量子脳仮説ってなんじゃ
量子脳仮説と言われるものがあります
『人間の思考のゆらぎは、量子力学の確率論による計算と一致する』
らしいです。
そこから導き出される仮説として
『人間の意識は、脳内で起きる何らかの量子的効果によって生じている可能性がある』
ということです。
思考が決定されるまではいくつかの解が重ね合わせの状態にあり、
それが1つに収束することで意思決定がされる
というような感じ。
まあ、これだけ聞くと
量子力学っぽいかんじなのではありますが、
「いくつかの選択肢からどれが選ばれるか決定するまでわからない」
ということであれば
普通にいくつかの選択肢の中から確率的にに決定されるということで、
わざわざ「量子」「量子の重ね合わせ」なんて持ち出すまでもないこと。
さいころをふるまではどの目が出るかわからないし、どの目も出る可能性がある。
これは量子論を持ち出さなくても説明できるのではないでしょうか。
人間の意思決定の場合はさいころほど単純ではありませんが、
どの選択肢が選ばれるか、過去の経験(記憶)から、その選択確率にムラがあるだけではないのでしょうか。
選ばれやすいものが選ばれ、選ばれにくいものは選ばれない、ということ。
その結果として、今までと大して変わらない選択をしてしまう、ということ。
「量子的」「量子論」とかいうとさも先進的な考えのように感じてしまいますが、まあ、大したことは言っていないよね。
量子脳仮説を提唱したロジャーペンローズ博士のいうところでは
「赤いリンゴが転がっている」
のを見た場合を考えると、
「赤」「りんご」「動き」それぞれを認知する脳の場所は離れている
それなのに「赤いりんごが転がっている」
と1つの物語として統合されるのはなぜか、
それを解き明かすのが量子論ということらしいです。
脳のそれぞれ別の場所で認知されたものをどうやって統合しているのか
これを量子の非局在性をからめて解釈しようとしたらしいのです。
まだ見つかっていない神経ルートや反応部位があるんじゃないの?
なんていうゲスい突っ込みはだめみたいです。それではロマンがありません。
そのほかに
細胞内にあるマイクロチューブルが量子的な働きをしているとの説を述べています。
マイクロチューブルが伸びた状態と縮んだ状態で量子的な重ね合わせ状態をもつということです。
生物学や生化学の分野では
マイクロチューブルは多くの種類があり、その構造や役割も色々調べられています。
マイクロチューブルの伸縮についても、しくみやら条件やらいろいろ調べられているようです。
数理物理学者であるペンローズは生物学の情報に疎かったのかもしれませんね。
現状の生物学や生理学から考えると、マイクロチューブルが量子的な働きをしている可能性はきわめて低そうです。
今のところ、この量子脳仮説を裏付けるデータはないようですし、
わざわざ量子的な働きを持ち出さなくても解決できる問題は多いですし、
なんだかなー、な仮説ですね。