見出し画像

冬は嫌いだった

ほんの5,6年前まで、冬になると酷く気持ちが沈み込んで、早く暖かくなればいいのにと、冬の間中、心は渇望し続けた。

寒くて凍えて何も出来ない日々が続き、一度体調を崩すと長引き、それはまるで禊のようだった。

 
学生時代〜20代を北海道で過ごし、もう北には行かないだろうと半ば決めていたのに、よりにもよって蔵王の麓に移ってしまった。

寒かった。
しかし、冬の美しさに気づいてしまった。
子ども達の雪遊びが、豊かな記憶になることを痛感してしまった。

音もなく夜通し降り続いても、朝は必ずやってきて、いつかはその雪の塊も溶けてしまう。

一面が白一色の世界は、時が止まる程に美しいと感じる。
気温が低いと、キラキラと白が光り出す。
この景色が観られることは、本当にラッキーな事だと気づいてしまった。

あんなに億劫だった冬が、見る間に好きになった。

今年は雪が少ない。
少ないというか、ほぼない。
今日なんて2月なのにもう春のような陽射しだ。

雪のない冬が受け入れられない私がいる。
このまま春になってたまるものか(笑)
なんて勝手なのだろう。
すべては私の心が作り出す好きや嫌い。
冬はいつもやって来て、ただ過ぎて行くだけなのに。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?