【推しの子】に木村花さんを誹謗する意図は無いという話

私はテラスハウスも【推しの子】もみています。

 その上での見解として【推しの子】に遺族や故人を誹謗する意図はありません。あの章でモチーフになっていたのはテラスハウスだけではなく"リアリティショー"という演出手法そのものです。日本だけでなく世界中でトラブルが起きている事に作中で触れている事からもそれは推察されます。

 そして読めばわかりますがリアリティショーは肯定的に描写されていません。 では悪とされているのかと言われれば決してそうでは無い所に【推しの子】の深さがあります。演出手法の危うさや商業主義のネガティブな面を強調しつつ、

・「何故リアリティショーが求められるのか」
・「どう対処すべきなのか」

という所まで深掘りしていく。つまり、今後決して無くならないリアリティショーという形式と「私たちがどう向き合っていくべきか」という事を問う内容になっているんです。この点に【推しの子】の批評性の高さを感じます。

 覚醒剤や殺人は法律で規制されているので単純に否定すればよく、警察になどの行政に取締りを任せれば良いです。しかしリアリティショーは危険性があるにも関わらず野放しになっているのが現状です。つまり消費者がいくら無視・否定をしても危険性から逃れられないのです。それに対する処方箋を【推しの子】は決して説教くさくなくエンタメとして最上のクオリティをキープしつつ何百万人の読者に届けています。

 もちろん作品なのでどんな読み方をしても自由だと思います。当事者を愚弄している、という読み方も可能でしょう。処方箋が完璧だとも私は思いません。ただ読まずにイメージだけでこの問題を語るにはやめて欲しいです。現在連載している作品の中でも最高レベルで読む価値のある作品です。今回の騒動を機に未読の方は是非。なお面白さのギアがかかるのは2巻~3巻ぐらいからなので読むならそこらへんまで一気に読んでください

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?