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魔女見習いをさがして 感想文

老若男女誰にでもヒットする、今の『鬼滅の刃』みたいな化け物映画も勿論あるけれど。基本的に世のコンテンツにはターゲットとなる性別とか、年齢層とかが存在してる。
プリキュア映画ならターゲット年齢層は女児だし、ハードボイルドなガンアクションなら中高年の男性。ポケモンとかドラえもんなら親子連れ。
じゃあこの映画のターゲット層はどこかって考えたら、間違いなく20代~30代の「おジャ魔女をリアルで楽しんだ世代」なんだろうと思う。
私は熱狂的なおジャ魔女ファンでは無いので「なんで純粋な続編じゃないの」とか、「成長したどれみちゃんが見たかったのに」とかファンからしたら当然のそういう思いは一切なく。
あの時おジャ魔女が好きだった「私たち」が謂わば主人公の今回の映画は、私にはとても新鮮に映った。新しい切り口だな、と。

憧れだった仕事に就いたのに思い通りに行かない日々を送るミレ、やりたいことも、目標も宙ぶらりんなレイカ、親に言われるがままに自分の将来を決めてしまったソラ。
小さいころ箒に乗って空を飛び、夢と魔法に憧れた少女たちを待っていたのは、あまりにもそれとはかけ離れてしまった未来。
新作としてどれみちゃん達を出さず、新規の女児層を開拓することなく、あくまで『あの時、おジャ魔女を好きだった君たち』に作られた映画。
それは、とても素敵な思いが形になった映画だな、とは素直に思ったんだけど。いや、でもそれにしては改善できるところもあったのではーーーーっ!っていうのが正直な感想だったりもする。

いちばんたいせつなもの

この映画を描くのにあたって一番大事な要素って「リアリティ」だと思う。おジャ魔女が好きだった等身大の自分。そこに少しでも共感性、感情移入を入れるためのリアリティ。実際、制作側もそれを考慮してたんだと、思う。私は愛知住まいなんだけど、作中出てくる名古屋駅の銀時計(待ち合わせスポット)の背景とか景色とか、実にリアル、まさにそのものでうわあああって感動した。東京から新幹線で来るミレを待つために、メイン待ち合わせスポットである金時計ではなく、銀時計を背景に選ぶあたりにも、いやわかってんなあ!ってあまりの生きたリアルさに感心しちゃった。しかもこんなの、実際に愛知、名古屋住の人じゃなきゃわかんないようなこと。でも、神は細部に宿る。作中、岐阜、奈良、広島、東京、とさまざまな地域を巡るんだけど、きっとその土地の人は、其処ならではのリアルを感じれるんだろう。
個人的には3人が名駅で待ち合わせて、岐阜(白川郷)に向かうために乗った電車の中で、立ち乗車してるのもすごくリアルを感じて拍手してしまった。みんな経験あると思うけど、3人旅で電車ってね、指定席じゃない限り中々座れないんだよねぇ。下り電車の混み具合があまりにもリアル。ひょっとしてこの映画やべえな、とここで震えた。
でも、でも、だけど!

・カレンちゃんが魔法玉に「父親にもう一度だけ会いたい」って願って、そこから病院に向かって実際に会えてしまうまでの一連の流れ
・大宮さんという存在との出会い方

すごく大きく上げてしまうとこの辺りが、前半を思うと雑すぎたなぁ、という所感も抱きました。

フィクションなのだから

上にあげた2点とも「いや、物語だから」と言われればそれだけのお話。シンデレラに「そんな都合よく王子様に見初められはしないでしょう」、人魚姫に「いや、そんな都合よく王子様が嵐に巻き込まれて落ちてこんでしょう」って言うのと同じ。
野暮、無粋。それはもちろんわかるけど。前述したとおり、この映画で一番大切な事って「リアリティ」なわけよ。それを思うと、やっぱりどうしても突っ込みたくなってしまう。
「いや、そんな都合よくお父さんには会えんでしょう…?」
「そんな都合よく、どれみ好きの人と電車で一緒になるか??」と。
ずっと尾道に居ると信じていたお父さんが岐阜でいきなり見つかるっていうのも、そりゃ「ありえない」とは言えないけど、リアルではない。
お父さんの実家がこっちの方で、昔来たことがあるんです、みたいなエピソード入れれば、それだけでグッとリアルに近づいたんじゃないか…?とか。
大宮さんに関しても、特におジャ魔女に何の関係も無い電車の中で偶然知り合いくらいなら、現地に着いて、聖地でキャッキャッしてるときに、「あれ、もしかして」って出会った方がリアルじゃなかろうか…?あと、SNSで炎上したことある人が本名でSNSやる…?
重箱の隅つつくみたいな話になっちゃうけど、どうしてもリアリティのことを思うなら、詰めを甘くしてほしくなかったなぁ、という気持ちでした。

ま、なんだかんだ言ったけど

私はリアルドンピシャなおジャ魔女世代ではないので、おジャ魔女好きならではのシーンとか、演出とかがあったとしてもわからないんだよね。
例えば○○話に敢えて重ね合わせてるシーン、とか。そういう箇所を入れたことによってリアリティが欠けてしまったなら、それは仕方ないのかもな、とも思うので素直にごめん、という気持ち!ごめん!!!!!(大声)
でもこういう内容にするならば、生粋のおジャ魔女好きだけが楽しめるような、オタクならではの濃い映画にしても良かったんじゃないかな~、と勝手な感想を抱きました。
おジャ魔女ちゃんと見たくなったね!