、実は四国八十八カ所は今、八十七カ所しか登録されていないのである。
62番の宝寿寺が「俺たちは昼休みを絶対にとる」という言い分で霊場会と論争になり、霊場会から脱退したのだ。お寺自体はあるのだが、御朱印等をもらえる場所は61番の駐車場に掘っ建ててある。感想は「助かるなぁ」だ。

63番吉祥寺ではJA農協のキャラクターポーズをした。僕が全くトマトになってないNGショットもあった。
運転交代。三角寺は三角形作った。

そして日が暮れ。
山は黒くなり。
18:40。66番雲辺寺。
ロープウェイで山頂まで行かないとお寺は見えないのだがこの時間はすでに終了。ロープウェイの目の前で写真を撮る。
この時間になると道に動物がホイホイ出て来て危険なのだ。うさぎ?たぬき?りす?ねずみ?鹿?干支決めてんのかってくらいでてくる。そして朝になると轢かれてる。
八坂寺で行きにいた猫が帰り轢かれてたのは凄惨だった。命を学ぶ四国だ。
67番大興寺では変な動物の「ぅぎゃぁぁ!」って鳴き声もしたし。

気を取り直して68、69。ここは二つの寺が一つの場所にあるというラッキーポイント。前回はここで撮った写真が心霊疑惑になった。おそらくシャッター速度が遅かっただけなのだが、カメラを置いてセルフタイマーで四人並んだショットを撮ったはずなのに誰も映っていない写真が撮れてしまったのだ。あげくのはてよく見ると「四国八十八カ所霊場第六十八番」と書いてある看板の「霊」だけが緑に光っていたのだ。恐ろしい。今回も用心して臨んだ結果、何もなく終了を迎えた。一安心。
いや、芸人的には「おいしくない」という感想もあるが。

そして70番本山寺にて終了。
19:30。ここから宿まで少しだけ走り我らが旅籠屋に本日も宿泊。

そして我々は念願の焼肉に乗り出す。

好きだとはいえうどんばかりではどうしたって体に悪いものが食べたくなるのだ。それに拍車をかけるように市街地では焼肉の臭いがするし、昨日泊まったホテルの横にも焼肉屋があるし。
そして何よりも夕飯の失敗が効いていたのだ。
初日の夜 吉野家。
二日目の夜 コンビニ弁当。
俺たちに肉を食わせろ。

僕としてはこの気持ちで満場一致だと思っていたのだが旅籠屋で一つ会議になる。
「mocha」というステーキ屋、目の前にあるうどん屋、はま寿司、焼肉屋、この四択がなぜかでてしまったのだ。いや、しかも話を聞く感じのっぽくんと長崎くんははま寿司も悪くないみたいな雰囲気だ。ゴーンはこういうとき馬鹿なので大きな声で何も考えずに「肉か寿司だろ!」というのである。
内心僕もステーキならありかと思っていたが、はま寿司となると話は別だ。当然
「はま寿司なんて東京で食え」
この一言で収集がつき、素直に焼肉へ。

この焼肉はうまかった。
最高だった。
旅籠屋から車で五分。一人酒を飲まないゴーンに運転を任せ、ビールにライスに肉。のっぽくんはバズーカみてぇなでかジョッキでビール飲んでたな。いやあホルモンも超うまかった。
我々はまだ幼いので自分の取り分がなくなることを恐れたスピードで肉を食べたよ。

そういえば車の中で「今年回れなかった分はまた二年半後だな」なんて会話があった。
「二年半後ってもう俺らも26歳か27歳か。」
「今はこう笑ってやってられるけど、いよいよただおもしろいから四国八十八カ所を回ってるなんて言ってらんない年齢だぞ。」
と痛烈な事実に気付いたのだった。こうして社会に染まっていくんだな人は。

至福の肉を終えてコンビニにより、アイスを買って帰宅。
長崎君はコンビニで乃木坂のチケットを発券。
僕「彼女の体調が悪くなったら俺の登板もあるか。」
のっぽくん「寝てる間にとるから。」
とうらみつらみを述べるも相手にされない。

残すはあと17寺。明日は山田屋さんに行くことは必須。
そして長崎君の終電が高松駅に17時。
我々三人の飛行機は19:50高松空港発。
最終日は7時にクロワッサンを食べてスタートと決定。

消灯。

もちろんこのあとに旅行最終日というテンションが巻きおこる。

かねてから四国ではうどん屋を見つけると
「お、昼ご飯入る?」
というフレーズを言うのがおきまりになっていたのだが、逆に大手チェーンのはなまるうどんを見つけた際は
「お、はなまるうどんあるよ?」
と言い
「四国まできてはなまるうどんかよ」
と思わせるのが定着しており、さらにはそこで
「あーカレーセット食べてぇ」
と長崎君がつぶやき
「いや四国まできてカレー食うな」
と言わせるとこまでがひとくだりになっていたのだ。
全部正しい。
普通に考えて四国でカレー食べるかね。
長崎君は特に食いしん坊なので、初日に合流するときも、13時ごろには高松駅にいたらしく、我々と合流するわずかな時間の間にうどん屋を二件はしごし、そのうえで合流してすぐうどんを一杯食ったというのだから引いてしまう。

ということがあって、消灯してからのっぽくんが言う。
のっぽ「明日絶対山越えうどんいくから。」
長崎「俺は山田屋にいければなんでもいい。」
このときダブルベッド二つのうちのっぽくんは私と、長崎君はゴーンと寝ている。
私「どうせ山田屋行ってもカレーしか食わないんだよあいつ。」
長崎「・・・。」
私「すいませーん、この店にカレーありますか?あ、ないですか?じゃカレー一つくださいって言うんだよ。」
のっぽ「うははは」
長崎「・・・。」
そしてのっぽくんが長崎くんの下の名前「しんたろう」にかけて言う。
のっぽ「カレー太郎」
私「カレー太郎笑笑」
長崎「うおおおい!!!」
叫ぶやいなやカレー太郎はこっちのベッドに上からのしかかり、ずいずいと我々をベッドからコインゲームのように押し出したのであった。
私「うへへへ」
のっぽ「うへへへへ」
中学生ばりの盛り上がりを見せたところでゴーンがなにやらごそっと起き上がる。
ゴーン「っち、エアコンあちいな」
私「おいタイマーにしてくれよ。こっちは寒いんだから」
ゴーン「うるせぇなぁ」
というやいなや

ズシャア、ドゴッ

と音がして
「ってぇ、あぶねぇ」
とゴーンが言う。
転んだのだ。

私「おおおお!!!また転んだぞこいつ!!!!!!」
14番常楽寺以来の転びをみせてきたのである。
最終日、気合が違う。大笑いしてから気持ちよく就寝したのであった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?