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正しいものをともに考え、正しくともにつくる

 3月7日にコミュニティの300回記念でお話をさせていただいた。書籍「カイゼン・ジャーニー」「正しいものを正しくつくる」「チーム・ジャーニー」を題材としており、特に後者2冊をメインでお話を構成した。

 どちらの本も「不確実性への向き合い方」をテーマにしている。同じテーマでありながら、内容は異なる。「正しいものを正しくつくる」の方は、プロダクト作りや新規事業における高まる不確実性にどう適応するか、分からないことを分かるようにするための戦略を主軸に置いている。

 「正しいものを正しくつくる」とは、問いである。「何をどう作るべきか」という正解があらかじめ用意されているわけではない領域で、どのようなふるまいが取れるのか。都度、自分たちの意思決定や行動がこのままの方向性で良いのか、エラーはないのか、他にやりようややれることはないのか、つまり自分たちが気づけていないことに気づくために問う。問うことで、自分たち自身に考える傾向を与える。だからこそ、正解の無い問いにあえて向き合うのだ。

 この問いに回答し続けるために、答える側の多様性を高めていくことになる。最小有効多様性の原則(アシュビィ)。複雑な環境、問題に対応するには、取り組み側に外部環境と同等の多様性が必要であるという。つまり、不確実性の高い問題に適応するためには、チーム・組織に相応の多様性が必要だということ。仮説検証が重奏的になるのは、必然と言える。だから、チームで臨む。正しいものを正しくつくるために、ともに考えともにつくるというスタンスへと至る。

 「ともに考えともにつくる」は、多様性を招き入れるためだけの言葉ではない。「正しいものを正しくつくる」はときに、周囲を引き離し、置き去りにしていく孤高さを伴う。個としてそれを宿すことが一つの境地と捉えているが、チームで組織で取り組むには、常に答えきれるものとは言えない。答えがないだけに、規律として置くにはとてつもなく厳しい。その状況に気付けるために、「ともにある」ことを思い出せるようにするためにも、この言葉はある。

 正しいものを正しくつくると、ともに考えともにつくる。この2つの言葉を背負って、また次の境界へと向かう。


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