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絶望

アイドルマスターシャイニーカラーズのsSSRカード、【間違いそうだ】七草にちかのカードコミュ感想文です。

本文

シーズのコミュを真面目に読みたいなと思った。取り敢えず感謝祭のプロデュースコミュを読み、いまはGRADに向けて呼吸を整えているところだ。そういえば、ガチャで引いたっきりで手をつけていなかったサポカのコミュがいくつかあったので、これを機に正面から向き合ってみることにした。

このカードはにちかのsSSR一枚目で、時系列的にはかなり初期のお話だ。「10階」「違うから」「足下に天井」の三部構成。以下に要約する。

「10階」
結成間もない頃のシーズがレーベルを訪問する。慣れない高層ビルにはしゃぐにちか。9階までエレベーターで上がり、目的の10階までの1階分を階段で登る途中、先に上がった美琴を10段ほど下からにちかが見上げる構図になる。美琴を見上げながら階段を登り切ったにちかは、美琴と自分のアイドルとしての実力差に想いを馳せ、美琴に追いつこうと努力することを改めて決意する。

「違うから」
収録の現場で知り合いのディレクターにシーズの歌とダンスを褒められたにちかは、姉のはづきにメッセージで得意気に報告する。舞い上がりすぎたことを薄々自覚しつつレッスン室に向かうと、そこには前日に伝えられたばかりの振りを完全に習得している美琴の姿があった。見栄を張って半分くらいと言ったものの、実際には3分の1程度しか覚えていなかったにちかは、合わせの練習ができずに美琴の足を引っ張ってしまったことを悔いる。美琴との差は実力のみならず、努力にもあるということを認識したにちかは、一瞬でも得意になった自分を恥じた。

「足下に天井」
撮影の現場でメイクを受けながら、メイクスタッフや現場ディレクターと、『腕を組んで寝ると悪夢を、反対にうつ伏せで寝ると良い夢を見られる』という噂話で盛り上がるにちか。結果として美琴にメイクの順番待ちをさせる格好になったにちかは、美琴を呼びに階下にあるスタジオへと急ぐ。以前このビルに来た時(=「10階」)とは反対に、自分が上、美琴が下にいるという状況に気がついたにちかは、悪夢も良い夢も所詮夢でしかないように、自分と美琴の実力差は上下などに関わらず遠いものであるということを再認識し、暗澹とした気持ちになった。しかし、……

つまり、更に掻い摘むと、「にちかはシーズとしての日常のふとした瞬間に美琴との実力差を目にして凹んでいる。アイドル活動に慣れるほど、その差が埋め難いものであることがますます鮮明になっていく。」という話である。

物語に救いがないことに定評のあるシーズの一枚目なのだから、にちかが全く希望を見出せていないのは当然と言えば当然なのだけれど、それにしても、である。感謝祭のプロデュースコミュのように、現時点での自分の実力を認めて前を向く、という姿勢をとることもなく、只々絶望して終わった。これではへこたれない、諦めないというにちかの決意は「でも……」の一言だけに押し込めて、最大に近い純度の絶望をお届けされた。
率直に言って精神衛生によろしくない。ぼくだって、3分の1くらいしか出来ていないことを、せめてもの見栄で半分くらいと報告して、自分の惨めさを噛み締めたような経験なんて、数え切れない。
でも、七草にちかはこのままでは終わらない。はずである。アイドル・七草にちかの足取りの序盤の1ページに、こういう日があったことを忘れないでいてあげたいと思った。

後書き

コミュを要約するという作業、なかなかの重労働だった。もう二度としないかもしれない。シャニマスのコミュは映画のような場面展開と小説のような行間を併存させた決して平易ではない読み物なので、地の文だけで説明するのは当然難しかった。

人生が色々あったけど、ひとまず前を向いて頑張っていきたいと思っています。せっかく暇なのだし、これくらいの質量の文章をより素早く、高頻度に書けるようになりたい。来年度の抱負です。


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