長引く発熱とリンパ節腫脹(菊池病)
長引く発熱、リンパ節の腫れ、全身倦怠感がある患者さんでなかなか診断がつかないことって時々あります。
その中には川崎病や、化膿性リンパ節炎、ねこひっかき病とか、まれには悪性腫瘍などもありますが、あまり世間には知られていない菊池病(亜急性壊死性リンパ節炎)という病気もあります。
菊池病、耳慣れない病気かと思いますが、小児科で時々遭遇する病気で、大人でもしばしば見られます。
またの名を亜急性壊死性リンパ節炎といってなんとなく悪そうな名前がついていますが、基本的に良性の病気です。
ただこの病気情報が少ないようで、保護者から「ネットで調べたけど情報がない!珍しい病気なんですか?」と嘆かれたこともあるのでブログに書くことにしました。
菊池病は子供では小中学生にみられ乳幼児ではまれです。
発熱と、痛みを伴う頸部リンパ節炎が主な症状で、脇のリンパ節が腫れることもあります。
リンパ節は触ると痛いので、「首が痛い」という症状は多いです。
微熱が1週間以上続き倦怠感がつよく、ときに高熱になります。
発疹を伴うこともあります。
抗菌薬では効果がないので、1ヶ月くらい発熱や倦怠感が続いて、大きな病院に紹介されたり、自然治癒傾向もあるのでよくわからないリンパ節炎だったけど1ヶ月くらいしたら治ったということもあります。
血液検査では白血球減少がみられることが多いことと、炎症マーカーの軽度上昇、ときに肝臓機能の数値上昇がみられることが特徴です。(診察すると肝臓や脾臓の腫れがみられます。)
今のところ発症原因はよくわかっておらず、血液検査だけでは診断できません。
腫れているリンパ節を手術して採取し顕微鏡で診るリンパ節生検が最も正確な診断になりますがどこの病院でもできる検査ではなく、患者さんの負担も大きいので全てのケースに行われているわけではありません。
症状や血液検査の特徴をみて、かつ他の病気が否定的であることを確認して推測しています。
自然治癒傾向もありますが、倦怠感が強く発熱の期間も長いので、症状の改善のためにステロイドの投与をすることが多いです。ステロイドの反応はよくて、投与すると割と早くラクになります。
発熱とリンパ節腫大を伴う病気はたくさんあり、他の病気の除外も必要なので、診断については慎重にすべきものではありますが、菊池病(亜急性壊死性リンパ節炎)は案外認識されていないこともあるようなので紹介致しました。
ブログの内容だけで、診断できるものではないですが「もしかしてあの時の症状は菊池病だったかも?」とか、長引く発熱やリンパ節の腫れ、全身倦怠感が続いて抗菌薬の治療にも反応しない時などに、「菊池病の可能性はありますか?」と質問のきっかけにしていただければと思います。
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