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お63話・女の子におんぶしてもらいたい男子・おんぶしてくれた女性の女友達がナイス進言

 その女性のおんぶから降りたボクは、彼女の左手を両手で握りながら言った。
「これから行く予定のところは、ボクがついていったら困るところですか? おんぶなんていう大変なことしてくれたあなたという女性に、今ボクは全身で愛着を感じてしまっていて愛おしくて、ここでこのまんま別れるなんて、切なくて・・」
「女友達との待ち合わせなんで、その場所まではいいけど、そのあとは別れてね」
 その場所に行くと、先に女友達が待っていた。黒髪ロングで、黒のショートパンツ、ブーツも黒で決めてるシティー風な女性。黒髪の女性は
「あれれっ、ナナコ、彼氏?」と。
ボクをおんぶしてくれたナナコは
「ちがうのよ。バスの中で・・、ヘンな人なの」
「ヘンな人・・・?」
「ついて来ちゃったの」
ナナコは、いうのをためらっていたので、ボクから説明することに。
「ボク、ナナコさんにおんぶしてもらいたくなっちゃって、おんぶしてください、ってお願いして、おんぶしてもらって、バス停からスクランブル交差点まで、ナナコさんのおんぶに乗せてもらったんです。すごく幸せな気持ちにさせていただいたんで、別れるのがツラくなって、ついてきちゃったんです」
「ええっ、ナナコ、男の人おんぶできるんだ、見てみたかった」
「えっ? 見ますか? ボクここでナナコさんら乗りますよ」
「見たい見たい」
ナナコは「もうヤダよ、重くて疲れるんだから」
「やって見せてよ」と友達。
「またナナコさんに乗れるの嬉しい」と言いながらボクは、ナナコの背中に飛び乗ると、ナナコは、両手でボクの両足を持っておんぶの体勢になってくれた。友だちは喜んでスマホで写真を撮り
「あっ、動画録るから歩いてよ」と。
ボクは嬉しい役得だが、ナナコは
「さっきもおんぶして疲れてるんだから」と言いながらも10メートルくらい歩いてくれた。ナナコは立ち止まると
「男の人って重くて大変なんだから、交代してエマ、あんた、おんぶしてみなさいよ」。
 ボクは、もう一人の女の子にもおんぶしてもらえるラッキーに心躍らせて、ナナコのおんぶから降りて、友達のエマのほうを向くと、エマは
「私はムリ、できない」と拒否拒否モード。
 ここまで明確に拒否されちゃうと、いかにボクでもムリヤリ乗ることはできない。おんぶは、乗せてくれる女の子のがわに「まあ、いいっかぁ」という協力の心がないと、成り立たない。
 ボクは、エマにおんぶさせることはムリだな、と判断し
「ボクは、ナナコさんから浮気なんかしない。女の子のおんぶなら誰でもいいわけではなく、ナナコさんの魅力にとろけちゃったから、こんな恥ずかしいお願いしちゃったわけで」と言いながら、また飛び乗った。
 するとエマは
「女の私の目から見ても、ナナコの身体と雰囲気、この人にこそ、おんぶしてもらいたい、っていうの、わかるような気がするかも」
ボクは
「わかるでしょ。ナナコの身体全体が、私に乗って乗ってぇ、って誘惑してんの」
「わかるわかるー」
「わかるわかるじゃないよ。エマ、あんたもおんぶしてみなさい」と、ボクは、ナナコから降ろされてしまった。でも、エマちゃんが乗せてくれる流れになってきたのはまた嬉しい。

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