「はじめての食材は平日の午前中に一つずつ試す」は現実的ではない。

5-6ヶ月から離乳食開始となりますが、栄養相談や育児書等では

「アレルギーの可能性を考慮して、もし症状が出た時のために平日の午前中に一つずつ試すと良いでしょう」とアドバイスされることがあるかと思います。

実際アレルギー症状が出て、アナフィラキシーになると迅速な対応が求められますので、

夜や休日に初めてのものを食べて症状が出たとしても、対応が可能な医療機関は限られていて困ると思います。

よってはじめての食べ物は、かかりつけを受診しやすい平日の午前が望ましいとされます。

そして、「はじめてのもの」を一度に複数食べていたら何によるアレルギー反応なのか、診断は混乱するので、

「はじめてのものを食べるときは平日の午前中に1品目ずつ」と指導するのが一般的となっています。

私もかつてはそう言っていました。

しかし、アレルギーの診療をこなすうちに、この指導は現実的には難しいと考えるようになりました。

平日の午前中に1品目づつ食べさせるということのハードルはとても高いことのように思います。

保育所利用率は0歳児12.1% 1・2歳児 36.9% ほど。

(平成27年 保育所等関連状況とりまとめ:厚生労働省)

普段外で仕事をしている家庭にとって、平日の午前に食べさせることができるタイミングはとても限られています。

外のお仕事をしていない場合でも午前中に色々と用事はあるわけで、いつでも医療機関を受診しやすい体制とは限らないです。

しかし、赤ちゃんにとってはどの食材にも必ず「はじめて」は存在して、その品目は数え切れないくらいあります。

1品目ずつつすすめていっては離乳食期は終わってしまう。

こういった状況から、現実的には1品目ずつではなく色々入っているものを一度に試したり、夜や休日に試すことは多いのではと思います。

たしかにアレルギー症状で受診した子が「はじめてのもの」を一度に何種類も食べていて、はたしてどれで症状が出たのか混乱することがあることは事実ではあります。

ではどうすればいいでしょうか?

ここで私は、平日の午前に試すべきものと、そうでないものを分けることを提案します。

つまり食物アレルギーで症状が出やすいものは平日の午前に試して、そうでないものは休日や夜に食べたり、一度に数種類の食材を試してもいいという方法です。


こちらは食物アレルギーで症状が出る頻度が高いものを示しています。(食物アレルギーガイドライン2016)

とくに卵、小麦、乳でほぼ70%と頻度が高く、注意が必要です

あとは果物、魚卵、甲殻類、ナッツ類、ソバなどで、これらは1品目づつ試すほうが望ましいと思います。

ナッツ類やソバは強い症状が出ることがあるという点にも注意が必要です。

一方でお野菜、お肉、海藻、きのこなどで症状が出ることは少ないのでそれほど恐れることはないかなと思います。

症状が出る可能性が高いものは限られているので、そこに注意を払えば、恐い思いをする可能性は低いです。

だだ、この指導はまれなアレルギーの人をカバーすることはできません。

野菜や肉に対するアレルギーは少ないですが、ゼロではありません。

まれなアレルギーをカバーできないので、本には書きにくい内容と思われますし、どうしても栄養指導ではリスクを避けるために「1品目ずつ」となってしまします

この方法でためして問題無い人のほうが多いと思いますが、まれなアレルギーをカバーできないことを了承のうえで試していただきたいと思います。

リスクはゼロにはできませんから、「心配なので1品目ずつ、平日の午前中にします」でももちろん構いません。

ご家族の考え方は様々と思いますが、

もし平日の午前中に1品目ずつ食べるのが大変すぎるとか、時間的に無理で困っているという方はこのブログを参考にしていただければと思います。

※ちなみに、「◯◯を含む商品と共通の設備で製造しています」という表示がしばしばありますが、これもアレルギー物質が混入する量はとても少ないので、重篤なアレルギーをお持ちの方を除いてはほぼ無視できるレベルと考えていただいて結構です。

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