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試験当日のメンタルをシミュレーションしておくという話

私が大学受験の受験生だったときに、確か予備校の先生だったと思いますがこう言われたのを覚えています。

試験の前日までは「自分は世界で一番頭が悪い」と思って勉強し、当日になったら「自分は世界で一番頭が良い」と思って試験に臨め

某大手予備校の某講師

なるほどなぁと思いましたのでそれを実践していたつもりですし、それから20年以上経った今でも覚えているのは、それなりにインパクトのある助言だったからということになるでしょうか。

これは大学受験の受験生に向けて発せられた言葉で、前日までの努力を油断なく完遂することの大切さと、当日のメンタルの重要性を表現していることになりますが、中学受験に臨むのは小学生なわけですから言わずもがなでメンタルは大事ですよね。

ここで紹介したのは試験が始まるまでの心の持ちように対するアドバイスですが、そこから先のメンタルも非常に大事だと思っています。
スポーツで例えると、例えばバレーボールやバスケットボール、卓球などは試合途中でタイムアウトを取ってコーチが選手たちにアドバイスをしたり気持ちを奮い立たせたりすることができますよね。だいたい苦しい時、これ以上の点差がつけられるとマズそうな時にコーチがタイムアウトを要求し、打開策を選手たちに伝えたりしているのだと思います。
一方、テニスは試合中の一切のアドバイスを禁止されています。日没や降雨で中断が入るときはこの限りではありませんが、いったん試合が始まってしまえばどういう試合展開になろうとも全て自分で対応していかなければならないわけです。

受験は試合途中のアドバイス禁止

受験もこのテニスと同じ状況ですよね。試験会場までは保護者が送っていくかもしれませんが、教室に入ってしまえばあとは1人で戦わなければなりません。問題を解いている最中も、次の試験までの休み時間も、自分で自分の態勢を整えたり気持ちを奮い立たせたりしなければなりません。
それも小学生が、ですよ。
人生で初めて合否が出るような試験を受ける小学生が、です。
(英検や漢検を受けたことはあるかもしれませんが、あんなのは落ちても次また受ければいいだけの話ですのでプレッシャーが違いますね)

試験本番の数週間前に私から息子に伝えたのはまず以下のようなことでした。

自分に解けない問題があったとしても焦ったり諦めたりする必要はない
君に解けないということは、他の受験生も解けない可能性が高いのだから

うちが受検した中高一貫校の合格ラインが何点なのかは、結局よく分からないまま受けたことになります。塾に通っていれば教えてもらえるのでしょうが、ネットで探した限りは信ぴょう性の高そうなデータは得られませんでした。
模試の結果などから推測して、6割くらいの得点率が合格ラインだと仮定して、7割くらいを安全圏とみてそのくらいを目指したいよねという話をしていましたし、過去問もそのくらいを目標に解いていました。

そうすると何が起こるかというとですよ。仮に解けない問題が多くて5割くらいしか解答用紙を埋められなかったと仮定します。
本人としては合格ラインが6割と信じているので、この時点で「もうだめだー」となって、記述問題で1点を削り出すような努力を諦めてしまうことが起こり得ますよね。

例えば適性Iと適性IIの2科目の試験だったとして、最初の試験がそういう感じだと2時間目は諦めムードのまま突入することになってしまいます。

あきらめたらそこで試合終了

でも合格ラインなんて採点してみるまで分からないわけですから、途中で勝負を捨てるのは勿体ないわけですよね。
そこのところを本人としっかり確認しておくことが重要だと思っていましたし、仮に落ちたとしても最後まで全力で戦ったかどうかというのはその後の人生にも大きく影響するものだと思ったのです。

結果論になりますが、これは本当に重要なことでした。
合格後に得点開示をしてみたら、片方の科目は100点満点のところ30点ほどだったのです。
これには本人はもちろん妻も私も非常に驚いてしまいました。入学後にも気になっていた生徒が多かったらしく、みんなで点数を言い合ったらしいのですが、軒並みそのくらいの点数だったようです。

仮に「もうだめだ」と途中で諦め、1点をもぎとる努力を怠った結果、1点に泣いたという可能性もあるわけですからラッキーだったとも言えますし、諦めなくて良かったとも言えますね。

1時間目の手ごたえで場合分けしておく

やはり何と言っても小学生ですから、当日に現場で自分の力で考えなければならないことは少なくしておきたいところです。
(自分で考えられる子に育っていることが理想であることは間違いないのですが)

そのためには、「こういう場合にはこう考える」、「こんな状況だったらこう考える」というふうにあらかじめ場合分けも用意しておくことも有効だと考えました。単純なことですが、私が息子と考えたのは以下のようなことです。

  • 1時間目の手ごたえが良かったとき

    • 油断せずに2時間目も1点を削り出す努力を怠らない

  • 1時間目の手ごたえがまあまあだったとき

    • 2時間目こそライバルを引き離すチャンスなので、落ち着いて1問ずつ取り組んでミスに気を付ける

  • 1時間目の手ごたえがイマイチだったとき

    • まだまだ2時間目で挽回のチャンスはあるし、みんな1時間目で苦戦しているかもしれない

どの場合も言っていることは「落ち着いて頑張れ」くらいのことなのですが、事前にこういう心境を想像しておくだけでもだいぶ当日の本人の心の負担は違うと思うのです。

たぶん塾ではプロの方がこういったこともサポートしてくれているのでしょうかね。
当たり前のことばかり書き連ねたかもしれませんが、もしなるほどなと思って下さる方がいらっしゃれば幸いです。


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