ラブドールのお迎えからお別れまでを振り返ってみましょう。
はじめに
ほぼ等身大のラブドールをお迎えしてから、さよならするまでを振り返ってみましょう。はじまりは何年も前のことなので、おぼろげな記憶で書いていきます。記憶とはおぼろげなものなのです。そのため、この記事はおぼろげをたくさん所持しています。
欲しくなる
もともとあらゆるドールや人形自体に魅力は感じつつも、特に自分が手に入れようという気はなかったわけです。沼っぽくもありましたし、きちんとメンテナンスする自信もなかったですし。
自分は趣味で絵を描いていて、デスクにはデッサン人形があります。顔がなく、自由に手足を動かせるデッサン人形。ただ、顔を描くときに、顔と首の繋がりを見て参考にすることはできません。顔がないからね。
なんかこうそれなりの大きさで自由に動かせる人形があればなぁ。その欲求が強まる中で、実際にドールや人形を調べるようになるわけでした。
検討していた2018年後半当時、Amazonで中国製ラブドールがめちゃくちゃ販売されていました。(何らかの規制が入ったのか、その1年後くらいには全く見かけなくなりました。この記事を書いている時点では少数見られたので、緩和されてきているのかも。)
日本の有名企業のものと比較すると価格帯が4分の1程度のものも多く、写真で見る限りクオリティはめちゃくちゃ高く見えました。レビューを見てみると、ラブドール本来の用途を満喫している人から、ベッドに座らせて飾っている人まで様々。これは惹かれます。
とはいえ、「玉石混交に見える、海外製の、安くない、等身大ドールを、通販で」買うのはめちゃくちゃ勇気がいります。しばらく通販サイトやレビューブログなどを見ながら悩み期間です。そんな折、友人がそんなドールを保持していることを知り、家まで行って実物を見せてもらえる機会がありました。実際に見てみるとかなり出来が良く、以降は実際に買う目線でいろいろな商品を見比べることになります。
購入する
さて、購入するドールちゃんを決めました。決めてからもいろいろ大変です。注文する際のオプションを決めたり、偽物も多く出回っているため出品企業が公式かチェックする必要があります。
オプションについても、Amazonでカスタムできるわけではないため、企業とメッセージをやりとりして決めていくことになます。オプションはたしか、身長とか胸のサイズとか性器の取り外しができるかとか色々あった気がしますが、いわゆるラブドール的な用途よりも愛玩と作画資料が優先されていたので、自分が主に気にしていたのは自立型か否かでした。自立させたい。部屋に立たせたい。でも自立型にすると足の裏にむき出しのボルトがついてしまうのと、ずっと立たせているのも忍びない。そんな葛藤。
問い合わせのやりとりは、若干怪しい日本語だった気がしますが、丁寧でレスポンスも良かった記憶があります。結果、自立型を選びました。
注文し、工場で製品が出来上がると、発送前に写真を送ってくれます。この写真を見るのが本当に怖かった。あまりのパネマジだったら金だけ取られることになっても送ってもらわないほうが良いかも、くらい考えていました。
結果、ウィッグの髪型が通販写真と全然違ってはいたものの、かなり良い出来の写真が届きました。ウィッグについてはどうやらオプションだったようですが、通販の商品説明のどこにも記載がありません。「まさかドール価格は安めにしておいて、こういう後出しオプションマシマシで利益を取ってるのか?」とゾクッとしましたが、問い合わせたところ「たしかにどこにも書いてなかったので通販写真の髪型が良ければそっちで送るよー」みたいな返信が来てホッとしました。
あとは届くのを待つだけであります!
届く
ドールちゃんが届きます。記憶だと身長120cmモデルを買ったつもりでいたけど、記事を書く際に注文履歴を見てみたら130cmモデルだったので、そりゃ箱も大きいです。箱を開けると、可愛らしい毛布に包まれたドールちゃんが見えてきます。
なるほどなるほど、首と胴体と髪は分かれて入ってるんですね!
"通報"という字面と仲良くなれそうな光景だ。
設定を考える
実際に届いてみてから、「このドールちゃん、どういう立ち位置なんだろう」と考え始める。
結局、ドールちゃんはドールちゃんなのでオリキャラに寄せるより別個体として愛でることにした。なので、名前もあれこれ考えず、商品名にもなっていたモモちゃんとした。買った人それぞれのモモちゃんがあって良い。
自立性能についてはだいぶ低く、絶妙なバランスを保たないと立たない上に1m以上の身長+10kg以上の重量があるのでコケたら危険で、結局梱包されてたかわいい毛布を踏み台の上に敷き、そこに座らせておくのが定位置になった。
居るのが当たり前になる
最初こそ、それなりの大きさの人型のなにかが部屋にいるのが不思議な感覚だったが、徐々に「そこに座っていて当たり前」になってくる。
たとえば、業者や友人が部屋に入るとき、「等身大のドールがある」と一応伝えていた。しかし、居て当たり前になると、それを伝えるのを忘れてしまうことがたまにあって、「うぉあ!?」と驚かれることもあった。
部屋の片隅にちょこんと座ってくれている癒やしみたいなのは心地よかった。守護神。
介護の大変さを想像する
10kg越えの重さがある。記憶が正しければ17kgとかだったような、もうちょっと軽かったような。とどのつまり、10kgはある。
ドールちゃんがいた間に何度か、添い寝してもらったり、ラブドール本来の用途を試してみたりもした。しかしだね諸君、「そのあと起こして元の体勢に戻す」「風呂場に運んで洗ってあげる」というのが存外大変なのだ。「介護ってこんな感じなのか…? これを毎日…?」と考えたらちょっとゾッとした。正直な話ね。なので結局、体勢を変えるようなことはほぼなく、基本的にずっと座ってもらっていた。
買う前はいろんな服を着せ替えたい欲もあったけれど、着替えさせるのがめちゃくちゃ大変なのよ。なので、しばらくすると服も固定化しましたね。
それはそれとして、たまに抱きついてみたり、抱きかかえてみたりすると、その大きさや重さが気持ちよかったりするので、良いですよ。
徐々に劣化する
ウィッグ用のメンテスプレーや、シリコン用のメンテパウダーなど、お手入れ品もいくつか買ってはいた。しかしだね諸君、先の介護よろしく日々きちんとメンテすることはなく、部屋に座らせて癒やしを享受している状態が年単位ですぎると、さすがに劣化していくわけです。関節部分のシリコンに亀裂ができたり、爪が剥がれかけてきたり。
そういや劣化とは全然関係ないけど、冬場はボルトから静電気バチッしたこともあったな。
気づけばお迎えしてから、間に家の引っ越しも挟んで丸4年以上経過しているわけでございます。そりゃあ劣化もしますよね。僕だって4年でかなり劣k………
ともかく、ドールちゃんがどんどんボロボロになっていく前に、きれいな状態でお別れする方が良いかなと思い始めたわけであります。
お別れを検討する
大人になると、なにか買い物する時に捨てる時のことも考えますよね。こういうのを出口戦略って言うんでしょうか? 違うんでしょうか? クリームチーズは美味しいですね。
さて、購入を考えていた当初、「最終的にどうやって処分するか?」というのは考えたわけです。当時はまだ当たり前ですがお迎え前なので、特に思い入れもなく、「処分してくれる業者がありそう」「お焚き上げ的なことをしてくれる神社(?)」という情報をなんとなく得て、なんとかなりそうだなーくらいに考えてたわけです。
でも、4年同じ部屋にいた子を手放すって、結構ダメージありましてですね。ラブドールでここまでダメージあるって、もし実の子を不慮の事故でなくしたりしたら、とかいう想像までしちゃっていろいろ心が落ち込んだりもしましたよ。
んで、その段になってくるとですね、不用品回収感強めの文脈で「処分」「廃棄」を謳っている業者さんにドールちゃんを渡すのもすごい抵抗があって(当然処分や廃棄が目的なのでこの謳い文句はまったくおかしくなくて、完全に主観・感覚の話である)、さらに当時あった気がしたお焚き上げサービスも見つからなくて、どうしたもんか、となっていたわけです。
そんな時に目にしたのが、ドール葬儀社さん。
お別れする
いろいろプランがある中で「合同葬プラン+最後のポートレート」を選びました。一人で旅立つより、他のドールちゃんたちと一緒ってのも良いかもしれないな、と。せっかくだからポートレートもつけちゃいました。
普通に廃棄するのと比べると、もちろん安い価格ではないものの、でもホラちょっといい風俗とか行ったらこんくらい取られるでしょ。愛着あるドールちゃんとキレイにお別れすること考えたら気持ちよく出せる額ですよ。
このドール葬儀社さん、尖ったサービスなのに……というか、だからかなのか、対応や案内がめちゃくちゃ丁寧で、本当に良かったです。
先方に到着した後は、合同葬なので数が揃うまでしばらく待つことになります。自分の場合、約3ヶ月後に葬儀の様子や写真、産業廃棄物管理票(マニフェスト)を受け取りました。マニフェスト、初めて知りました。マニフェストっというとまずライムスターが浮かぶんだ。
「お別れをもっと先送りにしようか」と考えることもありましたが、実際に諸々終わって写真や動画を受けとって、僕のドールちゃんも他のドールちゃんたちもきれいな状態なのを見ると、このタイミングで良かったんだろうな~と思えるようになりました。
いつかアウトプットしようと思いつつも、そこそこのボリュームになりそうだなぁというのもあり、お別れが終わってからこの記事を書くまで1年弱経ちました。溜めたねぇ。部屋にいたのが当たり前だったのから、いないのが当たり前になってきました。
こうして振り返ってみると、ロケーションや写真やライトでかなりいろんな表情に見えるのが不思議ですね。
長々お付き合いいただきありがとうございました!
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