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人口戦略会議の地方自治体の持続可能性に関する分析レポートと人口ビジョン2100を拝見して

人口戦略会議
【人口戦略会議・公表資料】『地方自治体「持続可能性」分析レポート』|お知らせ|一般社団法人 北海道総合研究調査会(略称:HIT) (hit-north.or.jp)

【人口戦略会議・公表資料】『人口ビジョン2100』|お知らせ|一般社団法人 北海道総合研究調査会(略称:HIT) (hit-north.or.jp)

2020年から2050年の間に移動仮定の若年女性人口(20~39歳)の減少率が50%以上と予測される自治体が744。これらは「消滅可能性自治体」と呼ばれ全自治体の約43%に相当するとは、ショッキングな分析結果だった。

若年女性人口の減少率が50%未満である一方、封鎖人口(各自治体において人口移動がなく、出生と死亡だけの要因で人口が変化すると仮定した推計結果)が50%以上である地域、つまり、他地域からの人口流入に依存している自治体を、"ブラックホール型自治体"と呼称しており、全体として日本の少ない人材を他の弱い自治体から吸い込んでしまっている構造がイメージできる。

自分が住む、もしくは生まれ育った自治体が、消滅可能性自治体なのか、どのような特性を持つのか、レポートと合わせてExcelのリストでカテゴライズされているので、確認してみるのもよいだろう。

私の住む市は、D-①に該当しており、消滅可能性都市ではなく、ブラックホール型自治体でもなかったが、自然減が20%-50%もあるという数字に驚いた。

『令和6年・地方自治体「持続可能性」分析レポート』より

【人口戦略会議・公表資料】『地方自治体「持続可能性」分析レポート』|お知らせ|一般社団法人 北海道総合研究調査会(略称:HIT) (hit-north.or.jp)


ブラックホール型自治体は、以下の自治体であった。
都内23区を中心に、千葉県だと浦安市も納得だ。
関西だと京都市や大阪市。
レポートで別のグラフで書かれているが、人口が多い自治体である。

ブラックホール型自治体のB-①
埼玉県 蕨市
千葉県 浦安市
東京都 新宿区
東京都 文京区
東京都 台東区
東京都 墨田区
東京都 品川区
東京都 目黒区
東京都 大田区
東京都 世田谷区
東京都 渋谷区
東京都 中野区
東京都 杉並区
東京都 豊島区
東京都 北区
東京都 荒川区
東京都 板橋区
東京都 練馬区

ブラックホール型自治体のB-②
(B-①よりは自然減が大きい)

北海道 喜茂別町
北海道 占冠村
埼玉県 毛呂山町
千葉県 酒々井町
東京都 青ヶ島村
京都府 京都市
大阪府 大阪市


北海道の占冠村(しむかっぷむら)は、星のリゾートのトマムがあり、リゾート地として発展している。


一方、自立持続可能性に該当するAの自治体はこちら
宮城県 大衡村
茨城県 つくばみらい市
群馬県 吉岡町
埼玉県 滑川町
千葉県 流山市
千葉県 印西市
東京都 八丈町
神奈川県 葉山町
神奈川県 開成町
石川県 川北町
山梨県 忍野村
長野県 原村
長野県 南箕輪村
岐阜県 美濃加茂市
静岡県 長泉町
愛知県 大府市
愛知県 日進市
愛知県 東郷町
愛知県 飛島村
愛知県 阿久比町
愛知県 幸田町
三重県 朝日町
滋賀県 守山市
滋賀県 栗東市
京都府 木津川市
京都府 大山崎町
大阪府 島本町
奈良県 葛城市
鳥取県 日吉津村
岡山県 早島町
広島県 府中町
福岡県 太宰府市
福岡県 福津市
福岡県 那珂川市
福岡県 志免町
福岡県 須恵町
福岡県 新宮町
福岡県 久山町
福岡県 粕屋町
福岡県 苅田町
熊本県 合志市
熊本県 大津町
熊本県 菊陽町
熊本県 南阿蘇村
熊本県 御船町
熊本県 嘉島町
熊本県 益城町
鹿児島県 宇検村
沖縄県 宜野湾市
沖縄県 浦添市
沖縄県 豊見城市
沖縄県 うるま市
沖縄県 南城市
沖縄県 宜野座村
沖縄県 金武町
沖縄県 読谷村
沖縄県 嘉手納町
沖縄県 北谷町
沖縄県 北中城村
沖縄県 中城村
沖縄県 与那原町
沖縄県 南風原町
沖縄県 八重瀬町
沖縄県 多良間村
沖縄県 竹富町

沖縄、熊本、福岡の九州勢と、愛知が目立つ。
愛知はやはり自動車産業の恩恵だろうか。

千葉は流山が、「母になるなら流山」のコンセプトでマーケティングし、近年ファミリー層を中心に増加しているのが有名だ。
印西市はデータセンターなどの産業確保が効いているのだろうか。

このグラフも面白い。
各都道府県の自治体の先ほどのカテゴリの割合を示したもの。

『令和6年・地方自治体「持続可能性」分析レポート』より


こう見ると、東北勢が消滅可能性自治体であるCの比率が高い。
沖縄は消滅可能性自治体が一つもないのが印象的だ。

ブラックホール型があるのは、基本的には東京周辺、大阪周辺である。

この傾向を見ると恐らく今回の閾値には引っかかっていないものの、東北なら仙台、九州なら福岡などのように都市部へ移動する若者は多いのではないかと思う。

また、人口ビジョン2100(【人口戦略会議・公表資料】『人口ビジョン2100』|お知らせ|一般社団法人 北海道総合研究調査会(略称:HIT) (hit-north.or.jp))を見てみる。

第一の目標としては、2100年を視野に据えて、「8000万人」で安定させることと記載がある。
急激な現象を抑えて、ソフトランディングさせたいということだろう。

課題は、若年層、女性が結婚や子供を持ちたいという希望を持てない。
経済的要因で、非正規雇用や不安定就労だと結婚や子供を持てない。
子供を持つことが、リスクや負担になるという意識があること。
夫が育児参加することが期待できず、2人目を持つことを躊躇すること。
出産時に女性が退職したり時短勤務になることで収入が大幅減になること。

対策としては、子育て支援、家族や地域で共同で子育てを担う共同養育の考え方を基本においた社会や地域の取り組みなどとあるが、具体的な内容は記載されておらず、課題提起に留まっている。

このまま無策でいくと、2100年には人口は5100万人というシナリオが提示されている。

実際、34歳で現在3歳半の娘がおり、フルタイム共働き(もうすぐ私は退職になるけれど)だと、経済的には多少余裕があるものの、まず2人目を育てるとすると、日常的に時間がない。精神的にもかなりきつい。

もちろん子供は超かわいいし、愛しているけれど、1人でちょうどよいバランスのように思えてしまう。

では、何があれば2人目を持とうと思えるか考えたところ、このような条件なら、前向きに考えられる。(超勝手だが)


1.子育てにかかる保育費、高校までの教育費の無償化(私立においては、半額以上の補助)
 公立は、昨今教師の過剰労働などが原因により、正直私立との格差が開く一方のため、私立も選択肢として含める家庭は増えたと思う。
 しかし、私立は高い。そしてこの高い教育費が、2子目のハードルとなるからだ。
 もちろん、教師の待遇改善などの施策もセットで行われる必要がある。

2.保育園の入園条件撤廃
 この問題も大きい。
 保育園に入園するためには、まず就職や疾病などで家で保育が出来ないことが条件となる。
 離職すれば求職期間の3か月は、保育園に預けていいけど、3か月過ぎたら家で面倒見てね、という条件まである。

 さらに、定員により、近場の保育園に通えることが出来ないことも多く、その場合は、電車やバスで保育園に朝夕と送迎しなければいけない。
 送迎に時間がかかるると、仕事の選択肢や業務に費やせる時間がなくなり、収入や疲労に影響する。

 こちらも、当然保育士の待遇改善や、保育園への支援もセットであるが、この条件によって、苦しめられている家庭は多いと思う。


最低限、この2点だが、単純に食費、居住空間、光熱費、衣類、旅費も高くなるので、こちらの収入補填も出来ればほしい。心身ともに健康的に暮らしていくなら尚更だ。

旅費や広い居住空間なんて、贅沢だ!昔は、、、なんて言葉はテレビやSNSでも頻繁に見かける。

では、楽しみがなく貧しく家族大人数で暮らそうと思える人がどの程度いるか?この時代で子育てしながら、キャリアも積み、裕福かつ楽しい生活を築けると自信を持つことができる家族がどの程度いるのだろうか?

いないから、この状況になっている。


また、現在の人口ピラミッドはこんな感じらしい。

https://www.ipss.go.jp/site-ad/TopPageData/PopPyramid2017_J.html


2065年には予想としてはこんな感じらしい。

https://www.ipss.go.jp/site-ad/TopPageData/PopPyramid2017_J.html


これを見て一縷の望みとして思うのは、人口げ減り続けた結果、現在比率が高い高齢者世帯は、50年くらい経つとボリュームゾーンがなくなり、ツボの形が細くなり、形が滑らかになること。

そうすると、現在と相対的に若干だが若年層のプレゼンスが向上し、高齢者への社会保障費は減少し、若年層への投資が増えるのではないか、とも思う。

また、人口減に伴う生産性低下は、ホワイトカラー職であればAIが補うことが期待出来る、人が少ない中で都市インフラや土木インフラを維持・保全していくことは課題だが、そうなれば体力がある若者がブルーカラーとして重宝され、収入確保も見込めるかもしれない。

人間しか出来ないメンタルケアや弁護士などの最終ジャッジはブルーカラーではない職として残るだろうが、少数になっていくだろう。

次、働くモチベーションとして、こういった社会問題の根本問題を解決しにいくのか、自分と半径5mのことを考えるのか考えていて、雑多にまとまりなく書きなぐった文章でした。

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