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専門性による評価、役割による評価

 かねてから、専門性と役割は分けて捉えるべきだと考えている。エンジニアリング、デザイン、プロジェクトマネジメント、テスト、仮説検証など、いずれの専門性もプロダクト作りや仕事を完遂するために必要な能力だ。専門性は個々人の志向性と繋がりがある。プログラミングが好きだから、テストが好きだから、自分の専門性を磨く。何を自分の専門性として選ぶかは、個人による。

 一方、役割とは個人に固着されるものではなく、状況、ミッションに応じて動的に張り替えていくべきものだ。例えばプロダクト開発の初期段階では、MVPをいかに早く試すかが問われる。エンジニアリングや仮説検証の専門性を用いて、「ユーザー検証早期投入」というミッションに臨む。役割としては「検証投入のためにMVPをつくる」とか「検証投入のために仮説検証の計画・準備づくり」が必要になる。そして、もちろんこのミッションは状況の進展とともに変わっていくので、その都度役割の再定義が必要になる。

 と、踏まえると、企業内における人材の評価とはどのように変わるだろうか? 専門性と役割の評価はやはり分けるべきだと思う。

 専門性については、評価というより「誰がどのような専門性をどのくらいの深みで備えているのか」という認知の仕組みが重要になってくる。先に述べたように、専門性は個人に属する。専門性の獲得は他者に依存する(「誰かが(会社が)言ったから」)のではなく、自身で選択し、背負っていくことになる。そうした行為を他者が評価する…それは何のために?(問)

 チーム開発、事業の立ち上げ・進展、組織内のあらゆる活動にとって、専門性が見える化されているかいないかは大きな差になる。認知されることで、チームビルドもプロダクト作りも進めやすくなる(スキルマップ・星取表の価値は再評価した方が良い)。そして、本人にとっての矜持にも繋がる。

 一方、役割はミッションに基づいて定義されるものだ。当然、ミッションは組織・事業の目的、目標との繋がりがある。つまり、役割として務めを果たすことで、組織や事業に対する貢献寄与が測れるわけだ(むしろそうでなければ、その役割の必要性について捉え直す必要がある)。貢献寄与に基づき、組織・事業として対価を支払う。

 私は人事評価についての専門性は持っていないので、こういう考え方が一般的なのかどうか分からない。ただ、現場と経営を担っている身分として、フィット感はある。

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