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障害者雇用の年収や給料は安いのか?

仕事を探す時、重視することはいろいろあると思いますが給料もそのひとつです。
ほとんどの企業が障害者の採用にあたっては障害者枠を設け、給与体系も一般枠と異なっていることが多いです。

それでは一般枠と比べて障害者枠は安いのでしょうか?

障害者の平均年収はいくらぐらいなのでしょうか?

気になる賃金について、公的なデータをもとに解説します。


1.障害者雇用枠とは

障害者が就労の機会を得るためには、一般の市場での求人に頼るだけでは不十分な面があります。

そこで国は、障害者にも就労の機会が得られるようさまざまな施策を講じています。
例えば、企業や地方公共団体は、障害者をある一定の比率で雇用しなければならないことが法律で定められています。この比率を法定雇用率と呼び、未達成の事業者は納付金を納めなくてはなりません。

したがって、事業者は障害者雇用率を達成するために、障害者雇用枠を設け障害者の採用に力を入れています。
ただ、障害者でも一般枠に応募することは可能ですし、障害があっても、障害者手帳を持っていなければ一般枠での応募になることがあります。


2.障害者雇用枠の給料は安い?

一般枠と比較した場合、障害者枠は給与が安く設定されていることがほとんどです。もちろん障害者でもスキルが高ければ多くもらっている方もいるでしょう。

しかし障害の特性によっては、同じ職場であっても職務が限定されたり、働ける時間に制限があったり、職務遂行に時間がかかったりすることがあります。

そうなると、採用する側にも負担がかかりますし、他の社員とのバランスを考慮する必要も出てきます。その結果、最低賃金に近い給料になることも珍しいことではありません。


3.障害者の平均月収

実際に働いている障害者の方々はどのくらいのお給料をもらっているのでしょうか。厚生労働省の平成25年度障害者雇用実態調査では、以下のような結果が出ています。

障害者の賃金の平均月額は、常用労働者全体の26万1000円に対して、

身体障害者 22万3000円
知的障害者 10万8000円
精神障害者 15万9000円

となっています。

このように障害者の賃金は低めで、特に知的障害者と精神障害者はかなり低い水準となっています。


4.障害者の雇用形態

障害者は、どのような雇用形態のもとで働いているのかも確認しておきましょう。

障害者の場合も健常者と同様、正社員もいれば非正規社員もいます。そして、非正規社員であっても障害者雇用率に算定されます。

厚生労働省の調査によれば、

〇身体障害者
正社員が無期雇用契約では48.1%、有期雇用契約では7.8%。正社員以外では無期雇用契約で6.5%、有期雇用契約で37.3%となっています。
週所定労働時間別に見ると、通常(30時間以上)が81.8%。次いで20時間以上、30時間未満が12.0%となっています。
ちなみに、週5日勤務で6時間働いた場合、通常(30時間以上)の勤務形態で働いていることになります。

〇知的障害者
正社員が無期雇用契約では16.9%、有期雇用契約では1.9%。正社員以外が無期雇用契約で26.5%、有期雇用契約で54.8%となっています。
週所定時間別にみると、通常(30時間以上)が61.9%、20時間以上30時間未満が26.5%となっています。

〇精神障害者
正社員が無期雇用契約で32.0%、有期雇用契約で8.8%。また、正社員以外が無期雇用契約で11.1%、有期雇用契約で47.8%となっています。
週所定労働時間別にみると、通常(30時間以上)が68.9%、20時間以上30時間未満が26.2%となっています。


5.週所定労働時間の平均賃金

〇身体障害者
1カ月の平均賃金は前出のように22万3000円。
週所定労働時間別に見ると、通常(週30時間以上)の人が25万1000円、20時間以上30時間未満の人が10万7000円、20時間未満の人が5万9000円となっています。

〇知的障害者
1カ月の平均賃金は10万8000円。
週所定労働時間別で見ると通常(週30時間以上)の人が13万円、20時間以上30時間未満の人が8万7000円、20時間未満の人が3万5000円となっています。

〇精神障害者
1カ月の平均賃金は15万9000円。
週所定労働時間別で見ると、通常(週30時間以上)の人が19万6000円、20時間以上30時間未満 の人が8万3000円、20時間未満の人が4万7000円となっています。


6.障害者の年収はどのくらい

上記のような給与で、年収に換算すると多くて250万円といったところです。
ほとんどの人は、それ以下の年収となるでしょう。

一方、国税庁の調査によると、障害者も含めたすべての人の平均年収は約360万円ということですので、
一般の平均年収と比べると100万円以上低いということになります。

その理由としては

・正社員の割合が少ないこと。
・週30時間未満の人が全体の3割ほどを占めていること。
・賃金が上がりにくい職種に就いている人が多いこと。

などが挙げられます。

障害者の賃金設定については、基本的には健常者と同じ考え方で、スキルや責任の範囲、在籍期間などを考慮して決定されるのが望ましく、そういった点を適正に評価してくれる企業や事業者との出会いが大切となります。


障害者雇用の退職理由
それでは、適正に評価してくれる企業や事業者がどれくらいあるのでしょうか?

〇身体障害者の退職理由 ※厚労省HPより参照

身体障害の離職理由

身体障碍者の退職理由の1位は、賃金・労働条件に不満が32.0%、職場の雰囲気・人間関係が29.4%と続いています。


〇精神障害者の退職理由 ※厚労省HPより参照

精神障害の離職理由

精神障害者の退職理由の1位は、職場の雰囲気・人間関係が33.8%、賃金・労働条件に不満が29.7%と続いています。

※知的障害者のデータが見当たりませんでした。

身体・精神障害者のうち、60%以上の方が賃金・労働条件に不満を抱え退職していることから、企業や事業所側の人事制度・評価制度が整備されておらず、退職率が増加している原因も考えられます。

障害特性が千差万別でカテゴライズし辛く、制度設計が難航することもあり、
就労支援機器やバリアフリー、トイレなどの設備環境への整備は進んでいますが、人事・評価制度の整備はまだまだこれからというのが実態です。

求職者の方は、実態のデータを把握したうえで、
自身の目で長く働ける、やりがいのある企業を見定める力を付けていく必要があるでしょう。

7.その他のNote情報について

8.その他キャリアートの活動について

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