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最近の記事

最新グローバル研究からみる人類の健康課題

序章:静かなる脅威 2024年、世界はまだCOVID-19のトラウマから完全には回復していません。しかし、私たちの社会には、もう一つの「静かなる脅威」が存在し続けています。それが結核です。 毎年150万人以上が命を落とすこの感染症は、実は予防可能で治療可能な病気です。では、なぜ21世紀の現代においても、これほどの犠牲者を出し続けているのでしょうか。 京都大学で行われた画期的な講義で、シャロン・コックス教授は、この謎を解く重要な鍵を示しました。それは「栄養」という、私たち

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    • タイトル:栄養と感染症の相互作用 - 科学的知見と実践的アプローチ

      序文:パラダイムシフトの時代における栄養と感染症 現代社会において、私たちは新たな健康課題に直面しています。2020年以降のCOVID-19パンデミックは、感染症対策における栄養の重要性を改めて浮き彫りにしました。本稿では、歴史的な視点から最新の科学的知見まで、包括的な分析を通じて、栄養と感染症の複雑な関係性を解き明かしていきます。 第1章:歴史的転換点としての栄養改善 1.1 産業革命期の衝撃的な発見 1891年、イギリスの公衆衛生記録は驚くべき事実を示していました

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      • 栄養と感染症:グローバルヘルスの観点から

        はじめに私たちの健康を支える重要な要素である「栄養」。この栄養について、特にグローバルヘルスの観点から深く掘り下げていきたいと思います。本稿では、京都大学での「栄養と感染症のグローバルヘルス」に関する講義内容をもとに、栄養学の基礎から最新の研究知見まで、包括的に解説していきます。 執筆者プロフィール本記事の原典となる講義を行ったシャロン・コックス教授は、ユニークな経歴の持ち主です。最初の学位は生化学でしたが、研究室での実験作業には向いていないと感じ、ロンドン大学で栄養学の修

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        • 現代医学の革新と人類の未来 ー 細胞から社会システムまでの総合考察

          序章:生命の神秘と医学の進歩 私たち人類は、驚くべき精密さを持つ生命システムの上に存在しています。一人の人間の体の中には、およそ37兆個もの細胞が協調して働いています。この数字は、最新の研究によって明らかになったもので、従来考えられていた60兆個という定説を覆す発見でした。このような認識の更新こそが、現代医学の特徴を表しているといえるでしょう。 人体の構造と機能を理解する上で、最も注目すべき点の一つは、血液系の驚くべき動的平衡です。全身を巡る赤血球は、約23兆個という膨大

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        • タイトル:栄養と感染症の相互作用 - 科学的知見と実践的アプローチ

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        • 栄養と感染症:グローバルヘルスの観点から

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        • 現代医学の革新と人類の未来 ー 細胞から社会システムまでの総合考察

          医療技術の経済評価における課題と展望:包括的アプローチの必要性

          はじめに現代の医療システムにおいて、限られた資源を効果的に活用することの重要性は、ますます高まっています。本稿では、医療技術の経済評価に関する包括的な分析と、その実践における様々な課題について詳細に検討していきます。 経済評価の基本的枠組み医療技術の経済評価において、最も重要な要素の一つは比較対象の選定です。新しい医療技術の評価は、必ず何らかの比較対象との関係において行われる必要があります。例えば、喫煙cessationプログラムを評価する場合、プログラムがない状況との比

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          医療技術の経済評価における課題と展望:包括的アプローチの必要性

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          公衆衛生介入の経済評価 - 現代社会における課題と展望

          はじめに現代社会において、公衆衛生介入の経済評価は極めて重要な課題となっています。本稿では、京都大学での「健康技術の経済評価」講義の内容を基に、公衆衛生介入の経済評価における様々な課題と展望について詳細に検討していきます。 公衆衛生介入の特徴と評価の複雑性介入の複雑性 公衆衛生介入は、新薬の評価と比較して、はるかに複雑な性質を持っています。新薬の場合、投与量や頻度、効果のモニタリングなど、比較的straightforwardな要素で構成されています。しかし、公衆衛生介入は

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          公衆衛生介入の経済評価 - 現代社会における課題と展望

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          医療技術の経済評価における健康アウトカムの価値づけ

          京都大学講義録より 講師: John Cairns教授 はじめに:健康アウトカム評価の現状と課題医療技術の経済評価において、健康アウトカムをいかに適切に評価するかは重要な課題です。現在、最も広く用いられているアプローチはQALY(質調整生存年)ですが、本講義ではそれ以外の代替的なアプローチについて詳しく検討していきます。 私が最近ベルリンで目にした興味深い広告について話すところから始めましょう。バス停で見かけたその広告には「買い物は精神科医よりも効果的」というメッセージ

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          医療技術の経済評価における健康アウトカムの価値づけ

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          医療技術の経済評価における健康アウトカムの価値測定手法

          ~ 京都大学講義シリーズより、John Cairns教授の講演から学ぶ ~ 目次はじめに:医療技術評価の重要性と課題 金銭的評価手法の詳細分析 人的資本アプローチ 顕示選好法 表明選好法 幸福度・生活満足度アプローチの新展開 各評価手法の比較検討 今後の展望と実践的含意 はじめに:医療技術評価の重要性と課題医療技術の経済評価において、健康アウトカム(成果)の価値をどのように測定するかは、医療政策や医療資源の配分を考える上で極めて重要な課題となっています。現代

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          医療技術の経済評価における健康アウトカムの価値測定手法

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          医療技術の経済評価における健康状態の測定と評価

          第1部: はじめに はじめに現代の医療システムにおいて、限られた医療資源をいかに効率的に配分するかは重要な課題となっています。この課題に対処するため、医療技術の経済評価、特にQALY(Quality Adjusted Life Year: 質調整生存年)を用いた評価手法が注目を集めています。 本稿では、京都大学での「医療技術の経済評価」講座における John Cairns 教授の講義内容を基に、健康状態の測定と評価について詳細に解説していきます。 健康状態評価の重要性医

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          医療技術の経済評価における健康状態の測定と評価

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          医療技術の経済評価における生存時間分析の重要性と課題

          はじめに医療技術の経済評価において、患者さんの生存時間をどのように予測し分析するかは非常に重要なテーマです。一見単純に見える「患者さんが異なる健康状態でどれくらいの期間を過ごすか」という問いも、詳しく検討していくと複雑な課題が浮かび上がってきます。本稿では、生存時間分析の重要性、直面する課題、そして解決に向けたアプローチについて詳しく解説していきます。 生存時間分析が重要な理由1. 生存期間の延長という価値 患者さんの生存期間を延長することは、医療における重要な目標の一つ

          医療技術の経済評価における生存時間分析の重要性と課題

          医療技術の経済評価 - 費用対効果の視点から考える医療の価値

          こんにちは。今回は、医療技術の経済評価について、特に費用対効果の観点から深く掘り下げていきたいと思います。この話題は、現代の医療システムにおいて非常に重要な課題となっています。 はじめに医療技術の進歩は目覚ましく、新しい治療法や医薬品が次々と開発されています。しかし、それらすべてを医療システムに導入することは、限られた医療資源の中では現実的ではありません。そこで重要になってくるのが、経済評価という考え方です。 今回は、イギリスのジョン・ケアンズ教授による講義内容をベースに

          医療技術の経済評価 - 費用対効果の視点から考える医療の価値

          分子が織りなす不思議な世界

          分子の世界は、私たちの目には見えない神秘に満ちています。原田教授の研究室では、その見えない世界で起きている「くっつく」という現象を可視化し、新しい材料開発への道を切り開いています。 特に注目すべきは、シクロデキストリンという分子です。この分子は、まるでドーナツのような形をしており、中心に空洞を持っています。実は、この小さな空洞が驚くべき能力を秘めているのです。 「シクロデキストリンは、様々な分子を取り込むことができます」と原田教授は説明します。「例えば、普通なら1時間で分

          分子が織りなす不思議な世界

          薬剤疫学と薬剤安全性監視:最新の動向と課題

          こんにちは、皆さん。今日は、薬剤疫学と薬剤安全性監視について、その歴史から最新の動向、そして現在直面している課題までを詳しくお話ししたいと思います。この分野は医療における重要な側面であり、私たちの健康と安全に直接関わる話題です。 まず、私の経歴を少し紹介させてください。私はイアン・ダグラスと申します。現在、ロンドン大学衛生熱帯医学大学院(London School of Hygiene and Tropical Medicine)で教鞭を取っています。この学校は、公衆衛生分

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          薬剤疫学と薬剤安全性監視:最新の動向と課題

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          傾向スコアを用いた交絡調整:疫学研究の新たなアプローチ

          こんにちは。今回は、疫学研究において重要な役割を果たす「傾向スコア」について詳しく解説していきます。この手法は、観察研究における交絡因子の調整に新たな視点をもたらし、より信頼性の高い結果を得ることを可能にします。 はじめに疫学研究、特に薬剤疫学の分野では、「交絡」という問題が常に研究者を悩ませてきました。ある要因(例えば薬剤の使用)と結果(例えば疾患の発症)の関係を調べようとしても、他の要因が影響を与えていることがあります。これが交絡です。 特に問題となるのが「適応による

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          傾向スコアを用いた交絡調整:疫学研究の新たなアプローチ

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          自己対照研究法:疫学研究の新たなアプローチ

          こんにちは。今回は、疫学研究の分野で注目を集めている「自己対照研究法」について詳しく解説していきます。この研究手法は、従来の方法では対処が難しかった交絡因子の問題に新たなアプローチを提供し、より信頼性の高い結果を得ることを可能にします。 はじめに疫学研究において、最も困難な課題の一つが交絡因子の問題です。ある要因と結果の関係を調べようとしても、他の要因が影響を与えていることがあります。例えば、ある薬の効果を調べる際に、その薬を服用している人々と服用していない人々の間に、年齢

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          薬剤疫学研究の実践: 慢性腎臓病患者における抗うつ薬使用のケーススタディ

          こんにちは。今回は、薬剤疫学研究の実践例として、慢性腎臓病(CKD)患者における抗うつ薬使用に関する研究についてお話しします。この内容は、京都大学の岩上将夫助教授による講義「The Effects of Medications」の一部を基にしています。 薬剤疫学は、薬物の使用実態や効果、安全性を大規模な集団で調査する学問です。今回のケーススタディでは、英国のプライマリケアデータベースを用いて、CKD患者における抗うつ薬の使用状況や副作用リスクを分析しています。 研究の背景

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          薬剤疫学研究の実践: 慢性腎臓病患者における抗うつ薬使用のケーススタディ

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