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【2022シーズンスタート】続 CARオフシーズンチーム状況

 NFLファンの界隈では年に何回か「明けましておめでとうございます」という機会があります。その1つがNFLの新シーズンスケジュールが開始される日(というより時間)で、NFLの最新シーズンである2022年シーズンの場合は日本時間3/17 5:00がその時でした。新シーズンのスタートとは、つまり前シーズン限りでFAとなった選手たちとの契約が解禁され、また新シーズンに向けて行われた(この時間を迎えるまでの)トレードが公式のものとなることを意味します。

 なおNFLでは新シーズン開始に先駆けて、チームがFAとなる選手の認定代理人と契約の交渉が可能な期間を設けており、これを通称して「合法タンパリング」期間と言います。この期間は2日前のアメリカ東部時間12:00(日本時間の1:00)とされており、2022年シーズンは日本時間3/15 1:00〜とされ、実際には3月3週目頭から新契約情報に一喜一憂したり驚いたりという日々が続き、少し前からは逆にFA市場も一部トップFAほかを残して一段落。静かな日々が続いています。

ということで、前回の記事で纏めたCARのオフシーズンの状況がFA解禁となることでどのように変化したかを整理していこうと思います。(なお前回のように、一定期間は契約情報などを適宜更新していこうかと考えていますが、予定は未定です。)

【前回記事】


○FA契約情報

 上にみえる面々が合法タンパリング前に再契約とならず、FAとなったメンバーです。そして次に結果的に現在までに契約関係が変化した選手たちです。

契約
G オースティン・コルベット(前LAR)
3年26.25M
S ゼイビア・ウッズ(前MIN)
3年15.75M
RB ドンタ・フォアマン(前TEN)
単年2M
WR ラシャード・ヒギンズ(前CLE)
単年1.18M
LB ダミエン・ウィルソン(前JAX)
2年6.9M
DL マット・イオニディス(前WAS)
単年9.5M
IOL ブラッドリー・ボーズマン(前BAL)
単年2.8M
P ジョニー・ヘッカー(前LAR)
3年7.6M
LB コリー・リトルトン(前LV)
単年2.6M

再契約・契約延長
S ショーン・チャンドラー
単年0.92M
ED マーキス・ヘインズSr.
2年5.5M
WR ブランドン・ザイストラ
単年1.18M
WR DJムーア
3年61.88M
CB ドンテ・ジャクソン
3年35.1M
S ジャストン・バリス
単年

リリース
DL モーガン・フォックス
CB AJ・ボイエ


○改訂2022年CAR主要ロースター

 それではここで前回記事の2022年の主要ロースターについて、上の契約情報を反映し、改訂後の現状についても一言つけて紹介していきます。

(-数字:数字年にFA、①~⑤:22年におけるルーキー契約年数)
O#
QB(2?名)
QB1:サム・ダーノルド⑤−23
QB2:PJ・ウォーカー(再契約済)−23

UFAキャム・ニュートン

→一番チームがこのオフでテコ入れを望み、ここまでにそれを成し遂げられなかったポジション。チームはHOU QB デショーンワトソンのトレード獲得をもくろみ、その対価は1巡指名権3つ+キープレイヤー2人(しかもルーキー契約中の選手が望ましいという噂で、ムーア・バーンズ・デリックブラウン・ホーン・チン…といった名前が取り沙汰された)が最低条件と予想されたトレードでした。ただこのワトソン争奪戦にはNO・ATL・CLEといったチームも参戦し、結果的にワトソンはCLEにトレードされていくことになりました。(なお界隈の情報によると、ワトソン側から要求された3年目・4年目のサラリーをフル補償してほしいとの要求があったがCAR側は断り、結果的にそれが縁の切れ目となった模様。)
結果として現状は前回と変わりなし。現在CARフロントはQBのドラフトプロスペクトがいる大学のプロデイをはしごしています。

RB/FB(4?名) 
RB1:クリスチャン・マキャフリー−26
RB2:チュバ・ハバード②−25
RB3:ドンタ・フォアマン−23
FB:ジオバニ・リッチ(FB)(再契約済)−23

→依然としてCMCのトレード話は噂程度で変わらず。界隈でもワトソン争奪戦が終わった後はチームが積極的にFAを物色してることもあり、あまり話自体をみることがなくなった感じです。補強としては前年デリックヘンリー離脱後のTENで奮闘したフォアマンを獲得。ランに焦点をあてる次シーズンではフィジカルが要求されそうな場面で活躍してくれることを期待します。

WR(6?名) 
WR1:DJ・ムーア⑤(再契約済)−26
WR2:ロビー・アンダーソン−24
WR3:ラシャード・ヒギンズ−23
WR4:テレンス・マーシャルJr. ②−25
WR5:ブランドン・ザイストラ−23
WR6:サイ・スミス②−25

→ワトソンのトレード話が破談となったことでワトソンを迎えるために開けたCapを使うためか、早々にDJとの再契約が成立。3年契約で2025年まで保有することができ、ファンの方などは一安心でしょう。
そのほかザイストラ・ヒギンズと単年契約。ザイストラとは再契約、STerとしても頑張ってくれてるので今年もよろしく。(Kは務めることがないことを願います笑)ヒギンズとご新規さん。あんまりよく知らないのでハイライトでと貼っておきます。(これ…リターナーは多分サイスミスってことでいいんですよね……。)

ヒギンズのハイライト

【追記】サイスミス逮捕…

拳銃の不法所持・麻薬の所持・スピード違反で逮捕されたとのこと。捜査は現在も継続中とみられるらしいですが、スミスは6,000ドル(約73万円)の保釈金を支払って釈放済みらしい…。そして今のところチームからは、この逮捕を把握していて「これは係争中の法的問題であるため、現時点ではこれ以上のコメントを控える」とのこと。

TE(3?名) 
TE1:トミー・トレンブル②−25
TE2:イアン・トーマス(再契約済)−25

Futures:コリン・トンプソン

→変わりなし。……動きがあるならドラフトか?FAなら格安でか……

OL(9?名)
T(4?名) 
RT:テイラー・モトン−26
LT:キャム・アービング−23
T:ブレイディ・クリステンセン②−25

Interest:デュアン・ブラウン

→現状ではメンバーに動きがありません。ただHOU→SEAで長らくLTを務めた大ベテランのデュアンブラウンに興味があるという噂が…。3月も末日に迫ると話を見かけなくなっていきましたが、GM フィッテラーは前SEAフロントの重役で面識はあるはずですので、興味深い噂だと思います。個人的に2年程度ソリッドなプレーヤーでいられる(と判断する)なら獲りに行っても別に構わないかな…と思ったりします。

IOL(5?名)
C/G:パット・エルフライン−24
RG:オースティン・コルベット−25
C/G:ブラッドリー・ボーズマン−23
G:デニス・デイリー④−23
G:マイケル・ジョーダン−23
C:サム・テクレンバーグ−23
G:ディオンテ・ブラウン②−25

→前回と比べ大きく変化したポジション。コルベットを3年で獲得し、その後ボーズマンまで…。聞くところによるとボーズマンは単年2.8Mなんだとか…なんで?まあそれはさておき、先発級が2人加入でRGコルベット、Cはエルフライン・ボーズマン共に出来てボーズマンの方がPFFのスタッツなどは良かったのですが、予想はCエルフライン・LGボーズマン。多分Gにエルフライン置いた方が酷くなりそうなので……。開幕後の活躍を早くも期待したいポジションですが、その一方で前回の予想通り前シーズンから残るIOLにとっては誰が切られてもおかしくない状況。控えの座を巡って厳しい競争が待つことになると思います。(ボーズマンは単年契約につき来年残せるか不透明ですし、エルフラインは来オフのデッドマネーが少なくデッドマネー以上にCapセーブできますから、2枚消える可能性を考えてドラフト指名するかもしれませんし。)

D#
IDL(5?名) 
デリック・ブラウン③−24~25
ブレビアン・ロイ③−24
マット・イオニディス−23
デビヨン・ニクソン②−25

DL モーガン・フォックス

→Capセーブのために早々にフォックスをカットして穴が空いたDL。その穴を埋めたのは個人的に実績あるルールHCの教え子であることから注目してたイオディニス。WASをリリースになるとすかさず獲得しました。3-4 DEとしてskをそこそこ記録してたこともあり、以前師事してたHC・DCのもとその時の再来を期待したいところです。今後はニクソンの成長が鍵を握るんでしょうが、不透明な以上はもう1人くらい獲るのかここに挙げてない現有戦力で間に合うと見ているのでしょうか?

EDGE(6?名) 
ブライアン・バーンズ④−23~24
イトー・グロスーマトス③−24
フランキー・ルヴ(再契約済)−24
マーカス・ヘインズSr.(再契約済)−24

→レディックはPHIに流出。その後の補強としてはヘインズを再契約したことで戻して以降は特に動きなし。「フロントを大きくしたい」というDCの意向があるにしても、もし昨年のようなD#をする気ならルヴ以外にも代役できる選手が必要な気がしますが…。(ヘインズで間に合うと考えているということがあるのでしょうか??)

LB(4?名)
シャック・トンプソン−24
ダミエン・ウィルソン−24
コーリー・リトルトン−23
ジュリアン・スタンフォード(再契約済)−23

→前回は地味にスカスカと評しましたが、その穴は格安のFAで埋めてきました。巷の評価ではランに強いウィルソンとパスに強いリトルトンどのことでこの2人は出番を分け合いそうとのこと。またSでバリスが再契約したのでいざとなればチンをLBに回すことも可能ですし、スタンフォードも含めると頭数は揃ったんですかね……。取りあえず今年だけを見るなら補強の必要性が下がりました。(中長期的に見るなら話は別ですが…。)

CB(6?名) 
ジェイシー・ホーン②−25~26
ドンテ・ジャクソン−25
CJ・ヘンダーソン③−24~25
キース・テイラーJr.②−25
ラシャード・メルビン−23
トロイ・プライドJr.③−24

→ボイエをカットして迎えたFA戦線。これといって一番新規戦力の補強の必要を感じさせないポジションであることは前回指摘した通りですが、NBCスポーツエッジの記事の通り21年シーズンで多くスナップした経験者を失うという側面もありどうなるか見ものでした。結果はトップFA陣の契約交渉の進捗が進まない市場にギルモアだけが取り残されて、ワトソン獲りに失敗した結果余ったCapでもってドンテジャクソンと比較的安く3年契約することでキープすることになりました。またついでにラシャードメルビンも単年再契約。さすがにもうCBはいらないように思いますが、GMが曰く再契約について「まだ扉は開いている」と…。

S(5?名)
ジェレミー・チン③−24
ゼイビア・ウッズ−25
ジャストン・バリス−23
サム・フランクリン−23
マイルズ・ハーツフィールド−23
ケニー・ロビンソン−23

→こちらも空いてた先発ポジションをFAで。万能型のウッズを獲得。また放流かと思われたバリスも単年契約で再契約。これでプレー毎に役割を入れ替えて撹乱するといったことになるのでしょう。Sも中長期的に見るなら話は別ですが、こと今年に関してはニーズとしての優先度は下がったように思います。(現地ファンのツイートをTL上で眺めてるとバリス再契約の評価は今ひとつのようなのでドラフトBPA指名はあるかもです。)

P (1名)
ジョニー・ヘッカー−25

→皆さん、ジョニーヘッカー大先生ですよ!Future契約すらいなかった中でなぜかLARをリリースされたヘッカーを獲得。これで一安心。

LS (1名)
トーマス・フレッチャー②−25
JJ・ジャンセン(再契約済)−23

K (1名)
ゼイン・ゴンザレス−24

→状況に変化なし。それぞれ頑張ってもらいたい。


○2022CAR簡易デプスチャート

(3/25 JST現在)


○主なニーズ

【即スターター】OT・EDGE・QB
【未来のスターター】QB・IOL・IDL

[ドラフトピック]
 1巡6位
 4巡137位
 5巡144位
   同149位
 6巡199位
 7巡242位

→合法タンパリング前とは少し状況が変わりました。変わらない部分としてはQBとLT。LTに関してはクリステンセンの位置づけが不透明なこともありますが、仮にクリステンセンを正LTとして扱うとしても、控えOTの獲得は必要になるものと考えます。またQBについては補強するにしろしないにしろ、また即戦力にしてもあるいは未来のスターターとなる者を見つけるにしても、中長期的にみた対価とのバランスに注意した補強を願いたいところです。

一方で合法タンパリング前と違い補強ポイントとなったEDGE。要するに失ったレディックの代役なのですが、IOL・LB・CBなどが必要な補強がされたことで目立った補強がなされてないレディックの代役について、焦点をあてられる状況になったともいえます。

レディックの担った役割は時にパスカバーもするタイプのEDGEラッシャーで、グロスマトスのようなタイプでは少々難しいタイプのプレー内容になるかと予想します。要するに欲しいのはいわゆる万能型にあたるOLB。まあ一応昨シーズンのデプスであるルヴと再契約してるので彼をスターターとして何とかする気なのかもしれませんが、ドラフトでピックがトレードバック等で増えることがあるようなら誰か狙ってもらいたいと考えます。(ひょっとすると、売れ残りが多いFA市場に手を出すかもしれません…。)

また既述のように補強が進んだIOLですが、ロースターのところで一言記したようにドラフトで更に固めてくる可能性はあります。またIDLもフォックスがリリースされたところにイオディニスを入れ替えしただけなので、ローテで使えそうなDT(どちらかといえばNT寄り?)がいれば…というところになるかと思われます。

○1巡予想?

→上でも挙げたように、またK猫さんの企画1日1モックでも挙げられているように、特にQBとLTそしてポジションとしてニーズが高いEDGEなどは1巡での指名可能性があると思います。

LT
Charles Cross OT Mississippi State (6-5, 310lbs) RSo
Ikem Ekwonu OT NC State (6-4, 320lbs) Jr
Evan Neal OT Alabama (6-7, 360lbs) Jr

LTならこの辺りといわれてますね。またltに関してはモックドラフトで…

Trevor Penning OT Northern Iowa (6-7, 340lbs) RSr

の名前もあがっています。ただ世間のペニングの評価からすると、全体6位ではバリューが高いとされているのでトレードダウンがなされた際に候補にあがってくるか……というところかなと思います。

またQBについては誰を獲ったとしても全体6位のバリューとつり合わないといわれており、また来シーズンはQB豊作かも…?といわれる中ではありますが噂されて選手としては……

QB
Kenny Pickett QB Pittsburgh (6-3, 220lbs) Sr
Malik Willis QB Liberty (6-1, 215lbs) Sr

のあたりが候補にあがってます。現地ファンの様子をみるにウィリスへの人気はすごいのですが……。また3月末現在、彼らにプラスして、

Matt Corral QB Ole Miss (6-2, 205lbs) RJr

も1巡指名候補の範囲に入れてるっていう情報もあります……。コラルはトレードダウン時の候補とみる記事もありますが……。

EDGE
Aidan Hutchinson EDGE Michigan (6-6, 269lbs) Sr
Kayvon Thibodeaux EDGE Oregon (6-5, 250lbs) Jr

EDGEだと今年全体1位2位となるかもしれないこの2人。もし何かの間違いが起こって彼らが6位まで落ちてきたら行ってもいいと思える2人ですね…。また、

Jermaine Johnson II EDGE Florida State (6-5, 262lbs) RSr

このオフに評価を上げてきてるジョンソンは少しバリューとしては高い模様。ただ、

ras.footballを用いたコンバイン・プロデイスタッツを利用した比較

正直バーンズと体格やコンバインスタッツが似てるのでどこに行ってどういう成績を残すのか個人的に関心がある選手ですね。また…

Travon Walker DL Georgia (6-5, 275lbs) Jr

という名前も時たま見受けられます。EDGEなのか3-4DE・4-3DTなのか微妙な位置づけになりそうな選手で、その位置づけの不透明さが指名予想のしづらさに繋がってると思います。CARの場合で見てみますと、ブラウン・イオニディスと並べて或いはローテしながら起用すれば上手くフィットするかもしれないですし、YGMとの役割分担ということでも活躍できるかもしれません…。そしてこういうバーサタイルに使えそうな選手を現コーチ陣が好む側面はあります…。

ただこれは現在のDCによる2021年シーズンのようなD#ならということであり、現在HCがホットシートにあり現コーチ陣が23年シーズン以降も継続するかが不透明であり、少々指名するのに躊躇するような選択肢となりそうです。

Kyle Hamilton S Notre Dame (6-4, 219lbs) Jr

さらにBPAでニーズ抜きで落ちてきたら選びそうとなるとハミルトン。もしそうなればチンを始めとしてS陣の誰かを前目で使うプランもより出てくることになるかな…と予想します。

以上、1巡指名候補のプロスペクトについて具体的に名を挙げて私見を整理するとこのような感じかなと思ってます。

○参照

 各プロスペクトの評価についてはTamagoさんが記事をあげられてますからそちらをどうぞ!(4/17更新:Tamagoさんのビッグボード記事が3.1→4.0にアップグレードされていますのでそちらにリンクを差し替えます。)

【追記】
K猫さんのチーム別分析CAR編が投稿されましたのでリンクを貼りました。こちらも参考にどうぞ!

またこちらは茶王さんとこのモックですね。こちらも合わせてどうぞ!


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