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「人に勝ちたい」をおさめる方法。

 あるミーティングで人を待っていたらなかなか参加者が来ない。「前のミーティングが長引いてるんです」と聞いて、くだんのミーティングを覗きにいった。しばらく会話している内容を聞いてると、本当に話したいことや次のアクションが噛み合っているのか?と気になったので、どこから何を話していたのか、ヒアリングしてみることにした。そうすると、どうもよくわからない。論点はシンプルなのに。「何が問題で、どうアクションするのか」だけ。

 ミーティングの場には、もっと言うと1対1のコミュニケーションでも、ある傾向がある。それは「人に勝ちたい」という思いだ。マウントを取りたい、相手にその場に認められたり、良いことをただ言いたい、打ち負かしたい。相手がチームメートであろうと、長年連れ添っている仲間でも、この暴力的な思いが首をもたげるように浮上してくる。そう、無意識で、刹那的にだ。

 そんな状態が続いたら、話はまとまらないし、とにかく時間がかかるし、気分も悪い。大人だから、いちいち激しい応酬にまではならないけど、イラッとはするから負の感情が腹に少しずつたまり、それがまた次の「人に勝ちたい」言葉に繋がる。これって何なんでしょうね?(名前付けされていたら知りたい)

 そんな時に、どうファシリするか?私はとにかく飛び交う言葉を拾って、ホワイトボードに書くことだと思っている。とにかく書く、ひたすら書く。書いて、言葉を目の前に固定すると、全員で何を今話しているかが分かってくる。認識する対象をその場で一致させるところから始める。何が合意できないのか、さっきは何を合意したのか、書き表すとそれは記録になる。みんなの頭の中のスタックに積まれているだろう内容を信頼するよりも、目の前で同一のデータを眺められるようにした方が齟齬がない。

 そして、その場のぐちゃぐちゃ度合いに応じて、ホワイトボードもみるみるぐちゃぐちゃになっていく。それで良い。ホワイトボードに書き表した内容は、その場の状況を表現したものにほかならない。自分たちの状況に気付いて、少しずつ冷静になっていく。少なくともそうなれるチームであろう。

 そう、これは論理的に話をまとめるためにホワイトボードを使おうという話ではなくて、「人に勝ちたい」という人間の不思議な傾向をおさめるための方法の話である。

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