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9 審判…!


審判の前の最終審問手続き

 前回までの記事で調査官調査と調査官調査に対するそれぞれの意見が提出されました。
 今回は審判まで書こうと思います。審判前の期日において、裁判官からの審問がありました。
 3か月後程度したら再婚することを前提にした離婚であったと主張する元妻。そのことについて、裁判官は両当事者にこう問います。
「離婚協議の場において、数か月後程度したら再婚するという件について、再協議の時期、方法、あるいは修復できなかった場合の両者の関係等について具体的な取り決めはなされたのですか?」
元妻「…いいえ。取り決めは特にありませんでした。」
私「親族協議の場では、私の父が申立人が土下座して謝罪する姿を哀れんで、いったん落ち着いて、必要があれば改めて当事者間で協議すれば良いとは言いましたが、3か月後に必ず話し合いの機会を設ける事や、そこで許してもらえたら再婚するとかいった話は、お互いに提案すらしていません。」

こういった「審問」という手続きを最終的に経た後、裁判官は元妻の訴えを却下し、私の訴えを認容する方針であることをそれぞれに伝えます。
 お互いの弁護士をそれぞれ呼び出し、代理人だけに伝えるというスタイルでした。また、私の弁護士には保全の手続について取り下げをするように話があったそうです。

保全の却下と取下げ

「本案は認めるから保全は取り下げて欲しい」
「保全は生命身体に緊急な危機が迫っている状況でないと認める事ができない。本件はそれには該当しないので取り下げにならないのであれば却下せざるを得ない」
という話があったそうです。
 本案を認めてくれるのであれば、もう今更保全など取り下げるのは全然問題ないのですが、事件の悪質性から見ても、子の心情から見てもこの事件は、そもそも保全と保全に伴う強制執行を認めるべき案件だったのではないでしょうか??
 
保全を認めるのは、本当に生命身体に緊急な危機が迫っている時だけなのかな。私はそこは疑問に思います。保全を認めて頂いた事例を当事者から聞いたことがありますが、とても生命身体に緊急な危機が迫っているとは言えないような事例もあったように思います。実は裁判所は本当に私に子どもを引き渡すつもりなど当初は無かったのだろうと思います。調査官調査で流れが大きく変わっただけで、当初は子を連れ去った母親にそのまま子の監護を認める腹づもりだったのでしょう。だから保全ができなかったのだろうと私は思っています。

和解の打診

 相手方弁護士には、このままだと却下となる審判を書かなくてはならないから今後の両当事者の関係、子らの将来を思うと審判を持って決着をつけるより和解ができないか、打診をしてくれたそうです。審判が出て両親の善悪をはっきりさせるよりも両親が和解の上、引き渡しをした方が子らへの悪影響が少ないと考えてくれたのだと思います。実は「裁判所の執行能力が低いから子を実効支配している側に徹底抗戦されたら子の引き渡しの実現が難しい」という事も、「子を引き渡せ」という審判を裁判所が書きたがらない理由のひとつらしいのですが、
「それは、”よほど悪質で身勝手な相手”の場合の話。一般的には弁護士がついている以上、弁護士から当事者に向けて和解の説得をするものですよ。」と私の代理人弁護士は言ってくれました。でも、私は安心できませんでした。相手弁護士のやり口をその著書から知っていたからです。
「みんながみんな貴方のような立派な弁護士ばかりではないんだ…。」
そう思い、一抹の不安が残る気持ちでしたが、代理人弁護士の言う通り引き渡しの連絡がある事を待ちました。そして、私からは元妻に対して、
「これ以上子どもの両親が争う事は辞めて和解をしましょうよ。子どもたちのためにもこれ以上争うのではなく、円満に引き渡しをしてほしい。」
といった趣旨の手紙も出しました。
 しかし、何日経過しても引き渡しの連絡がない日々。結局元妻側から何の連絡もないまま、次の期日へ。それまでに和解が成立していれば行う必要がない期日でした。この日も交互に待合室から法廷に呼ばれますが、相手の持ち時間が圧倒的に長い。こちらはほとんど裁判所と話す事がないままずっと待たされます。最後に呼び出された際に裁判所から
「相手方は審判を見て、今後の対応を決めたいとの事。和解はしませんとのお話でした。」
と聞かされました。
 やはり、自ら起こした訴訟であるにも関わらず、気に入らない結果であれば聞き入れない。まさに相手方弁護士の著書に書いてあるとおりの姿勢でした。

ついに審判!長かったここまで…。

 そこで審判が出ます。子の引き渡し認容の心証開示がされてから審判まで2か月程度あったように思います。その間もずっと父子断絶は続くわけです。既に子の連れ去りから10カ月が経過していました。
 審判でも元妻の行為は強く非難されることはなく、まだ元妻に対して同情的な、ある意味配慮のある表現が盛り込まれていました。また、
「~であるという元妻の主張を踏まえても~であるから認められない」などと、相手の主張を丹念に傾聴した上でそれでも認める事はできないと丁寧な審判書が書かれました。その中でも注目すべきところはこちら。

 

東京家庭裁判所 審判 抜粋

 これ、どう思いますか?
「あれ? 俺の事件にも使えるんじゃない?俺も親権者だけど…。」 
「私だって親権者で子どもとの関係に問題なかったのに黙って連れて行かれたよ」
そういう方、いませんか? この判断、とても全うだと思いませんか?

東京家庭裁判所は平成28年には既に
「未成年者らとの関係において特段何の必要性もないにも関わらず、相手方と何ら協議を経ないまま、未成年者を連れて実家に戻る形で別居することは、親権者である相手の監護権を侵害する不相当な行為」
という素晴らしい判断を下していたのです。
 これってとても大切な視点で、あらゆる「子の連れ去り事件」において重要視して欲しい着眼点だと思います。これですよ、これ。これを重視してこなかったから、実子誘拐がビジネスになってしまったのではないでしょうか。全国の家庭裁判所にはこの視点をどうか大切にして欲しいと思います。

判決の一部を開示してまで伝えたいこと

 
子の連れ去りにあった方はどうか
「なんだ、訴訟に勝った自慢かよ」
「裁判官ガチャに当たっただけ」
「どうせ単独親権者だから勝てたんでしょ」

と思って諦めないで欲しい。どうか思考停止をしないで欲しいと思います。
 確かに裁判官ガチャはとても大きな問題だと思いますし、私が父親の単独親権者ではなく、母親の単独親権者であったならばもっともっと簡単に勝てた話だと思いますが、私だって絶望の底にいたんですよ。みんなと何も変わらない。ひどい扱いを受けて来たんです。
 こんな形で判決文の一部を公開しているのは、いかに自分が優れていて、立派な勝ち方をしたかなどを自慢したくて掲載しているのではありません。元妻を貶めたくて掲載しているわけでもありません。
同様の被害に遭った方々に
「こんな審判を導く事だってできるんだよ。」
「頑張るのは裁判官でも弁護士でもなく、当事者の貴方。家庭の事情を誰よりも知っているのは貴方なんだからそれをどうか裁判所が正しく判断できるよう頑張って伝えて」「工夫してみて」「悩み抜いてみて」
と伝えたいのです。限られた時間、機会しかない中でどうやって調査官の理解を貰うか、どうやって相手の虚偽主張を覆すか、いかに裁判所の判断基準に沿った立証をするか、その事に皆さん、どうか全力で頭を悩ませてほしいのです。今まで生きてきて、過去ここまで頭を使った事ないぞってくらい全力で考えて欲しいのです。 もう昼も夜もないくらいひたすら考えて欲しい。

そして、そんな事をぐるぐる考えていると不思議な事が起きるのです。

 私の場合、夜に寝ていると、夢の中でヒントを貰うようなことが良くありました。
「あっ、これって相手にとっての矛盾じゃない?」
「あっ、そういえばこれって証拠にならないかな?」

一生懸命考えていると、なぜか夢の中でそんなことが思い浮かぶのです。当事者が諦めてしまえばそのような事は夢に出てこない事でしょう。これは本当に何回もありました。忘れないうちにメモを取って翌日には案として弁護士にメールしたり、証拠と突き合わせたりして…。夢のお告げ?としか考えられないようなものに何度か助けられました。

 そしてもし、子を奪われた親が諦めてしまえば、何の力もない子どもらは自らを助ける事ができないまま、連れ去らわれた先で暮らす事になるのです。貴方が諦める事は子どもから大きな選択肢、場合によっては希望を奪うことにもなるのです。監護親との暮らしが幸せであればまだ救いがありますが、そうでなかった時に何があっても別居親からは救いの手が差し伸べられなくなってしまう。
 もし、子が悩んでいても困っていても助けられないような人が、今、まさに監護親として子と同居しているなら、貴方は何としても諦めてはいけません。子どもを守るためには貴方は諦めてはいけないんです。
 裁判官ガチャもあるでしょう、弁護士ガチャもあるでしょう、調査官ガチャもあるでしょう、私のようにあなたが単独親権者である事は稀で、相手だって同じ権利を持つ親権者である事もあるでしょう。それでも私達当事者ができる事、やれることは何一つ変わりません。全力を尽くすだけです。


井上雄彦氏 SLUM DUNK 第8巻より



森川ジョージ はじめの一歩 第42巻

今回の記事で一番伝えたいことはこの事です。残念ながら悲しい事に
「正義は必ず勝つ」「努力は必ず報われる」
なんて綺麗事は言いません。それは真実ではないからです。相手が嘘の限りを尽くして裁判所を騙し、誠実な貴方が負ける事だってあるでしょう。どんなに努力を重ねても勝てない時があるかも知れません。
 でもね、たとえそうだとしても全力を尽くす事は誰にだってできるはずですし、やるべきだと思いませんか
 自死を考えるほど苦しい日がある事だって経験済みですから分かりますが、それでも歯を食いしばって集中して頑張り抜くしかないんです。図書館に通って関係書籍を読み漁り、家に帰ってはどんなものが証拠になるかを考えて考えて探すしかないのです。
 私はそんな皆さんの力になるためにこうやって過去の戦いについて多くの人のヒントになりそうなことをnoteに残しています。

子どもの幸せを願うパパやママよ、どうか、お願い。負けないで。

次回以降について


 子の連れ去りから10カ月。ようやく子を引き渡す審判が下されます。もう、この時点でへとへとですよ。かなりシンドイ思いをしてなんとか裁判所にここまでの審判を書いて貰えるよう導いたなと思います。主張の組み立てから、相手の主張への答弁、提出すべき証拠の取捨選択、証拠提出のタイミングの見極め…。
 全て当時の代理人弁護士と慎重に検討しながら進めた事です。当然私一人で本人訴訟ではこの結果は出せなかったでしょう。当時の代理人弁護士には本当に感謝しています。代理人弁護士も私に対して適切な証拠を執念で集めた事、裁判所からみて分かりやすい陳述書を書いた事、最終的には限られた時間の中で、答弁書を全てひとりで書き上げたことなどを称えてくれました。えへへ(*^▽^*)
頑張ったんですよ、本当に…。単独親権者だから楽に勝てるに違いないってのはマジで間違いですからね。

 ただこれでも喜べないのが子の引き渡し。今度は相手に即時抗告の権利が与えられます。気に入らなければ高等裁判所に抗告ができるのです。しかし、ここまで丁寧に相手の主張を汲み取って相手に言い聞かせるようにして書かれた審判。これまでの相手の主張を全て踏まえても、抗告に値する正当な理由が無い事は明白でした。
 家裁での手続きはとりあえずおしまい。しかし、恐ろしい事に、まだまだ家裁との縁は切れません。いわば家庭裁判所第一ラウンド終了といったところでしょうか。
 次回以降は、元妻に起こされた即時抗告について執筆をしていきます。

 これからも記事を追加していきます。感想やリクエストなどありましたらTwitterでお知らせいただけると大変励みになります。
よろしくお願いします。


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