悲しみをお金に変えて

まず、前置きとして。
この記事は公開するまでに何度も構成を修正し、2年の時間を費やした。

今、あなたが誰かに傷つけられ、または誰かに激しく怒っていて、慰謝料なんて馬鹿らしい、自分の気持ちはお金でどうにかできるものじゃない。と思っているのなら、その気持ちは絶対に忘れずに、全力で慰謝料を請求するべきだ。

「不倫 離婚 慰謝料」
夫の不倫が発覚した当日から、何度も何度も、検索結果に表示されるサイトは全て閲覧済で目新しい情報はないくらいにこのワードでネット検索した。

発覚した当日は、夫は「バレた以上修復は不可能」なんてお前が言うなよ発覚ばかりだったし、翌日には夫の不倫相手がふざけた態度で謝罪に来た。本人たちは至って真剣だったつもりだろうが、私には、被害者には、2人とも私を馬鹿にしているようにしか見えなかった。

もし罰則がないのなら2人ともこの手で殴り殺してやりたかったし、自分たちの行いを後悔するほど永遠に苦しめてやりたい、と思っていた。その筋の人に依頼してひっそり死んでもらおうか、とも。
けれど私はサレタガワである前に、1児の母なので、そんな事はしない。絶対に。

絶対に慰謝料を払わせる。何が何でも、自分の希望額を。そう決意した。
相手の女とは弁護士を立てたが、最初はお金がないから払えないと言っていた不倫相手も意外とすんなり一括で支払う事を承知したので1ヶ月ほどで示談した。裁判になるだろうと思っていたのでラッキーだった。

夫には発覚翌日に直筆で慰謝料を払う念書を書かせ、その後何度か条件を変えたりしたがその都度念書を取り、夫とは調停も裁判もせず、協議で離婚すると宣言した。
夫は私の提示した金額は高いと言った。こういう事の相場は◯◯円程度だ、とも言った。
その発言に私は更に傷ついた。この人にとって、私の受けた傷は「相場の金額」で解決できると思っているのだな、私たちは既に完全な他人なのだな、と。
悲しみと怒りで気が狂いそうだったが、私と子供が傷ついた事実を、世間の相場に当て嵌めないで向き合ったらどうかとかなり強く訴え、私の提示金額で納得させた。

相手との示談交渉、夫との協議、その後の公正証書の作成や離婚の手続きはかなり神経を使ったし、ストレスだったし、子が寝た後に何度か泣いた。

けれどいざ色んな事が終わってみれば、慰謝料をきちんと取った事に達成感を感じている。
そして、何より大切なのが、
慰謝料を払わせた以上、私には「これ以上この件について相手を責めてはいけない義務」がある。
この義務のお陰で私は「殺してやりたいほどの怒り」にキチンと蓋をする事が出来た。

慰謝料が払われたからといって相手を心から許す必要はないし、一生憎み、怒り続けたって構わない。
けれど慰謝料を請求し、無事支払われたという事実とそれまでの過程は、傷付いた事件の本質から自分の意識を少しずつずらして私を楽にしてくれた。
人は苦しい出来事にずっと向き合い続ければ壊れてしまうのだ。
あなたの苦しい気持ちを解決する為にも、相手と慰謝料という名目でしっかり戦い抜くのは悪くない。少なくとも私はそうだった、というお話。

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