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文豪コロシアムに参加した話

表題のとおり、11月~12月の数週間にわたり、「文豪コロシアム」という企画に参加してまいりました。

結果はセミファイナル敗退!
ベスト4には入ったので、とても光栄です✨
セミファイナルも1票差だったみたいなので、十分に健闘したのではないでしょうか。

ということで、参加した所感について、覚書としてまとめたいと思います。
(※この記事を書いているのは12月11日時点、ベスト4入りが決まった時です)


文豪コロシアムについて

株式会社ウエトマエが運営する新しい小説投稿サイトです。「作家の遊び場」をテーマに掲げ、様々な投稿企画を立ち上げています。その企画第一段が、こちらの文豪コロシアムでした。

内容は単純至極。トーナメント方式で作品を戦わせ、読者投票によって勝敗を決める。読者は「この2つの作品、どちらが好きか?」を基準に投票を行います。
人気投票や相互評価によりランキングが偏るのは、小説投稿サイトの常のこと。本システムはその構造に新たな切り口を開くものとして期待されているようです。

もちろん、小説に限らず芸術作品というのは「受け手」によって価値は変わるもの。勝敗や優劣なんて一元的な判断を押し付けるのは、本来ナンセンスです。
本企画の始動にあたってもそうした批判の声が散見されましたが、実際に上手く機能するのかどうか見てみないとわからない、と考えた人が多くいたのでしょう。当初予定されていた規模よりもかなり縮小してしまいはしましたが、32名によるトーナメントとして開催される運びとなりました。

出場にあたっての作戦

文豪コロシアムの「好きかどうか」のみで勝敗を決める(上手いかどうかではない)というシステムは面白いなと思っていました。公募の原稿すら危ういんだからそんな暇ないだろと思いつつ、ちょっとした遊び心で挑戦してみることにしたのです。
(最初の頃「面白いかどうか」という言い方をしていたような気がするのですが、気のせいでしたでしょうか?)

しかし、はっきり言って、わたくし祇光はこの企画で勝てると思っていませんでした。わたしの作品は所謂「売れ筋」からは外れているし、web小説の大部分を占める活動者層と好みの傾向が大幅に違うからです。

というわけで、対策を立てることにしました。
自分らしい作品で挑むのは公募だけで十分です。あえてわたしは、「ウケを狙う」方向で勝ちに行くことにしました。

ネタだしのために考慮したのは、以下の3点です。

① 対象は20~40代の男性
② 頭を空っぽにして読めること
③ インパクトの強さ
④ タイトルの語感の良さ

上記から、このように設定を決めました。

(1)読者のヒロイズムを満たすため、おっさんがJKを助ける話にする
(2)文体はなるべくシンプル(≒へたくそでOK)
(3)ゾンビを出す(?)

「オタクくんってこういうのが好きなんでしょ?」というエロ漫画に出てくるギャルの気持ちで考えました。

特に文体ですが、今回はあえて推敲いっさいなし、ベタ打ち書き捨てそのまんまでいきました。下手な描写へのこだわりなど無用です。多少言い回しがおかしくても無視しました。
どうせこだわっても読み飛ばされる…それどころか、かたっ苦しくて読みづらいと忌避されるに違いないと思ったからです。
(※蓋を開けてみたら文芸寄りの作品が結構多くて、この点についてはわたしの見込み違いだったとあとでわかるのですが)

もうひとつ、トーナメント方式で1話ごとに勝敗をつけるということだったので、

(4)1話ごとにオチor次回への引きをつくる

ことを意識していました。
そうして出来上がったものが「死にたいあの子を守る俺」です。

まじでノープロットで思い付くままに書いてしまったので、3話辺りから「これどうすんねん」になり、あと1話のところで「やべぇ尺が足りねぇ」となりました。設定もガバガバです。
そして、最終話を書きながら当初予定していたラストからガラッと変える羽目になりました。計画性のなさよ。

出場してみての感想

まじで1回戦敗退もありえると思っていたので、ここまで勝ち残れて驚いています。同時に「作戦勝ちだぜ」とドヤ顔をしています。

ただあれですね…1回戦終了時の運営さんからの講評が結構酷評で。酷評というか、設定の矛盾とかを指摘されまくりでしたね。
こっちは前述の通り、勢いで書いているので、やはり手抜きはバレるんだなぁと反省したのを覚えています。同時に、その時点で2回戦以降のやる気が半分以下になったので、せめて勝ち残っている間は指摘とかやめておいてくれてもいいのになあと思いました。負けてからなら甘んじて受けるんですけど…モチベーションが…ね…?

とか言ってベスト4入ってるんで、勝ち上がるたびに「ねえ今どんな気持ち?ww」と思っていたのは内緒です。

それからTwitter(X)で文章力云々と言っている人を見かけたんですけど、企画の趣旨をはき違えていますね。「好きかどうか」です。うまいかどうかではありません。そんなにご自身の文章力に自信があるのなら、公募でさっさと結果を出した方がいいと思います。

やはり作品は「上手い下手<面白いかどうか≦好きかどうか」です。商業作品だって下手くそなのはありますし、稚拙でも心に残れば好きになるし、作品の評価軸は沢山あるんです。何を武器に戦ってもいいとは思いますが、戦場にあった武器を持ち込むのも、技の1つだと思います。

個別の作品への講評はわたしの仕事ではないので省略しますが、設定がユニークで目を引く作品、タイトルだけで惹かれる作品が多々あり、勉強にもなりました。
ちなみに私は水槽頭のやつとカオルさんが好きでした。

今後について思うこと

……で、なんですけど。

小説界隈が盛り上がるために新しい小説投稿サイトにはぜひ頑張ってほしいと思う反面、この企画を長く続けるのは難しいだろうなと感じました。

色々思うところはあれど、最大のポイントは誰も「一本軸の評価」を求めていないからではないでしょうか。

先に述べた通り、小説の評価軸は沢山ありますから。上手さで評価されたければ公募に挑めばいいし、面白さで評価されたければwebで戦えばいいし、読者に好きになってもらいたいなら仲間内で感想を述べあうだけでも十分なのです。それぞれがそれぞれ望む「評価軸」を持つ場に投稿する。それでいいじゃあありませんか。
もちろん、そのうえで「戦いてぇ…!」という人はこの企画に参加し続けると思いますから、選択肢の1つとして存続してもらえるのは素晴らしいことです。その母数がそんなに多くないんじゃないかなぁ…ということです。

祇光は……もういいかな。
対策が立てられることがわかってしまった時点で、企画の趣旨を違えてしまった気がするしね。

とはいえ、実際投票してもらったり、♡が増えたり、コメントなんかもらえた日にゃあ、普通にめちゃくちゃ嬉しかったです。毎週1話書くという連載も初めてだったので、とてもいい経験になりましたしね。
投票するために自分なら読まないような作品を読む機会に恵まれたのも、実によかったと思います。

今後も継続していくなら、サイトの立ち位置は明確にすべきだと思います。運営さんが「遊び場」と称していましたが、遊ぶだけならエブリスタでもノベプラでも十分なんですよね。コミュニティや自主企画といった形で十分に遊べていますから。
その上で、先達に打ち勝ちたいと望むなら、作家たちが「どんなことを楽しい」と感じるのか今一度分析するべきだと思います。
「挑む」ことはそれだけで楽しい。でも、「勝敗を決める」ことが楽しいとは限らない。そんなことを今回の企画で感じました。

おわりに

とりとめのないことを書き連ねました。

改めて、参加してみてよかったです。勝ち続けられたから言えることかもしれませんが笑
なかなか刺激になり、楽しい1ヵ月でした。運営さま、対戦してくださった皆さま、投票してくださった皆さま、どうもありがとうございました。


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