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お77話・女の子におんぶしてもらいたい男子~公演後の女性歌手におんぶしてもらった

 世田谷区の某駅近、小さなカフェバーに入るとたまたま音楽ライブをやっていて、金髪で青いドレスの女性歌手が、ギター伴奏をバックに力強い歌声で熱唱していた。こういう場でよくあることともいえるが、最前列に空席がいくつかあったので、ボクはそこに座って、かなり近い位置で楽しめることとなった。とはいっても、音楽鑑賞を目的に入店したわけではないのだが、綺麗な女性をマジマジと見てても怪しまれない場というのは嬉しい。
 それから4曲ほどでライブは終了したので話しかけると、彼女としゃべってる間に、ギター伴奏者は「では、お先に・・」と帰ってしまい、カフェ店員はテキパキと音響機材を片付けていた。終演後というのはこんなに、あっさりしてるもんなんだ。そんな中、客席から立ち上がった2~3人が「食事でも・・」と女性歌手に声をかけてきたので「食事行くならボクもいいですか?」と、ファン仲間の中に強引に入れてもらい、近くのパスタ屋へ。
 歌手は、ユカリさんといい、作詞作曲も自分でしている。同行した3人はユカリさんのファンというか支援者というかで、特に親しい関係ではないようで、あまりしゃべりかけて盛り上がる感じではない。ボクは
「歌声、力強いのが、特に低音、、ビンビンきました」とか「片想いの歌、多いんですか、うたいながらの表情もホンモノみたいで引き込まれた」など、聞きかじりでの感想をまくしたてて、5人の中で、ボクとユカリさんだけが、しゃべっていた。で、食事を終えると、あっさり解散。このあっさりさも意外だった。
 ユカリさんは衣装や楽譜、その他いろいろな小物の入った布袋を抱えていたのでボクは「荷物持ちますよ、ユカリさんは、どちら方向へ帰るんですか?」と。
「わたし、近いんです。歩いて帰れるんで」
「そうなんですか、家の前まで持ちますよ」
 そんなこんなで、ボクとユカリは2人で夜道を歩き始めた。青いミニスカートに黒いブーツというステージ衣装そのままで歩くユカリの足取りが、なまめかしい。上着はボクの持ってる袋に入っているので、ユカリの衣装では薄くて寒そうではあったが「着る」とは言ってこない。
 ボクは正直に告げてみることにした。
「ユカリさんの今のこの姿、いろっぽすぎてドキドキしてきちゃいました」
「ええーっ、そんなぁ」
「ユカリさん、ユカリさんち着くまででいいので、ちょっとしたお願いが・・」
「えっ、なんですか?」
「ボク・・、ユカリさんにおんぶしてもらいたくなっちゃって」
「えっ、私がおんぶするんですか?」
「うん、乗りますよ」と言いながら、ユカリの荷物をボクのリュックに入れて背負い、青いステージ衣装のユカリの背中に飛び乗る。
 ユカリは「うわっ、重いよムリかも」と言いながらも、ボクの両足を両手でホールドして歩き始めてくれた。ボクの目線すぐ下には、夜風にたなびく金髪がある。
「さっきまでスポットライトを浴びて輝いていた歌姫が、いまはボクををおんぶして歩いてくれてる。なんて素敵なライブなんだろ」
 細い体なのに、さすが歌とか演技で鍛えられてる女性の身体は強い。コツコツッとリズミカルな靴音ををたててブーツで歩いてくれてる。夜風がやや冷たい夜だったにもかかわらず、ユカリの金髪の髪が汗でジワッと濡れてきていた。
 つい1時間ほど前には、失恋ソングを力いっぱいで歌っていた女の子が、いまはボクの快楽のために汗かいておんぶして歩いてくれてるなんて、演歌の世界にいるみたい。ユカリの青いステージ衣装の上でボクの股間はびんびんに感じていた。感じてるところに、ユカリの歩く振動がくると「あんっ」と感じて、ボクは両手でユカリの華奢な身体のどこかをにぎりしめてしまう。
 ボクが、ユカリの汗を感じてしばらくして、ユカリから
「力の限界です、おんぶここで終りにさせて」
「やだ、もう少しユカリさんのおんぶに乗っていたい。気持ちいいんだもん」
「私がこんなキツいことさせられてる上で、気持ちいいんだもんって・・」
「あっ、ごめんなさい、降ります、許してください」
「男の人をおんぶしたのなんて、はじめてですよ」
 ユカリさんのおんぶ気持ちよかったのと、輝いてる歌手におんぶしてもらえてるお得感てか優越感。素敵な女性がボクのためにこんなに汗かいてくれた感謝にうっとり。「もうイヤだ」なんて言わないで、またユカリさんのおんぶに乗りたい。

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