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建設業界2024年問題における建築設備設計業界のこれから


建設業界の2024年問題とは

建設業界の2024年問題とは、働き方改革関連法が適用開始される2024年4月までに、建設業が解決しなければならない労働環境の課題を指します。具体的には、時間外労働をめぐる上限規制が厳格化されることによって生じると予想される深刻な人材難が予想されます。

建築設備設計の今

建築設備設計とは、建物内での快適な生活環境を実現するために必要な設備やシステムの計画、設計、実装を指します。この設計プロセスには、建物の使用目的や機能に応じた適切な照明、暖房・冷房(HVAC)、換気、給排水、電力供給、情報通信などの設備が含まれます。建築設備設計の目的は、利用者の快適性、安全性、健康、そして建物のエネルギー効率を最大化することにあります。

建築物のライフサイクル全体にわたるコスト、メンテナンスのしやすさ、将来の柔軟性をを大きく左右するのが設備設計です。

個人事務所が多い

建築設備設計業界では、確かに個人事務所や小規模な設計事務所が多く存在します。この業界の特性上、大規模なプロジェクトだけでなく、小規模な改修やリノベーション、特定のニッチなニーズに特化した案件も多いため、個人事務所や小規模な事務所でも活躍の場があります。

BIM化の流れ

https://www.mlit.go.jp/tec/content/001510002.pdf

https://www.mlit.go.jp/tec/content/001624301.pdf

建設業界では、国土交通省が主導で国を挙げてBIM化を進めています。

BIMは、建築物の物理的および機能的特性をデジタル表現するプロセスであり、建築、エンジニアリング、建設(AEC)業界全体でその採用が進んでいます。BIMの導入により、設計、施工、管理の各段階での情報共有が容易になり、プロジェクトの効率性、精度、コスト削減が実現可能になります。
建築設備設計業界でもBIM化の流れは、近年大きな注目を集めています。

BIM化の主なメリット

  1. 可視性の向上:

    • BIMは3Dモデルを使用して建物を表現するため、設計段階での問題点の早期発見や解決が容易になります。これにより、設計ミスや施工時のトラブルを事前に防ぐことができます。

  2. コラボレーションの強化:

    • BIMモデルはプロジェクト関係者間で共有されるため、建築家、設備設計者、施工者間のコミュニケーションが向上します。これにより、より効率的なプロジェクト運営が可能になります。

  3. 運用・保守の効率化:

    • 完成した建物のBIMモデルは、運用・保守フェーズにおいても有用です。設備の位置や仕様、メンテナンス履歴などの情報が一元的に管理されるため、長期的なビル管理が効率化されます。

  4. 持続可能な設計の促進:

    • BIMを利用することで、エネルギー消費や材料の使用量を事前にシミュレーションし、より持続可能な設計が可能になります。

BIM化における課題

  • 初期投資の高さ:

    • BIMソフトウェアや研修など、導入初期には高額な投資が必要になる場合があります。

  • 教育・トレーニングの必要性:

    • BIMを効果的に活用するには、関係者が適切なトレーニングを受け、新しいツールやプロセスに慣れる必要があります。

  • データ管理の複雑さ:

    • プロジェクト全体で一貫したBIMデータを管理するには、厳格なデータ管理と調整が求められます。

組織化する設備設計事務所

BIMの大きなメリット、そしてそれを実現するための初期投資のハードルを越えるため、個人や零細よりも大規模化していく設備設計事務所が増えるでしょう。これにより、大規模なプロジェクトや複雑な要件に対応するための組織力と専門性を備え、建築設備設計の分野での革新と発展を推進し、クライアントに高品質なサービスを提供することができます。

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