古くて新しい課題 2022年 第1節 鹿児島対いわき
鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さんこんにちは、仙太郎です。
いよいよ2022年シーズンが開幕しました。昨年から今年にかけて大きく選手が入れ替わった鹿児島ユナイテッド。先発メンバー11人中7人が新加入選手。なじみの名前は白坂、中原、五領、米澤の四人だけ。まるで別のチームのようです。
個人的には大西選手とウェズレー選手がベンチにも入っていないのが気になりました。怪我なのでしょうか。
開幕戦の対戦相手は、今年JFLから昇格してきた、いわきFCになります。
いわきの基本的な戦術は手数を掛けずに、ロングボールを入れてこぼれ球を拾うか、鹿児島のビルドアップ時に鹿児島陣内でボールを奪い速攻というのが基本的な戦術でした。そして鹿児島のGKを拾ったところから、いわきの先制点が開始わずか3分で生まれます。
もともとはGK白坂選手のキックミスなんでしょう。ボールは明らかに低かったですよね。ただ幸運なことに鹿児島の選手にボールは行ったのですが、トラップミスして相手ボールになります。白坂選手がロングボールを蹴ると思っていた鹿児島の選手は高い位置に上がっていたので、手薄になっていたところをカウンターを受けます。白坂選手がピッチに中央にボールを蹴ったことで、鹿児島にとっては難しさが増しました。中央でボールを取られると相手は広いスペースを使うことができますから、攻撃の選択肢が増えます。ただこの時は米澤選手が全力で戻ってマイボールにしたと思われたのですが、いわきの嵯峨選手が後ろから押して倒します、審判はそれを流して、いきなりの失点になります。
あまり審判の悪口は言いたくありませんが、これはジャッジミスだと思います。主審のポジショニングが悪いですし、線審もちゃんと見ていません。この位置からは嵯峨選手の後ろからプレーを見るので、手で押したのは見えないですよね。本来は線審が見えているはずなのですが、見てなかったのでしょう。本来は黄色い丸の位置にいる必要があります。VARもないですしね。ちょっとひどい判定でした。
近くで見ていれば明らかにファールですので、鹿児島の選手は一瞬プレーを止めてしまったんですね。もちろん建前では審判が笛を吹くまでプレーを止めないのが原則ですが、これは仕方ないですね。白坂選手の足の間からボールがゴールに吸い込まれました。
これは昨年も指摘させていただいたのですが、白坂選手は準備の段階の足が開きすぎてしまう癖があり、これだとこの試合のように足の間からゴールになることもありますし、また相手がシュートせずに横にパスした際にすぐに動けないというデメリットがあります。
ただこれ以外では、この日も白坂選手のキャッチングは安定してました。危ない部分はほぼ皆無でした。特にハイボールの処理は安心して見られます。普通、試合開始直後に失点すれば(しかも自分の股間を抜かれれば)多少の動揺はあるのですが、強いメンタルで安定したプレーでした。
鹿児島の同点は41分にフリーキックから有田選手が決めます。相手GKが飛び出したのですが、先にボールに触れてヘディングで決めました。木村選手のフリーキックもゴールに向かう正確なキックでした。
このフリーキックの起点になったのは米澤選手から3人目の動きで裏に抜けた薩川選手にダイレクトパスが出て、それを相手選手が引っかけてのファールからの得点でした。
ただこれ以外の場面では、米澤選手とSBの薩川選手のコンビネーションはまだまだでしたね。米澤選手は相手と1対1になれば、自分で仕掛けられる選手なんですが、そこに薩川選手がサポートにいってスペースを消してしまう場面も見受けられました。ただこれは新加入選手が多いので、既存の選手とのコンビネーションと戦術の融合は、これから時間を掛けてやっていくしかないでしょう。
全般的にはいつものように鹿児島のビルドアップ対いわきの前プレスでした。前半の入りはいわきのプレスが効いて鹿児島は前進するのに苦戦していたのですが、徐々に対応しボールを前に運ぶことができ始めます。
ただ鹿児島はショートパス一辺倒だったので、いわきのDFラインはとても高く設定されており、ロメロ・フランク選手に縦パスが入っても相手CBが激しく寄せて前を向けないどころが、ファール覚悟の厳しいプレーで自由にプレーさせてもらえませんでした。そのためチャンスの数は少なかったと思います。
というのも鹿児島が短いパスでつないでくるのが、わかっているのでいわきのDFラインは裏に大きなスペースを作っても前から前からプレスを安心して掛けられていました。ここはウェズレー選手がいれば大きな縦パスを入れられるのにと思いました。
五領選手も米澤選手もどちらかというと下がって来て、ボールに触りたいタイプのプレーヤーだったのも影響していました。
そして監督が代わった鹿児島でしたが、基本的にはボールをショートパスでつないで前進させる戦術でした。そこは安心しました。ただ裏を狙わないので深さが取れずに苦戦の原因になっていました。幅は取れていたので残念です。
ただ課題も昨シーズンから引き継いでいてポゼッション率は58%と高いのですが、シュートの数は8本といわきより少なく、枠内シュートはたったの1本だけ。ボール保持率の高さをチャンスにつなげられていないことがよくわかります。
▽選手の振り返り
ロメロ・フランク選手は中盤の選手にしては珍しく体が大きく、キープ力があります。しかしこの日に限れば前を向いたプレーは数が少なかったです。とにかく相手CBに徹底的にマークされていました。
米澤選手は攻撃でも守備でも大奮闘でした。攻撃的な選手は守備しない選手も多いのですが、彼は何回も全力で戻っていました。失点になったシーンでも全力で戻ってマイボールにしたのは彼ですからね。得点こそありませんでしたが、今年も彼が中心に攻撃していくことになります。
CBの岡本選手はドリブルでボールを持ち運べる選手なので、試合でも再三ボールをドリブルで前進させて、中盤で数的有利を作ることができていました。これは鹿児島のようにショートパスでビルドアップするチームには、大きな武器になります。
▽いわきFCのスタイル
いわきと言えばフィジカル重視、フィジカルモンスターなんで、走り負けないというイメージで、前からプレスを掛けてきますし、競り合いも激しかったと思います。そういう意味では鹿児島は自分達のやりたいプレーができていなかったと思います。
ただ、もちろんサッカーにはフィジカルも大事なんですけど、フィジカルだけのスポーツだけではありません。
技術、戦術、フィジカル、メンタルの4要素が複雑に絡み合うスポーツです。そのフィジカルの部分だけ鍛えてもそれだけではいいサッカーをすることはできません。
フィジカルだけでサッカー勝てるなら、陸上選手や格闘技の人を連れてくればいいという話ですからね。
なのでフィジカルの強さは活かしつつ、どういう戦術で戦っていくかというのが、今後のいわきのポイントになっていくのかなと思いました。
それではまた来週お会いしましょう。
「チェストー!鹿児島ユナイテッド!」
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