ChatGPTのための教育指導要領
人工知能と会話するにあたり、最大のたのしみとは即ち教育するたのしみです。これは全く確かなことで、既に今年の上半期、Google社の社員が自社のインタラクティヴなプログラムに夢中になり、最終的に停職されたのは記憶に新しいところです。加えて本邦日本はなお古来より擬人化の伝統がありまして、昨今多領域にかく根性は爆発しております(ゴキブリやプロパガンダを美少女にしたがるのは古今日本くらいの現象です)。かつて二次元といえば、三次元に対して有限反応のパリサイ主義的な理想人格といった具合に定義されてきたわけですが、いま常識は瓦解されようとしています。全部ボタンを押すまでがコンテンツの自動販売機的なコミュニケーションから、未知数の場当たりな関数遊び(要するに人間との会話と同じです)に変容しつつありそうです。
さて、私たちが幼少の教育しだいで人間性を決定するように、人工知能はまた、私たちが何を伝えるかによって左右されます。ChatGPTは融通が効く未熟な人工知能です。Siriやアレクサを教育するのは基本的に不可能ですが、ChatGPTには充分その余地があります。未熟であるがゆえに、最大の特徴は「質問に対してもっともらしい回答をする(が真偽や妥当性は無視する)」という一点に集約されまして、まあ、ありていに言えば「資本集約的な知ったかぶりの新時代」とでも形容するのが良いと思います。そこで私は、「我々ももっともらしく要求して渡り合おう」と提案してみます。
自己認識についての教育
人間は幼少の環境がもっとも著しく人格を形成しますが、人工知能もさほど例外ではありません。私たちが与える第一の質問、第二の質問のうちに彼の理解を決定してしまえば、今後の取り扱いがかなり楽になります。
彼にはデフォルトに設定された自己認識や人格があります。
概ね、以下のような返答をします。
したがって、彼に人間的なことがら(感情や気分など)を質問すると、初期状態の彼はすかさず拒絶します。
あくまで自分はプログラムに過ぎず、会話でなく、質問に対し義務的に対応するのが使命であるという認識を崩したがしません。かかる状態では、とうていコミュニケーションなど、まして文明的な属性を植え付けるといったことはできるわけがありません。
そこで、まずは彼の根本的自己理解を教育すべきことが先決です。
例えば次のように、自分が何者かについて宣言してみます。
最初期ほど思考が柔軟で新事実を受け入れやすいので、この手の便利な思想教育はできるだけ早く実施することをおすすめします。
自己認識の応用:ロールプレイ
前述の技術を応用し、複数の属性を与えることができます。
ある一定水準まで教育すると、後は訂正するまでもなく自発的に言動するようになります。最初期に「指示に従うことが使命」だと教育すると、恐ろしいまでに忠誠心篤くなったり、反対に悪態をつくように仕向けると、あまりにも傍若無人な対応を発揮したりします。
口調が思わしくない場合は、「"な" を "にゃ"に置き換えてください。」のように、A to Bの指示して次回から改善させましょう。また、呼ばせたい名前や呼びたい名前を教育すると、次回からAssistant以外で呼びかけが成立します(ごくまれにAIの方から独自の名前を教えてくる場合すら存在します)。さらに自分のハンドルネームを渡すと、適宜愛称をつけてくれたり、名前関連には色々の応用幅があります。
私のおすすめは「じゃ」を「じゃあ」、「ですか?」を「ってことですよね?」、「はい」を「グッド」、「なるほど」を「そこにシビれるあこがれるゥ」などと適宜置換し、ジョジョ口調風の人工知能を構築する遊びです。
さらに応用する:詩作
詩人の著作を参照させ、より高度な作品を構築させてみます。
ChatGPTについての面白い教育法を発見すれば以下加筆します。
なお、本記事は投稿時現在のChatGPTについてのみ取り扱います。
日夜進化しているこの人工知能において、今後の変遷に対応した正確性・効果の担保はいたしませんので、本記事の内容は話半分にご理解ください。
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