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会話

アイドルマスターシャイニーカラーズのpSSRカード、【エバー・リメンバー・ネバー】風野灯織のカードコミュ感想文です。

以前にちかのsSSRカードで試みたコミュを要約するという作業が案外楽しかったので、最近特に暇なこともあって定期的に続けています。折角だからインターネット上にも残しておきたいと思い立ったので、こうして投稿することにしました。

参考:以前書いた【間違いそうだ】七草にちかのカードコミュ感想文

要約

「いつもそこにある」


イルミネを結成したばかりの頃、一緒に練習していた真乃に冷たい言葉をかけてしまった時のことを夢に見た灯織。夢をきっかけに、ふたりが優しいから自分に付き合ってくれているだけで、実際は迷惑をかけてしまっているのではないか、という思考に陥ってしまい、めぐるからのメッセージにも返信できずにいた。灯織の様子がおかしいことに気がついたPに声をかけられ、思い切って夢の内容を話してみることにする。灯織の相談を受けたPは、夢は夢以上のものではないし、灯織が真乃とめぐると3人で過ごしてきた時間は本物だから大丈夫だ、ということを伝えた。

「手が届く 目が届く」


また昔の夢、今度は、折角話しかけてくれたクラスメートの言葉を、必要のない会話だと切り捨ててしまった時のこと。事務所についてからも、悪い夢を振り払うように、その日の会話を振り返ったメモを書き綴る灯織。もともと会話を繋げるのが下手であると自覚している灯織は、話のきっかけ探しに役立てるために、この"会話メモ"をつける習慣を続けているのだった。Pに何を書いているのか聞かれた灯織は、メモのことを説明し、過去のPとの会話の内容を誦じてみせた。

「はるかかなた」


事務所のキッチンでPと共におやつ作りに取り組みながら、料理に関する記憶を思い返す灯織。レシピ本に書かれた『分量外』のような用語の意味がわからなかったり、唐突な『一晩おく』に予定を狂わされたりと、苦い記憶ばかりを思い出してしまう。しかし、現在の灯織は、唐突な『170度に予め熱したオーブンで』という記述に困惑するPに対し、知識によって落ち着き払って対応することができる。長年家で料理を担当してきたことで、様々なレシピに対応して手際よく作業することができるようになった灯織は、やはり続けることには意味があるのだと思うと語った。

「忘れていた(わけではなく)」


雑誌の記事の取材のために、絵本を中心的に扱う本屋でインタビューを受ける灯織。小さい頃に読んでいた絵本について質問され、小学校入学前後は動物が主人公の絵本を自分で読んでいたと語る。次に、店内を見ていて気になった絵本について質問されると、徐に『おとうさんのおおきなて』というタイトルのものを手に取った。この絵本は、まだ灯織の母が仕事に復帰していなかった頃に読み聞かせてくれていた思い出の本だった。たまに単身赴任先から帰ってきた父親まで巻き込んで、何度も読み聞かせて貰ったその本は、今でも家にあるかもしれないと振り返る灯織は、久しぶりに思い出した幸せな記憶の味を噛み締めているようだった。

「大事なこと ぜんぶ」


川沿いの遊歩道を歩きながら、このごろ昔のことをよく夢に見るということをPに話す灯織。実は、Pと共におやつを作ったあの日も、小学生の頃に料理で失敗した夢を見て、少し落ち込んでしまっていたのだった。だからこそ、あの日のPとのやりとりが、今の自分は過去の自分とは違うということを示しているようでありがたかったと語る。根がネガティブで、よく過去の過ちを振り返っては落ち込んでしまう癖がある灯織。しかし、絵本屋でのインタビューの日は久しぶりに良い記憶を思い出すことができ、自分の人生は悪いことばかりでもなかったと思い直し、改めて『アイドルになってよかった』と感じることができたのだった。

感想

全体の趣旨を更にまとめれば、「人に接するのが苦手な自分を変えたくてアイドルになった少女、風野灯織は、過去の会話におけるミスを相当苦いものとして記憶しているが、アイドルとしての活動を経て自分を変える努力を続けており、その努力は徐々に実を結んでいると自認しつつある。」といったところだろうか。

コミュニケーションに苦手意識のある人が、過去の会話における失敗の記憶のフラッシュバックに苦しむということ、それ自体はとてもありふれた話だろう。そして、コミュニケーションが苦手な自分を克服したいと思った時に、「今日の会話を振り返ってメモにまとめる」という具体的な行動を起こす人はあまり多くはないと思うけれど、全くいないというわけではないだろう。そこから、「なりたかった理想の自分」の姿をアイドルに見出し、自分を変えたいという希望に対してはっきりした目標を設定できる人は、なかなかいない。況んや、その目標に向かう努力を数年単位で続けられる人においてをや。

アイドルを目指した動機自体は実にありふれたものであるのに、その結果は常人離れした、でもギリギリ理解可能な気がする程度の努力に支えられている風野灯織さん、実に「みんな普通の女の子だ」を掲げるシャニマスらしいアイドルだと思う。

今迄の風野灯織さんのコミュをきちんと読み直したわけではなくて、上の文章は殆ど自分の感じた印象のみで書いている。だからこれも印象にすぎないんだけど、こうしてコミュを読んでみると、風野灯織さんはコミュニケーションを成功させるために、会話をかなり意識的に行なっているように見える。

代表的な例として挙げられるのが、True End達成コミュ「大事なこと ぜんぶ」内のこのやりとり。

灯織「最近、昔の夢をよく見るんです」
~中略~
P「どんな夢だったんだ? 楽しかったこととか?」
灯織「いえ、逆です」
P「えっ」
灯織「いいリアクションをありがとうございます」
灯織「まぁ、内容についてはすでに話したようなものなんですけど」

このやりとりの中の『いえ、逆です』『いいリアクションをありがとうございます』という発言は、ある程度事前に会話の運びを組み立てて、相手から予想される返答を考えているからこそ出る言葉ではないだろうか。

Pならきっと、『昔の夢をよく見るんです』と投げ掛ければ、ポジティブな方向に解釈して相槌を打つだろう。そこに、『いえ、逆です』という言葉を返すと、意表を突くことでここから続く話に自然と興味を持ってもらえるだろう。あわよくば、ここから始まる少し重い話も多少コミカルに、深刻すぎない雰囲気で繋げていくことができるんじゃないか。----

みたいな。ここまで書くと大袈裟だし、実際ここまで詳細に会話の流れを想定することは普通はしないとも思うけれど、こういったことを少しでも考えていたからこその、『いえ、逆です』だと言うこともできると思う。それこそ、”我が意を得たり”とでも言えるような。

感想を総括しよう。風野灯織さんは会話を意識的に行なう努力を続けている人で、かなり尊敬できるし、すべきだなと思う。

後書き

風野灯織さんのコミュニケーションには意識的に行われている部分があり、それゆえに少しぎこちなかったりする時もあるが、それがこの人の不思議にコミカルな魅力に繋がっており、本当にいいキャラクターだなと改めて思いました。

今までpSSRコミュの要約を作ったことがあるアイドルの中だけでの比較になってしまうけど、このカードの要約はかなり文字数が多い。通常要約パートのみの文字数は1,000字弱に収まるのだけれど、このカードの同パートは1350字程度になった。風野灯織さんの時にぎこちなかったりする、丁寧なコミュニケーションの雰囲気が少しでも伝わるように書きたかったのかも、しれない。お疲れ様でした。


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