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お82話・女の子におんぶしてもらいたい男子~スポーツ女子がおんぶして全力疾走してくれた

 ファミレスを出てすぐにボクはジュンコに「おんぶおんぶ」とせがむと、ジュンコは「えーっ、ホントにおんぶなの?」と言ったと同時に、走って逃げ始めてしまった。テニス部スポーツ女子ジュンコの走りは、女の子としては、それなりに速かったが、男のボクには追いつける速度ではあったので、すぐには掴まえず
「待ってよー、ジュンコ。。ボクをこんなとこで見捨てないでぇ」と言いながら追う。ジュンコは後ろを振り向きながら笑いをこらえている表情でもあったので、
「あっ、この逃げは本気の拒否ではなく、パフォーマンスだな」と判断。
 ファミレスの駐車場を出て10メートルくらいのところで、ボクはジュンコの腕を掴んで止めた。
「そんなに走っちゃうと、ボクをおんぶする前に疲れちゃうよ」
「えーっ、やっぱり、本気でおんぶなの?」
「うん、ボク走らされて疲れちゃったから、おんぶしてほしい」
「私も走って疲れてるのに」
「ジュンコが走ったのはボクのせいじゃないし、ボクが走らされて疲れちゃったのは、ジュンコのせいだよん、、ジュンコの走り速かったからこっちは足腰ガクガクでもう大変。。歩けないから乗るよ」と言いながら、ボクは、両手をジュンコの両肩にかけて飛び乗ると、ジュンコは「まったくもう・、なんでこうなるのよ」と言いながらも、ボクの両足を両腕でガッチリとホールドしてくれた。
 女の子のおんぶは、同じ女の子に2度目ともなると、初回の夢心地を思い出として全身の肌で感じることによって思い返しながら、現状の乗り心地とダブらせて悦に浸れる。お16話でも記したように、ジュンコの初回おんぶは鮮烈だった。そして今回は、20メートル弱ほどを走ったあとの、ちょっと疲れてる女の子に、おんぶしてもらえることに。
 前回は、ジュンコだけが走って、ボクは最初からジュンコの上に乗っていたのだが、今回は、逃げるジュンコを追ってボクも走った。たった20メートルとはいえ、走って筋肉を使ったあとのおんぶは格別だった。走って疲れたボクの両足が、ジュンコの両手で宙ぶらりんにしてもらえてるのが、足の筋肉疲労をほぐされてるマッサージみたいで、気持ちいい。
 ボクをおんぶして歩いてくれてるジュンコも、ボクと同様に20メートル走ったあとなのに、ボクをおんぶしてくれて、マッサージまでしてくれてる。女の子って、なんで、こんなに献身的で優しいんだろ。ボクと縁ある女の子はみんな優しい。これだから、ボクは、女の子大好き人生をやめられない。「おんぶして」と頼めば、女の子は自分が疲れてても、おんぶしてくれちゃう。
 スポーツ女子ジュンコは歩調も良いペースで、乗ってるボクの身体もズリオチさせずに歩き続けてくれてたのだが交差点の歩行者信号が点滅になってしまった。信号待ちになったら「降りて」といわれてしまうかとおもい
「信号点滅だよ、ジュンコなら走れば渡り切れる」と上から能天気に言うと、ジュンコは反射的に走り始めた。走るジュンコの上で体感する上下振動はけっこう激しくて、じゃじゃ馬を乗りこなしてる気分。頬に当たる向かい風が気持ちいい。向かい風になびくジュンコの髪に「女の子がボクのために頑張ってくれてる」感で萌え萌え。女の子におんぶさせて、さらに走らせる・・、なんて素敵なシーンだろうか。できることなら、そのままどんどん速度を上げてほしい。
 だが、そんなことを求められるはずはない。横断歩道を渡り切ったジュンコは
「本気で走ったからもうダメ、降りて」と。立ち止まった途端に、ジュンコの首元と背中にはジワッと汗が出てきて、乗ってるボクもジュンコの汗を感じた。おんぶしてくれた女の子の汗は愛おしい、ジュンコの頭を触ってみると体温がかなり高くなつていた。そんなこんなを体感してると
「いつまで乗ってるつもりなの?もう私ふらふらよ」
「ハイ、降ります」

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