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お36話・女の子におんぶしてもらいたい男子~ハイヒール女性がおんぶして歩いてくれた

 仕事へ行く途中で急いでるはずのスーツ正装女性が、ボクのような男をおんぶして駅のホームに立っている光景は、他の通勤客たちにとっては、シュールレアリスムだったのかもしれない。多くの人が、遠巻きによけて速足で通りすぎていってた。
 スーツ女性は、ホーム上ベンチの横に立ち止まったままボクをおんぶしていたが、向きを変えるために3~4歩コツコツと歩いた。彼女の上に乗っていたボクは、そのときのハイヒールの音と振動にドッキン・バックンと心を打たれた。
「ハイヒールの女の子におんぶしてもらったの初めて。もう感動っ! ハイヒールでもっとコツコツと歩いてみてください」(実際は3度目)
「ハイヒールだから、足が痛いんです。もう、おんぶは終わりにさせてください」
「足痛いのに、ハイヒールでありがとう」と言ってボクは降りようとしたが、ボクは靴を脱いでいたことを思い出し、ベンチの横から正面つまり座る位置まで、おんぶで回り込んでもらうこととし、つまり、ハイヒールおんぶのコツコツという心地よい振動を、さらに数歩ぶん味わえることになった。
 女性は、ボクをベンチに下すと、隣に座って、一休みし
「ふうぅぅぅぅ、」とため息をついたあと
「なんで、私、朝からこんなことやってんだろ」と。
ボクは、隣に座る彼女の背中に抱き着いて
「もう一回おんぶして。一瞬でいいから」
「いいかげんにしてください」といいつつも、スーツ女性はベンチに座りっぱなしだったので、ボクは彼女の背中に覆いかぶさるようにベンチ上に立ち
「一瞬でいいので、このままボクをおんぶして立ち上がって」
 女性は「なんで、私こんなことを・・」と呟きながらも、立ち上がってくれた。
「うわーっ、最高の幸せ、ありがとう。2~3歩でいいから歩いてみて、ハイヒールでのコツーンていう響きが、たまらないの。お願い、歩いて・」
 無言でコツーンコツンと歩いてくれ、上に乗ってるボクはびんびんに感じてしまい、彼女の両肩に乗せてた手で彼女の細い両肩をギュッと握りながら、彼女の黒髪上から耳元に
「すごい幸せです。いまね、ほら、ボク感じちゃってるので、もうしばらく、このまま、このままね。重いのにごめんなさい。足痛いのにゴメン」と。囁いた。30秒くらい、おんぶをしてくれてから、ボクは「ありがとう」と言って素直に下りた。
 今回発見したのは、見知らぬ女性の親切心に乗っかるように、小出しに「あれやって、、これやって」と、ワガママな要求をしてゆき、それを女性が「なんで、私こんなことしてんだろ」とと思いながらも、してくれちゃってる萌え。女の子の優しい親切心に付け込んで要求をエスカレートさせちゃうフェチ。その要求の内容が、おんぶして、のような、しょうもないことのほうがいい。しょうもないことのワリには、女の子の肉体労働的な負担は大きい。
 ボクは、隣に座ってる彼女のヒザの上に自分の両足を投げ出して
「靴を履かせて」と頼んで甘えてみた。

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